
編集部の石崎です!
家電量販店は、私たちにとって、とても身近な存在ですね。大型量販店では、家電のみならず、玩具や家具なども販売しています。お客にとっては便利ですが、接客には様々な知識が必要です。
今回は、家電の販売・接客について解説します。
- 家電の販売・接客の仕事について
- データで見る収入や残業時間
- 家電の販売・接客1日のスケジュール
家電の販売・接客のお仕事とは?

主に家電量販店における、販売・接客の仕事について説明します。
- 接客販売
- レジ
- 修理対応
- 在庫管理
- 商品陳列
- デモ販売
- クレーム対応
店舗に立ち、お客さまの対応をすることだけが家電の販売・接客の仕事ではありません。商品の在庫確認から発注、届いた家電類を陳列したり、ポップや説明書きを作ったり、時には家電のデモンストレーションもします。
また、電話での問い合わせや予約販売の対応などもあるでしょう。クレームの対応も販売員が行います。
販売では「売上のノルマ」といった話題がのぼりますが、以前ほど厳しいノルマを課せられることは少なくなったと言われています。とはいえ店舗の方針にもよりますし、正社員であれば営業(販売)実績は重視されます。
営業職について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
補足:家電の販売・接客と他の販売・接客との違い
販売・接客業は「何を売るか」によって特色や必要な知識も変わります。
家電は広範囲にわたる商品が対象となります。エアコンや冷蔵庫からパソコン、炊飯器もドライヤーも、モバイルバッテリーも計算機も、プリンター用の用紙もあります。配属された部署で、販売する家電についての知識をしっかり持つことが重要です。
家電の販売は、他の販売職よりも「A社とB社の性能の違いは?」「どちらがおすすめ?」といったように同一種の機器を他社と比較して説明することが多い特徴があります。
また実際に家電を動かし、どれだけ性能が良いかをアピールするデモンストレーションがあるのも家電販売の特色のひとつでしょう。
一般的な販売員よりも、対象商品によっては高度なレベルの知識が必要とされるところが大きな違いですね。
キャリアアップ
- 店長
- マネージャー
- 本社勤務(企画・店舗開発など)
- 家電メーカーへの転職
販売員のキャリアアップは、いくつか方向があります。
ひとつめは、店長やマネージャーといった店舗の責任者になることです。二つ目は大手家電量販店では店舗を開拓したり経営戦略を練る本社・本部があるので、そちらに異動し活躍すること。そして三つ目は、店舗での経験を活かし、メーカー本体への転職です。
いずれも、スタート時の販売員はさほど年収も高くはありませんが、経営や運営に近づくにつれて年収が上がります。また、大手家電メーカーへの転職が叶えば、より良い待遇が期待できます。
独立や転職の難易度
独立 | ☆☆☆☆☆ |
---|---|
転職 | ★★★★☆ |
家電の販売・接客として独立は難しい
販売員としての独立というのはありません。接客や販売に自信があれば、少し変わった方向になりますが、売上が直に給料に反映する「実演販売士」をめざせば独立の可能性は高くなります。
実演販売士はショッピングモールやスーパーで、堅い木材をカットした後にトマトを切ってみせて「よく切れる包丁ですよ!」とお客さんに話しかけるアレです。テレビでも見かけますね。
1日1億売り上げると言われるレジェンド松下さんは、顔をみれば「ああ、この人か!」と思うでしょう。もはや、ある種のタレントに近いわけですが、レジェンド松下さんはまさに「販売のトップ中のトップ」、このクラスになればフリーランスや独立も夢ではありません。
ちなみにレジェンド松下さんは、実演販売士を抱えるコパ・コーポレーションに所属しています。
