無期雇用派遣で働くべき?経験者100人にアンケート!正社員・登録型派遣との違いとは

>>経験者100人に聞いた「無期雇用で働くべき?」

厚生労働省が作成している『無期転換ルール』に関するCMが↑こちらです。

派遣社員として働いていると、安定しない雇用や収入に不安を感じる人も多いですね。そんな不安をなくし、派遣労働者の雇用を安定化する目的で制定されたのがこの「無期雇用派遣」という制度です。

派遣の働き方は、ひとつではありません。今回は安定した雇用が望める「無期雇用派遣」を詳しく徹底解説します。

こんな疑問を解決していきましょう!

派遣社員の種類

派遣社員は大きくわけて3つの種類があります。

派遣社員の種類

一般的に皆さんが考える「派遣」は、登録型派遣です。無期雇用派遣は正式名称は「常用型派遣」です。さらに紹介予定派遣があります。今回、詳しく解説するのは、無期雇用派遣についてです。

無期雇用派遣(常用型派遣)と登録型派遣の違い

最初に、いわゆる普通の派遣社員(登録型派遣)と、無期雇用派遣(常用型派遣)の違いについて説明します。「無期雇用になったら今までの派遣とどう変わるの、何が違うの?」いちばん多い疑問を解決します。

無期雇用派遣と登録型派遣の違いは次の4つです。

派遣会社との関係性

無期雇用派遣と登録型派遣の一番大きな違いは、派遣会社との関係です。

無期雇用派遣と登録型派遣の違い

派遣会社と派遣先企業の関係はどちらも変わりません。違うのは、派遣スタッフと派遣会社の関係です。

無期雇用派遣は言葉どおり「派遣会社に無期雇用される」こと。無期=つまり「いつからいつまでと期限を決めずに」働けるという意味です。

最初に採用選考があり、派遣会社に雇われる形です。一般の派遣社員のように契約と更新を繰り返す必要がなくなります。

いっぽう登録型派遣は、派遣会社の社員ではなくあくまでスタッフとして登録し、派遣会社を通じて企業に派遣されます。登録型派遣社員は、派遣先企業に派遣されている間のみ、派遣会社に雇用されていることになります。

そのため登録型派遣の場合は、派遣先との契約が終了し、次の派遣先が決まらなければ契約終了となります。

給料体系

無期雇用派遣の給与体系

簡単に言えば、無期雇用派遣になると毎月途切れることなく、お給料が貰えるということですね。

派遣会社によっては休業手当など名称が変わることもあるようですが、収入が途絶えるということはありません。

無期雇用派遣 登録型派遣
派遣中 給料あり 給料あり
待機中 給料あり 給料なし

一般の派遣社員は、当然ながら派遣されていない期間は給料は支給されません。派遣先が見つからない・派遣されていない期間を「待機期間」と呼びます。

ブランクなく常に派遣先があればいいのですが、保証がない以上、派遣社員の収入に対する不安は消えません。

その点、無期雇用派遣になれば、毎月給与が出るので安心です。

収入の安定性

無期雇用派遣になると、多くは月給制*1になります。登録型派遣の場合は時給計算です。手取り額が同じくらいなら大きな問題ではないと思うかもしれません。

月給は、毎月決まった額が支払われます。例えばゴールデンウィークがあっても、夏期休暇を取得しても、基本となる月給は同じです。

では、時給ならどうでしょうか。

時給1,500円×8時間=12,000円

通常なら20日間勤務だったとして、12,000円(日給)×20日=240,000円の収入があります。

たとえば5月でゴールデンウィークの休暇が4日あるとしましょう。

12,000円(日給)×4=48,000円

約5万円近く、給料が減ってしまいます。ある月は24万円の収入があり、ある月は約19万しかない。

連休や祝日、休暇がある月はガクンと給料が減ってしまいます。月給制であれば、会社の休みを気にすることなく、安定した収入が得られます。

*1 無期雇用派遣でも時給制のところもあります。

3年以上同じ派遣先で働ける

派遣社員は、3年以上同じ派遣先・同じ部署で働くことができません。

同じ事業所で3年を超えて働くことは、基本的にできません。一定の手続を経れば、 3年を超えて働くことはできますが、異なる「課」などへ異動することが必要です。

引用:平成27年労働者派遣法改正法施行から3年を迎えるにあたっての確認事項/厚生労働省

いわゆる3年ルールですが、派遣を3年やったら、派遣先で正社員になれるようにサポートしなさい、あるいは無期雇用派遣にしなさい、つまり〝安定した雇用を結べるようにしないさいよ〟ということです。

