各派遣会社が公開するマージン率
平成24年度改正労働者派遣法の施行によって、派遣元会社はマージン率の公開を義務付けられました。各派遣会社の本社又は主要オフィスのマージン率をみてみましょう。
※労働者派遣に関する料金の額の平均額(1日8時間あたりの額)=派遣料、派遣労働者の賃金の額の平均額(1日8時間あたりの額)=派遣労働者賃金とする
◇スタッフサービス 新宿登録センター
派遣料金(※) | 20,044円 |
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派遣労働者賃金 | 14,309円 |
マージン率 | 28.6% |
公式HP情報 | スタッフサービス |
◇リクルートスタッフィング 本社
派遣料金 | 21,144円 |
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派遣労働者賃金 | 14,656円 |
マージン率 | 30.7% |
公式HP情報 | リクルートスタッフィング |
◇アデコ 首都圏1
派遣料金 | 21,432円 |
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派遣労働者賃金 | 15,386円 |
マージン率 | 28.2% |
公式HP情報 | アデコ |
◇テンプスタッフ 新宿オフィス
派遣料金 | 20,059円 |
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派遣労働者賃金 | 15,054円 |
マージン率 | 25.0% |
公式HP情報 | テンプスタッフ |
※派遣料金:派遣先の会社から、派遣元である派遣会社に支払われる料金
(派遣料金の平均的な指標:厚生労働省の派遣事業報告書 )
上記データは各オフィスによって業種や派遣形態の違いがあるので一概に比較はできませんが、24%~34%までマージン率は様々あるという結果です。たしかに上記の4つのマージン率の平均は約30%で、全国のマージン率平均31%に近い数値です。
マージン率とは
マージン率は派遣料金から派遣労働者賃金を引いた額が派遣料金全体に占める割合です。
例えばソフトウェア開発業の場合、令和4年一般労働者派遣事業の派遣料金は17,768円、派遣労働者の賃金は12,250円です。
この場合、マージン5,518円÷派遣料17,768円=マージン率31%(小数点以下一位四捨五入)です。
マージン率が低い方が良いのか?
マージン率の違いは?
マージン率は職種によっても違いますし、同じ職種でも雇用形態によって違う場合もあります。先ほどの例のソフトウェア開発業でも、特定労働者派遣事業は正社員を派遣する事業ですので、派遣料金30,301円、派遣労働者賃金18,512円、マージン率39%とさらに高い相場です。
同じようにファイリング業を算出すると派遣料金14,798円、派遣労働者賃金10,458円マージン率29%と低い相場です。このように、ソフトウェア開発業等の専門性の高い業種の方がマージン率も高いようです。
派遣会社によってもマージン率は違います。以前私は企業の経費の精算等を担当しており、派遣社員の給料も扱っていました。明細には派遣料と給料支給額が掲載され、金額を見てビックリしたのを覚えています。派遣料が約35万、派遣社員の給料が約20万でした。マージン率は40%を超えています。
ところが別の派遣社員の明細をみてみると、派遣料は約37万で給料約25万でした。マージン率は32%です。この2人の派遣社員の派遣元の会社は違いました。
同じ仕事内容でも派遣会社によってマージン率が違うのはなぜでしょう。また、単純にマージン率が低い方が派遣社員にとっては得なのでしょうか。
マージン率が低い場合のメリット
マージン率40%よりマージン率30%のほうが単純に支給額が増えます。中小の派遣会社の中にはマージン率が低い会社があり、大手派遣会社と同じ時給相場の求人もあります。
では同じ求人が、大手派遣会社A社:時給1500円:マージン率40%と、中小派遣会社B社:時給1500円:マージン率30%でだされている場合、マージン率の低いB社のほうが派遣社員に利益を還元している良い会社なのでしょうか。
マージン率が低い場合のデメリット
マージンというのは粗利です。マージンの中には社会保険料や有給休暇費用、教育研修費用、営業担当の人件費等の必要経費が含まれています。
“余白”を意味する“マージン”とは、利ざや・粗利・手数料といった意味で使われます。上記データの派遣料金から派遣労働者の賃金を引いた額が、派遣会社のマージンです。マージンには必要経費が含まれています。
マージン率が低い派遣会社は健康診断や有給休暇等、充分な福利厚生が受けられないところが多いのです。研修施設や制度が整っておらず、会社としての規模が小さいということもあります。
マージン率で派遣会社を選ぶと失敗する?!
派遣料金については法律の規定レートなどは設けられておらず、各派遣会社と派遣先企業との間で決定されます。中小規模の派遣会社の中には派遣料金を低い金額で契約している会社もあります。
その場合、マージン率を下げて他のライバル派遣会社と同じ時給で求人募集をせざるを得ません。
その際は帳尻あわせが必要になるわけですから、有給休暇がとれなかったり手当てがカットされたりします。その事実を知るのは、同じ時給で同業務を担当している他の派遣会社の同僚が有給をとってお休するときです。条件の違いに後から後悔することがないように、時給やマージン率だけで派遣会社を選ぶのはやめましょう。
また、それぞれの派遣会社では求人に特徴があります。
例えば営業職に強い派遣会社、アパレル業界に強い派遣会社など、求人件数や時給に差があります。派遣会社を選ぶ際は時給と仕事内容、マージン率と福利厚生等のメリットが適正であるかの確認をしましょう。
派遣会社ごとの口コミなどを参考に失敗しない派遣会社を選んで、自分の希望条件に近い仕事に就くには、複数の派遣会社に登録して比較検討するのが良いでしょう。
派遣社員として働く方の多くは、リクルートスタッフィングやスタッフサービスといった大手派遣会社複数社に登録し、見事希望の仕事に就いています。
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