転職で年収交渉は可能?経営者に聞く成功する年収交渉術

編集部の加藤

編集部の加藤です!

今回のテーマは「年収交渉」についてです。

「もう少し年収が高ければ満足なのに」「これだけ頑張っているのに年収が上がらないことに不満」現状の年収が低いと感じた時に候補に上がるのが年収交渉です。

また、転職時も「もう少し年収が高ければここに決めるのに」と悩む方もいるかと思います。

この記事では、年収交渉を受ける側の思考、そして年収交渉を成功させた人の思考にクローズアップし、成功する年収交渉の考え方をまとめました。

教えてくれた人
今回お話を聞いたのは当メディア「ミライのお仕事」の運営会社である、株式会社ネクストレベルの代表取締役の田中です。起業する前の会社員時代、年収交渉に成功してアップした経験があるとのこと。さらに、年収交渉を受ける側の経験もあり、どちらの目線も経験しているからこそのお話をしてもらえました。

そもそも年収交渉する人ってどうなの?

そもそも年収交渉する人ってどうなの?

編集部の加藤

今日は「年収交渉」という、なかなか難しいテーマなのですが、社長には経営者視点でいろいろとお話を伺えればと思います。さっそくですが、経営者の立場から、そもそも年収交渉をする人はどのように見ますか?

いつ、どのような時に、どんな状況にあって「交渉」するのかによります。たとえば入社前に年収交渉してきたら、僕は採用しないです。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

はっきりと言い切りますね、理由を教えてください。

その人の実力がまったくわからないからです。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

実際の仕事ぶりもわからないうちから、年収を上げてほしいといわれても「はいわかりました」とは言えません。

なにしろ、どのような働きや実績をあげるか未知数なわけですから、こちらが会社内の年収を基準として提示した金額が低いと言われても、困ってしまいます。僕なら採用しませんね。

そんなわかりきったことを採用時に交渉してくるのはその人にセンスがないなと思うからです。もっと賢いやり方があると思いませんか?

編集部の加藤

賢いやり方とは?

交渉は大切だけど相手側の立場になって考えてみたら、いきなり何の実績も見せていないのに年収交渉してきたら、ちょっと違和感があるだろうとは容易に想像つくことです。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

もし3ヶ月後や半年後に実績を土台にして年収交渉してきたならわかります。ですが、何もない時点で交渉するのはセンスがない。そしてセンスがない人は仕事もできないことが多いと僕は思っているので採用しないですね。

編集部の加藤

年収は会社への貢献や実績に紐づいているものであり、その貢献や実績が不透明な段階での交渉に、「はい」という経営者はほとんどいないでしょうね。

転職エージェントに年収交渉をしてもらう場合

編集部の加藤

では、転職エージェントを利用して、入社前に年収交渉をするケースではどうでしょうか。

エージェントから、こんなスゴイ人材ですよ、スキルあります、他社からも引く手あまたですと言われたら、それならウチはこれだけ出しますよと返答するかもしれません。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

でも、これはこれで難しいところです。

エージェントが本当にその人の実力を理解していればいいけれど、そこもわかりませんよね。わからないのに競争相手がいるような雰囲気になると、オークションみたいになって年収をつり上げてしまうところがあります。

実際のスペックとかけ離れて年収交渉が進んでしまうわけです。

要するに本人の実力以上の売り込みをされて、信用して採用したら結果がついてこないことも実際にあるということです。

会社としては、鳴り物入りで入社した人材が、あれ?こんな感じなの?となれば、今度は逆に年収を下げる交渉をしなくてはいけない。

わかりやすく例えてみると、エンジニアを募集したとします。

エンジニアの平均的な会社の年収が600万だったとして、その金額を提示したらエージェントを通して交渉してきた。そこで「そんな素晴らしい人材ならば」と700万に上げたとします。

当然ながら、当初の想定より100万円アップしたプラスαの働きをその人に期待します。

エンジニアなら、プログラミングのスキルだけとっても、精度とかスピードとか高いものが期待されます。そうでなければ、現在いる年収600万の人たちと不平等でしょう?