無期雇用派遣になると、3年ルールの適用外になります。

一般の派遣社員は同じ派遣先企業で働くのは最長で3年。派遣契約書には「抵触日」が記入されているはずです。

抵触日は、派遣期間期限が切れた翌日のことです。無期雇用派遣には、派遣期間期限がないわけですから、抵触日もありません。

無期雇用派遣は、同じ会社の同じ部署で4年、5年と勤務できます。長く働くということは、派遣先企業にとって「欠かせない人材」となる可能性も高くなるでしょう。もしかしたら正社員への登用という道が開けるかもしれません。

>>派遣社員3年ルールの詳細

無期雇用派遣と登録型派遣の違いを表でまとめ

無期雇用派遣と登録型派遣の違いを、ひとめでわかるようにまとめました。

無期雇用派遣と登録型派遣の違い

項目 無期雇用派遣 登録型派遣
給料 月給制 時給制
昇給 あり あり(時給)
賞与 あり なし
交通費 あり あり
契約期間 無期 期限あり
備考 ・採用選考あり
・待機期間も給料あり
・派遣先の保証
・長期間の就業が可能でキャリア形成しやすい
・自由な働き方が可能
・登録のみで就業スタートが可能
・待機期間中は給料はない

派遣会社に雇われた無期雇用派遣と、正社員、ここに見えない壁があるんです。少しずつ違う「正社員との差」について、ここでは解説していきますね。

無期雇用派遣と正社員って似ているようで、実はまったく違う! 

無期雇用派遣と正社員って似ているようで、実はまったく違う!

さて、無期雇用派遣と登録型派遣の違いはわかりました。なるほど、月給をもらえて、ボーナスもある。正社員と同じってことね!と思った方、ちょっと待ってください!

派遣先企業の正社員との違い

まず派遣先の企業に在籍する正社員と、無期雇用派遣で長期にわたって派遣されている人の違いを見ていきましょう。

そもそも派遣先企業の正社員と無期雇用派遣社員は、雇用主が違います。雇用主が違うのですから、さまざまな待遇が違います。

たとえば、派遣先企業A会社の正社員は、A会社の福利厚生を利用し、給料をもらいます。

反面、A会社が社員にサービス残業を求めたとき、無期雇用派遣社員に同じ事を求められることは、ほぼないでしょう。なぜなら、無期雇用派遣の社員は、A会社の正社員ではないからです。

A会社の正社員であれば、時と状況に応じては、いわゆるサービス残業をしたり、土日に接待に行ったり、上司につきあえと言われれば、なかなか断りづらいはずです。しかし無期雇用派遣社員は、A会社の社員ではないので、わずらわしい関係はありません。

無期雇用派遣は、派遣先企業から見れば、自分の会社の正社員という感覚はありません。ただ期限をさだめることなく、働いてもらえる「派遣社員」という認識の方が強いでしょう。

派遣会社の正社員との違い

では、無期雇用派遣社員が所属している「派遣会社の正社員」との違いはどうでしょうか。

派遣会社によってかなり待遇等に差があるのが実情です。しかし、やはり派遣会社の正社員と無期雇用派遣社員は「違う」と感じる人がほとんどでしょう。

  • 出世しない
  • 管理職などのポストに就けない

現実的には上記のような違いがあります。もっと言えば、派遣会社の正社員の無期雇用派遣社員の間には「壁」があるように感じるかもしれません。

派遣会社の正社員からすれば、無期雇用派遣社員はあくまで「派遣スタッフ」であり、同僚という意識が薄い場合もあるかもしれません。

ただ、現在は派遣会社によっては、こうした壁をとりはらおうと改善しているところもあります。

無期雇用派遣のメリット・デメリット

派遣社員無期限雇用のメリットとデメリットを解説

無期雇用派遣のメリットとデメリットについて説明します。

メリットやデメリットを知り、自分が無期雇用派遣に向いているかを判断しましょう。

無期雇用派遣のメリット

  • 毎月安定した収入
  • 賞与がある(無い場合もある)
  • 派遣切りの心配がない
  • 長期で働けるのでキャリアアップが望める
  • 派遣期間期限(3年)をこえても同じ会社で働ける