転職はしやすい
家電製品の販売員は同業種への転職はしやすいでしょう。A社にいて、販売の実力を買われて、より高い年収と良い待遇でB社へ迎えられるというケースは珍しくありません。
また現在は小規模の家電店に勤務している場合、大手家電量販店や、あるいは家電を扱う大規模な販売店への転職も可能です。
新規店舗立ち上げでマネージャー職を探している、成長いちじるしい店舗チェーン等への転職もひとつの選択肢ですね。
スキルによる収入差について
販売員のスキルは、単純明快で「いかに売ることができるか」です。営業や販売の部署では、大抵ひとりかふたりくらいは、ずばぬけて高い販売実績を誇る社員がいます。
時には「○○メーカーから新発売されたテレビを1ヶ月100台以上売る」といった目標が掲げられ、こうした売上げ目標を達成できる人の収入はボーナスなどで反映され、高くなる傾向はあります。
つまり、スキルというより、販売実績による収入差はあるわけですね。
資格としては、家電アドバイザーがありますが、持っていれば転職で有利にはなるでしょうが、直接、収入に大きな影響を与えることはありません。
家電の販売・接客の具体的な仕事内容

ここからは、実際に家電の販売・接客として働いている3人をご紹介します。
- 1日のスケジュール
- 残業
- やりがいや厳しさについて
派遣社員、正社員、パートでのリアルな働き方をぜひ参考にしてください。
大手家電量販店で派遣として働くWさんの1日
Wさん(39歳・女性・派遣)大手家電量販店勤務
9:30 | 出社 朝礼 閉店準備 |
---|---|
10:00 | 開店 接客 |
12:00 | 昼休み(交代制) |
13:00 | 接客 商品陳列の手伝い |
17:30 | 退社 |
主な仕事
- 店舗での接客
- 陳列
- 棚卸しなど
残業
残業はありましたか?
私は派遣なので残業はありませんが、正社員はあります。
また、派遣でも昼から出社して閉店の19時、その後の在庫管理などを行う遅番シフトで入る人はいます。
やりがいや厳しさについて
やりがいとかはありましたか?。
もともと人と話すのが好きで接客は楽しいです。結婚前は某メーカーの美容機器開発にいました。そのため、知識もあるので主に美顔器や美容機器のコーナーを担当しています。
実際に使ってみた感想をお客さまに伝えることもあるので、あれこれ試していますが、わたしの肌が汚かったら効果がないと思われてしまうので、肌荒れには気をつけていますね。
冬場なども皮膚科で保湿剤をだしてもらい、しっかりエイジングケアもしていますよ。
そうしたモチベーション自体が、販売員という仕事の魅力かなとも思います。人と接するので、常に清潔感に気をつけ、身だしなみを整えます。年齢の割には若く見えると言われるけど、接客の仕事をしているおかげかな、と思うんですよね。
なるほど、逆にやっていて厳しいことはありましたか?
派遣ですので、特にノルマのようなものはないですが、1日働き、対応したお客さまが誰ひとり何も購入してくれなかった時なんかは、ちょっとへこみます。
また、次々と美容製品も進化しているので、毎回、新しい商品知識を覚えるのは大変といえば大変です。
中規模家電量販店で正社員として働くEさんの1日
Eさん(29歳・男性・正社員)中規模家電量販店勤務
9:15 | 出社 朝礼 開店準備 |
---|---|
10:00 | 開店 パソコン(Mac)売り場で接客 |
13:30 | 昼食(交代制) |
14:30 | iPadの修理受付窓口を担当 Mac関連の問い合わせメール・電話の対応と処理 |
18:00 | 在庫確認 売上伝票の整理 |
19:00 | 退社 |
主な仕事
- 主にMacの売り場を担当
- 修理受付対応
- 在庫確認
- キャンペーン時の準備等
残業
残業はありましたか?