編集部の加藤

それはそうですね。

そして、本当にその人が素晴らしいスキルの持ち主ならいいですけど、期待に応える働き方をしなかったら「やっぱり600万にします、それが嫌ならやめてください」となってしまいます。自分のスペック以上のものをアピールして年収交渉したとしても最終的に自分に戻ってくるから、そこは充分に考えたほうがいいと思いますね。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

実際に年収交渉をした時のエピソード

実際に年収交渉をした時のエピソード

インタビューの最中に、ふと思いついたように田中社長が「あなたは年収交渉はしたことあるの?」と問いかけました。まさかの逆インタビューがスタートします。

逆に聞きたいんだけど、年収交渉ってしたことってある?

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

実は、あります。前の会社ですけども。

その時はどのように年収交渉をした?

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

わたしの場合は、中途採用で1年ほどたった時に、周りの同規模の会社の社員と比べても低いなと思ったので年収交渉をしました。過去1年の実績やデータを揃えて、同業種・同規模の他社の年収などの数字も調べて、これくらいもらっていいのではないか、といった感じの交渉ですね。

なるほど。それで交渉した時の会社側はどんな対応でした?ピリピリしてた?ほがらか?

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

年収交渉をするような企業ではなかったので、最初はとにかく驚かれました。

ある程度の規模以上の会社なら、決まった給与体系があるはずです。給与規定にそっていくのが普通なところに、いきなり給与の交渉をする人が出てきた。会社が嫌がるとか、あるいは嫌がらせを受けるとかはなかった?

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

なかったですね。直属の上司に話をしたら、それはそうだねと理解してくれたので上司と共に経営者と話をしたので……。

経営者の人は、検討しましょうといった流れになったのかな。結果として年収は上がった?

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

ある程度はですね。ただ、希望通りに年収は上げるけど、数字が落ちたら下げるかもしれないよと釘は刺されました。ですからその分がんばって、自分の実力がそれ以上になるように必死でした。

それができるなら、僕も年収交渉には反対しません。2年目に実績をベースにして、加えて同じような会社の同じような仕事をしている人の年収と比較しても明らかに劣るような場合の年収交渉で理に叶っていると思う。むしろ、そういうやり方ならいいと思います。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

下がるかもしれないとはハッキリ言われましたが。

下がるかもしれないと口にした経営者の言葉も正しくて、当たり前のことです。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

仕事や実績と見合っていなければ一度上げた給与を下げるのは当然です。ただ、この辺の基準というのは会社の規模や体力にもよるし、職種や業界にもよるし、一概には言えない難しさはありますけどね。

僕も実は年収交渉した経験があるので、実例としてそれをお話ししましょうか。

田中社長の年収交渉「体験談」とは

年収交渉のイメージ画像

編集部の加藤

社長が会社員の時は年収交渉をしたことありましたか?

僕も入社前でなくて、仕事をしてしばらくたってからのことですよ。その時はまず社長の役員報酬を聞きました。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

えっ?!社長にいくら年収とっているかを聞いたのですか?!

そう(笑)

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

自分でも今思うとスゴいなと感じますけどね。

それはもちろんビックリされました。なぜ聞いたかといえば、自分の年収交渉以前に、そもそも会社がどうして利益体質ではないのかを見極めたかったからです。

利益があがれば社員の給料も上がるはずなわけで、ボトルネックとなっているのは利益体質になっていない当時の会社の仕組みにあると思ったからです。

編集部の加藤

なるほど。非常に理にかなっていますね。

社長の他に役員がいて、その人もそれなりの役員報酬を得ていました。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

ところが何をしているかといえば、社長は自ら営業などしていましたが、この役員は経理っぽいことを少しと銀行とのやり取りくらいしかしていない。

それなら経理は自分がやる、銀行とのやり取りは社長がやって下さい、だからその人にやめて頂くことはできないかと話しました。

それだけの人件費が削減されれば、利益が上がりますからね。

編集部の加藤

えっ、他の人にやめてもらうように説得って考えもしない発想ですね。それを社長にお話されたわけですね。

まぁ、今思うと、すごいけどね(笑)