無期雇用派遣で最大のメリットは、毎月かならず収入がある、安定した雇用という点でしょう。また正社員同様に賞与がある(大手派遣会社はボーナスがあるが、中にはボーナスがないところもある)のも魅力です。

また長く働けるということは、自分のキャリアを分断せずに積み重ねていけるということ。実績や経験値アップから「キャリアを磨きより良い仕事に就ける」「正社員をめざす」といった目標も叶いやすくなります。

派遣切りの不安もありません。ただし通常の正社員でもクビになることがあるように、無期雇用派遣もなんらかの理由によって解雇となることはあり得ます。

いずれにしても、来月の収入はいくらになるのだろう、次の契約は更新されるだろうかといった心配がないことは大きなメリットです。

このように言うと、無期雇用派遣はよいこと尽くしのように思えてきます。ただし、見方を変えるとデメリットになることもあります。

無期雇用派遣のデメリット

  • 自由な働き方ができない
  • 採用選考があり誰でもなれるわけではない
  • 状況によって希望にあわない仕事に就くこともあり

短期間の契約を更新していく派遣社員だからこそ、お金が貯まったら長期休暇を取るとか、子どもの予定にあわせて働くといったことも可能です。無期雇用派遣は基本的に自分でスケジュールを組みながら働くことはできません。

派遣会社としては、無期雇用派遣社員を派遣させずにいても給与は支払うので、待機期間があれば不利益につながります。そのためブランクなしに派遣先をだしてくるでしょう。

よほど悪条件でもない限り「この仕事は嫌」と拒むことは難しくなります。時には短期間でいろいろな派遣先に行かされる可能性もあります。

デメリットとは少し違いますが、最初に派遣会社の採用選考があるので、登録するだけの派遣社員と比べてハードルは高いですね。書類選考や面接を受けて採用されないと無期雇用派遣にはなれません。

無期雇用派遣で働く方法は2つ! 

無期雇用派遣で働く方法は2つ! 無期雇用派遣で働く方法は2つあります。

派遣社員として通算5年以上働いている人は、派遣元会社に無期雇用への転換を申し出ることができます。条件については、次で解説しています。もうひとつは、無期雇用派遣の募集を見つけて応募することです。

では、2つの方法をより詳しく見ていきましょう。

①無期雇用への転換を申し出る

無期雇用転換の条件3つとは

その1
同一の使用者*との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(これを「通算契約期間」といいます。)が、5年を超えていることが要件となります。

その2
契約更新が1回以上行われていることが無期転換申込権発生の要件となります。

その3
通算5年を超えて契約をしてきた使用者との間で、現在、有期労働契約を締結していることが要件と なります。

引用:無期転換ルールハンドブック/厚生労働省

もう少し、わかりやすく説明しましょう。

今現在働いている派遣元会社で、契約が複数回更新されていて、その期間が通算で5年以上になっていれば、派遣社員は派遣元会社に「無期雇用転換」を申請できます。申請された場合、派遣元会社はこれを断ることはできません。

無期転換ルールとは、平成24年8月に成立した「改正労働契約法」(平成25年4月1日施行)により、 対応が必要になった雇用に関する新たなルールのことです。

引用:無期転換ルールハンドブック/厚生労働省

上記のように、労働法で守られた権利です。上記3つの条件にあてはまり、あなたが希望して申請をだせば、無期雇用派遣へと転換されます。

この「5年」の基準は無期雇用契約への申し出制度が定められた2013年4月から数えます。同じ派遣元企業で働いている場合でも、2018年4月(2013年4月から5年)まで派遣契約を継続していなければ無期雇用派遣にはなれません。

②「無期雇用派遣」の募集へ応募する

5年も待てない!今すぐに無期雇用派遣になりたい!という人は、無期雇用派遣の募集に応募する方法があります。

大手派遣会社の無期雇用派遣募集状況

派遣会社名 無期雇用派遣の名称
応募先
テンプスタッフ ファンタブル
アデコ ハケン2.5
リクルートスタッフィング キャリアウィンク
パソナ プロ社員


現在では、多くの大手派遣会社が独自の「無期雇用派遣」を行っています。たとえばパソナでは、無期雇用派遣社員の制度とは別に、さらに「プロ社員(無期雇用派遣)」があります。特別休暇の有無や研修サポートが大きく違います。

それぞれ、選考があり、かなり難しいところもあるようです。もっとも正社員登用も厳しいものですし、安定した雇用だけでなく、キャリア形成まで見据えたサポート体制など、メリットは非常に大きいです。無期雇用派遣を検討している方ならチャレンジしてみましょう。

条件の良い無期雇用派遣で働くためのコツ

複数の派遣会社に申込みをしよう!