店舗は10時開店、21時閉店です。早番と遅番があります。
残業は月に10時間程度ですが、年末商戦時やボーナス時は月30時間程度の残業はあります。
やりがいや厳しさについて
仕事の業務について教えてください。
パソコンの中でもMacは非常に詳しい人と、あとは「かっこいい」「人気があるから」といった理由で購入検討されるお客さまとに二分されます。
実際によく売れるのはやはりタブレット(iPad)で、女性や主婦の方がご購入されるパターンも多いですね。
一方でデスクトップ型のMacは、グラフィックなどの仕事をしている人も多く、専門的な質問も多いので常に最新の情報やデータを頭にいれています。
お客さまによって、かみ砕いて説明したり、なるべく専門用語を使わずに「便利ですよ、簡単ですよ」とアピールするか、性能や機能について解説するかを見極めています。
自分との会話をきっかけに購入を決断して下さると嬉しいですよ。
なるほど、逆にここは苦手だな、きついなってものはあったりしますか?
自分が苦手としているのは、やはり値段交渉ですね。特にMacは値引きが厳しいので、いくらお客さまに頑張られてもできないものはできないわけで。
そうすると捨て台詞で「○○店で買うからいいよ!あっちの店員は態度いいからなーっ」とかわざと大声で言われて、それでもずっと頭を下げてお見送りするとか、面倒くさいなとは思います。
でも、自分の性格的にいちいち気にしないし、それよりも、売上目標が達成したときの充実感とか、今日もがんばったな!とビール飲む爽快感とかのほうが楽しいし。体育会系なんで、こういう仕事があってるんだなと思います。
これからは店舗、売り場独自のキャンペーンとか自分で企画してみたい。それで売上がアップしたら、それこそもっとビールうまいと思うんで(笑)
とにかく1日デスクワークとか自分はできないから、販売という仕事に就けて良かったと思っています。
ディスカウントストアでパートで働くAさんの1日
Aさん(33歳・女性・パート)ディスカウントストア勤務
9:30 | 出社 「おはようございます」「ありがとうございました」など声出し |
---|---|
10:00 | 開店 午前中は主にレジを担当 |
12:00 | 昼食 |
12:45 | 炊飯器やホットプレートなどの売り場で接客 |
16:00 | 退社 |
主な仕事
- レジ
- キッチン家電の接客
残業
残業はありますか?
ありません。
やりがいや厳しさについて
仕事のやりがいについて教えていただけますか?
土曜日をふくめ、週3日のパートで働いています。土曜日は時給が高くなります。
細かい説明を求めるお客さまにはメーカーから来たヘルプや正社員が対応しますが、キッチン家電はそれほど難しくはないのと、やはり女性のお客さまが多い(ご夫婦や家族でいらっしゃるケースも多い)ので、女性販売員がお声がけすると気楽に話して頂ける感じはします。
お客さまの反応を見ながら、強く押したほうがいいのか、3つくらいご提案して選んでもうらような方向がいいのか、さっと引いたほうがいいのか、パッと判断して、気持ちよくお買い物して頂けるように気をつけています。
圧力鍋をお買い上げ下さったお客さまが1週間後くらいにまたいらっしゃって、クレームかとドキドキしていたら「おすすめしてもらってよかった、使い方も簡単だし、あなたが教えてくれたシチューからカレーにする料理、家族にも好評よ」と声をかけて頂きました。
圧力鍋でシチューが簡単にできること、たくさん作って残りはルーをいれてカレーにするとおいしいですよ、と言葉をかけたんですよね。主婦目線で思いつきでお話したのですが、わざわざお礼を伝えて頂き、この時は本当に嬉しかったですね。
なるほどありがとうございます、逆に厳しかったなという部分はありますか?
厳しい面というか、意外と大変なのが家電製品に関心はないお客さまの対応です。
ディスカウントストアなので、担当している家電以外に「衣装ケースのコーナーはどこ?」とか「化粧品の売り場は何階? ○○化粧水が欲しいんだけど在庫あるか知りたい」と聞かれて、すぐ答えられないとイライラされることもあるんですよね。
一応、ショップ内の配置は覚えてはいますが、細かいことには答えられないので、状況によってはお客さまについて売り場へご案内します。でも人員削減で人手が足りていないので、その売り場の担当者は別の人を接客していたら、まったくわからなくても私が対応せざるを得ないことは時々あります。
あからさまに「もっとわかる人いないの?」なんて聞かれて、ちょっと落ち込むことはありますね。
家電の販売・接客は未経験からでも目指せる?必要スキルは?