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

だけどある人の給料が完全にムダになっている、それを営業などに回せば業績が上がる可能性が高いことはわかったいたので、結果的に会社にとっても良いことだと思ったからこそ話しました。

自分の年収アップ以前の問題ですよ。会社が成長しないと利益どころか赤字体質になってしまうのは、会社にとっても良くないことだし、赤字なら自分の年収が上がるわけがないのですから。会社全体の成長を考えての提案です。

編集部の加藤

なるほど。

僕も営業をしました。他にもいろいろなことをしてましたけどね。でもとにかく、よし利益体質にしよう、それで利益をあげて年収アップにつなげようと考えたから、まず自分自身の営業で結果を出しました。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

上場企業から1億円の仕事をとってきました。その実績があるからこそ、僕はその後も会社にいろいろと提案できたと思います。

編集部の加藤

それだけの実績というか、会社への貢献があれば当然、会社の方も一社員の話であっても耳を傾けますよね。

その時に給料を上げてとは言いませんでした。会社のことも考えたからです。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

会社にストックがないと不安です。それに利益が上がってきたとして分配について順番に考えたら、最初は社長です。取るべき人がまずとって、そこから家賃とかさまざまな経費を考慮し、加えて新しい人材も入れられるようにとお金を分配していきました。

編集部の加藤

それはもう経営の仕事領域に入りますよね。会社員時代で利益の分配まで考えて仕事をしているのは純粋にすごいです。

年収交渉をするなら「実績」と「数字」で納得してもらう

編集部の加藤

それから年収交渉をしたのでしょうか?

そうです。自分で給料を考えて、ようやく年収を上げてほしいといわゆる年収交渉をしました。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

結果はいかがでしたか。

1億円の仕事をとった実績を出して、しかも会社のあり方まで充分に考慮した仕組みを構築した上で行ったわけですから、もちろん年収はアップしました。といっても、かなり謙虚な年収アップだった記憶はありますが(笑)

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長
編集部の加藤

リアルなお話で、そういう考え方もあるのだと驚いています。

つまりね、年収交渉するなら、実際の数字をあげていくことです。あなたも実績をあげて、根拠となるデータを揃えてから年収交渉をしたからうまくいったのだと思いますよ。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

とにかく、ただ年収あげて下さいというのは理にかなっていません。自分だけでなく、会社全体を見ることが大事です。

会社の規模にもよるけど大きなところだったら部署で考えてもいいかもしれません。

たとえば営業なら、自分がとってきた仕事に対してどれほどのインセンティブかなんとなくわかっているはずです。

さらに会社はいきなり生まれてきたわけではなく、そこまで積み上げてきた人々がいることも忘れてはいけません。この辺を飛ばして自分のことだけ考える人が多いのですが、後から入ってきて「これまで会社を作り上げてきた人たち」のことを考えないのはダメですね。

会社全体を見て、一緒にがんばって会社をよくする。より働きやすい環境を作り、実力もアップさせて、会社自体が成長すれば働く人の待遇も良くなるはずです。

逆に言えば、そうした努力や実績をあげてきた社員に対しては会社側のほうから年収を上げる提案をしてこないほうがおかしいとも言えます。

会社の売上に直接関与をしない職種でも年収交渉はできる?

編集部の加藤

先ほど、営業マンの話が出ましたが、例えば人事とか総務とかいわゆるバックオフィスで利益に直接関わらない立場の人はどうやって年収交渉をすべきと考えますか?

バックオフィスは確かに年収交渉は難しいけれど、商材によるでしょうね。1つの商品やサービスが売れるまに関わっている人を整理して考えるといいかもしれません。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

何にお金がかかっているのかを把握する資料を作ってみると、わかりやすいと思います。

僕らのようなメディア事業だとしたら、売上とコストをだして利益を計算する。利益を関わっている人で分配していく。

社労士とか行政書士とかもいるかもしれませんが、そういう人たちは直接タッチしていないけど会社へは貢献しているわけだから5%は配分しよう、といったようにですね。

編集部の加藤

なかなか大変そうです。

大変ですよ、年収交渉というのは実際に大変なことなんですから。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