無期雇用派遣での求人は多くありません。希望通りの求人はなかなか見つからないでしょう。しかも求人を見つけても、それから採用試験を通らなくてはなりません。

条件の良い無期雇用派遣で働くためには、複数の派遣会社に申込みをすることです。派遣会社によって無期雇用派遣の待遇や条件は違います。多くの無期雇用派遣の求人を見ることで、希望にあったものが見つかる可能性が高くなります。

さらに、採用試験についても、1度のチャンスより何度も受ける機会があるほうが、受かる確率も上がります。

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アンケート(無期雇用派遣として働いたことのある人) の結果

無期雇用派遣経験者に聞いた時給や福利厚生に関するアンケート

無期雇用派遣として働いてみてどうだったか、実際の意見を聞いてみたいですね! 

そこで、無期雇用派遣として働いたことがある人に月給や福利厚生、良かったこと・悪かったことなどを聞いてみました。リアルな声は、無期雇用派遣に興味がある方にとても参考になると思います。

無期雇用の評価は賛否両論

Q1:給料は月額いくらでしたか?(手取りで)

無期雇用派遣の月給Q2:ボーナスはありましたか? 

ボーナスはありましたか?

はい 約70%
いいえ 約30%

Q3:福利厚生はどういった内容のものがありましたか?(複数選択) 

Q4:社会保障制度はどういった内容のものがありましたか?(複数選択)

社会保障制度 ある なし
健康保険 約80% 約20%
厚生年金 約75% 約25%
雇用保険 約78% 約22%

その他の福利厚生

その他の福利厚生はどういったものがありましたか?

住宅手当 5人
家族手当(扶養手当) 5人
特別休暇 11人
社員食堂 15人
社員旅行 7人
スポーツクラブなどの利用 6人

Q4:無期雇用派遣で良かったと思いますか?

無期雇用派遣で良かったか

「はい」と答えた人の理由

  • なるべく同じところで働きたかったので無期雇用で働けたことは良かった。
  • 仕事がなくならないという安心感がある。
  • 仕事に対する意欲がわき、就労に対してまじめに取り組むことができた。
  • 無期雇用は収入も安定して保険もつけてくれたので生活は楽になった。
  • 毎月安定した収入が得られるので、精神的に余裕が出来る。
  • 無期雇用なので有給もあり社会保険の加入が助かります。
  • 万が一勤め先の企業が廃業したとしても派遣会社から継続して給料が受け取れるメリットが大きい。
  • 途切れることなく働けるため長期的なキャリアを考えるきっかけとなった。

「いいえ」と答えた人の理由

  • 結局派遣は派遣なので、正社員と比べて能力があっても上にはいけないので。
  • 退職後の年金など、老後の備えを蓄えることができなかった。
  • 派遣先を自分の意思で選べなくなってしまった。
  • 派遣先に正社員として迎え入れてもらえる場合もありますが100%ではありませんし、働き続けたいのであれば初めから正社員を目指すのが得策。
  • 雇止めの心配はしなかったが、派遣先の正社員と比べるとほぼ同じ業務内容の人でも待遇が明らかに悪かった。

調査方法:インターネットアンケート
アンケート母数:計83名
実施日または時期:2019年10月16日~2019年10月30日
調査会社:株式会社ネクストレベル

まとめ:無期雇用派遣として働くかどうかは自分次第 

自分のスタイルに合わせて無期雇用派遣として働くかを決めましょう

どうでしたか?無期雇用派遣にはメリットとデメリットがありますね。ざっくり言えば、以下のように考えて検討してみましょう。

雇用の安定を望む

無期雇用派遣のほうがいい

自由な働き方をしたい

登録型派遣のほうがいい

大切なのは、自分が何を優先すべきか、です。

収入の安定なのか、自分なりのスケジュールで働きたいのか、将来的に正社員登用が目標なのか。あなたの目的やキャリアプランを考えた上で無期雇用派遣として働くかどうかを判断してくださいね。