家電の販売・接客に必要なスキルや未経験でも目指せるかについて説明します。
家電の販売・接客は未経験でもなれる
家電の販売・接客は未経験でもなれます。
求人情報を見ても、経験者優遇とかスキルといった条件がないものがほとんどです。ただ、マニアックな質問が多いオーディオ、カメラといった電気製品では経験者を募集している場合が多いですね。
他の家電に関しては、だいたい事前に資料を渡されたり研修があったりするので、未経験でも問題ありません。
必要なスキル
家電の販売・接客で必要なスキルは以下の通りです。
- コミュニケーション力
- 暗記力
コミュニケーション力
なんといってもお客さまの対応が重要ですから、コミュニケーション能力が必要です。
ただモノを売ればよいのではなく、店舗にいらっしゃったお客さまが購入してもしなくても「良い気分」で帰宅できるように、ほどよい距離感で声がけしたり、商品をアピールしなくてはなりません。
お客さまも「ただぶらぶらと見ているだけ」「必ず今日購入したくてきた人」「ネットで買おうか、いいのがあれば店舗で買ってもいいかなと思っている人」など、目的もそれぞれ違います。
短い会話で相手の目的を察して、お客さまが必要としている情報を伝えることも大切です。
暗記力
お客さまに何か聞かれるたびに、パンフレットを見て答えるようでは信頼されません。
家電製品は膨大な商品があり、それぞれの機能を覚えることが必要です。
慣れてくれば暗記していなくても、表示や機能表をパッと見ながらうまく話せる人もいますが、重要なポイントは覚えておくのが基本です。
家電の販売・接客に向いている人
家電の販売・接客に向いている人・向いていない人
向いている人 | 向いていない人 |
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適度な押しの強さ、へこまない性格、そしてなにより話し上手・聞き上手な人は販売員に向いています。
自然と笑顔で接することができる人はお客さまも話しかけやすいので、社交的で明るいタイプはピッタリですね。
人見知りなタイプや知らない相手と話すと緊張する人は向いていません。
実際に転職する場合に知っておくと良いこと

実際に家電の販売・接客として転職するときに、知っておきたいたことをまとめました。
家電の販売・接客が活躍できる会社とは
- ヨドバシカメラ
- ドンキホーテ
- ヤマダ電機
ヨドバシカメラやビッグカメラ、ノジマなど大手家電量販店は有名ですね。正社員のほか、パートや派遣の人も多く働いていますが、正社員になればボーナスもでますし、大手は経営が安定しているので転職先として人気です。
また、ディスカウントストアや大型雑貨・家具店なども電化製品を扱っています。
本社勤務は中途採用が少ないかもしれませんが、販売員の募集は常に行っているところが多いです。販売員として転職し、実績をつけながら売り込みの企画なども提案し、実力をつけて本部への異動を叶えるキャリアパスで転職を検討するのもよいでしょう。
販売など接客について気になる方は以下の記事も参考にしてください。
転職するなら
電化製品の量販店では、優秀な販売員を厚遇します。転職でどれだけ収入がアップするか、さらに会社内部の状態や経営状況をリサーチしてから転職先を決めたいですね。
たとえばノルマなどがあるのか、売上げ目標に満たない場合のペナルティーなどあるのか、内部の状況を知った上で転職するべきです。
しかし、なかなか店舗内の情報は自分では調べられません。専門のエージェントを利用するほうが安心です。
パートや派遣の募集も多いので、育児が一段落したところで復職を希望しているのであれば、転職サイトなどで調べて、まずはパートで働き「どんな感じか」「続けられそうか」を体験しましょう。
実際に販売職としての経験もつけた上で、エージェントに相談し、正社員として転職する方法もおすすめです。