そもそも全員が納得する形というのはなかなかできません。雇用形態だってさまざまでしょう。管理職、社員、リーダー、アルバイトもいれば外部委託もあるかもしれない。

ただ、とにかく言えるのは唐突に「年収上げてください」ではうまくいかないということです。会社が利益をあげるシステムと、その利益をどのように分配するのか、さらに会社にいる、それぞれの立場を考えること。

そして資料はすべて数値化して、きちんと実績も分配も可視化できるようにしておくことです。その上で「だからこれだけの利益をこう分配して下さい」と提案すれば、結果的に自分の年収アップへと結びつきます。

編集部の加藤

確かに。それだけ考えて動き、交渉できるスキルがあればどこに行っても通用しそうです。

人件費というのは会社経営ではもっとも大きなポイントですから、それは社員から何かを提案するのであれば大変なことにはなります。

ミライのお仕事のインタビュイー
田中社長

ただ、今言ったようなことができる人は、会社の利益そのものをアップさせることにも貢献するわけですから、そうした人材なら年収交渉もうまくいくでしょう。

年収あげてくれというだけでなく、会社全体を見て交渉したらいいと思いますよ。

編集部の加藤

たいへん勉強になりました。思わぬ逆インタビューで焦りましたが(笑)社長のリアルな体験談もお伺いできて、とても有益な内容になるかと思います。ありがとうございました。

まとめ:入社前の年収交渉の成功率は低い。計画的に年収アップを狙おう

入社前の年収交渉の成功率は低い

給与交渉を受ける側の目線、そして給与交渉に成功した事例のお話を伺いました。

まとめると、入社前の年収交渉はすべきではないこと。そして、年収交渉をするのであれば、経営側が納得できるデータと根拠を持って臨む必要があるという結果でした。

入社前に交渉できる唯一の方法は転職エージェント

話の中で、入社前に転職エージェント経由での交渉ならばアリというお話がありました。

転職エージェントに希望の年収を伝えると、エージェントはその年収で内定の可能性がある求人を紹介してくれます。入社が決まってからの年収交渉よりも、初めから年収アップを前提に転職活動をする方がスムーズでしょう。

逆に、転職エージェントから見て、その年収は難しいと言われてしまった場合、スキルや経験がまだまだ足りていないとも言えます。

年収が高い人材は利益を出せる人です。この利益は直接的な売り上げもあれば、効率化など間接的な利益もあります。

転職の際に、自分が今までにどのような利益を上げてきたかをきちんと伝えていくことができれば、年収交渉の成功率もアップするはずです。

ハイクラス・高収入の求人が豊富な転職エージェント

今よりも年収をあげ、もっと上流工程のポジションにチャレンジしてみたいと考えているのであれば、ハイクラスや高収入の求人を多く取り扱う転職エージェントに複数登録するのがおすすめです。

なぜ、「複数」なのか、簡単に言えば、担当エージェントによって、あなたのスキルや力量の判断が違うからです。

例えば、現在400万の年収で、500万での転職を望んだ場合、転職エージェントA社ではいけると判断したが、B社では450万が限界と判断するかもしれません。

であれば、A社の人に推薦をしてもらった方がより良い条件の求人を探してくれますし、年収交渉をしてもより魅力的に伝えてくれるはずです。

以下で紹介するハイクラスの転職エージェントを複数登録し、まずは初回面談まで進め、「希望はこの年収ですが、今のスキルで可能ですか?」と聞いてみてください。

一番反応が良いところをメインに活動していくと良いでしょう。

まず登録しておくべきなのがこの2つです。

この2つはいずれも無料です。

他にも、おすすめの転職エージェントを下記の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

年収アップを望むのは良いことですが、その年収分のスキルや実績は必要不可欠です。転職で年収をアップするというのは、自分のスキルや経験に高い価値をつけてくれる企業を探すということ。

自ら企業に応募していくスタイルよりも、「相手から是非うちで働いて欲しい」と言ってもらえる活動方法を選ぶことをおすすめします。

転職エージェントの中にはスカウト専門のヘッドハンターも所属していますから、いますぐに転職する気がなくても、今の職場で年収交渉を考えているとしても、年収を上げたいのであれば、登録してスカウトを待つのも一つの方法です。