編集部の加藤です!
派遣のお仕事でも、研究・研究開発職と聞くと「すごく難しくて堅苦しい仕事なんだろうな」と思ってしまいませんか?
派遣社員として研究・研究開発のお仕事をする場合には、以下のようなさまざまな企業や機関に派遣されます。
- 医薬品・医療機器メーカー
- 素材・化学系メーカー
- 電気機器製造メーカー
- 大学などの学術研究機関
こういった派遣先で、主に分析機器を使用して開発品の分析を行ったり、既に市場に流通している製品の品質検査を行ったりします。
中には、実験自体を任されるような派遣先もあり、事務職などのルーチン業務に比べると若干複雑なお仕事を担当することもあります。
それでは、もう少し詳しく、研究・研究開発職の派遣のお仕事内容を紹介していきます。
研究・研究開発の仕事内容とスケジュール
研究・研究開発の1日のスケジュール、流れ
ある研究・開発職の派遣経験者の1日のスケジュールを紹介します。基本的には測定器を使った分析業務が多く、その日の最後に業務報告を行います。
8:45 | 出社 | メールチェック その日の作業を進めるために必要なものを準備 |
---|---|---|
9:00 | 始業 | 作業開始 必要に応じて、担当者の方と打ち合わせ&情報共有 |
12:30 | お昼休み | 食堂にて昼食 |
13:15 | 午後の業務 | 午後からの分析作業 サンプル作成業務を開始 |
17:30 | 終業 | 機器のシャットダウン その後、一日の測定データまとめ 業務報告などを実施 |
17:45 | 退社 | 残業がなければ退社 |
研究・研究開発の仕事内容
研究・研究開発職としての具体的なお仕事は、以下のようなものがあります。
分析装置を 使った評価 |
・研究・研究開発職のメイン業務が分析業務 ・依頼された試料の特性を測定するために、専用の機械を使用して分析を行う ・測定装置ごとにマニュアルがあり、測定方法も教えてもらえる ・分析を繰り返すことで操作にも慣れてくるため、ほとんどの測定器の操作方法が未経験でも習得可 |
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試料サンプル の作成 |
・分析業務が主な仕事である研究の派遣職だが、分析に用いる試料やサンプルを自ら作成するお仕事もある ・作成する試料やサンプルもさまざま
|
データ入力 解析 |
・自ら分析を行った結果のデータ入力を行い、場合によってはエクセルのマクロなどを使用して解析を行う業務 ・基本的には、指定されたエクセルにデータを入力することになるが、派遣先によっては独自の分析システムを使用する場合もある |
分析・評価結果 の報告 |
・分析結果などの報告作業も大事なお仕事の一つ ・データの報告のみではなく、分析結果から推察されることについて、報告を求められる場合もある ・報告作業もフォーマットに沿って行うことが多く、場合によっては担当者との打ち合わせで報告を行うこともあり ・報告形式も派遣先や担当する業務によって異なる |
その他実験 補助業務 |
・分析評価やデータまとめ以外にも実験の補助業務を行う派遣先もある ・実験に必要な試薬の補充や評価用サンプルの準備といった、単純作業が代表的なお仕事 ・評価用機器のメンテナンスの担当を任されることもある |
研究・研究開発に必要なスキルとあると有利な資格
ここでは研究・研究開発職に必要なスキルや有利な資格を紹介します!
研究・研究開発の仕事は、「分析・解析」「試料サンプル作成」など、聞いただけで難しそうに感じるお仕事かもしれません。
しかし過度に心配する必要はありません! 装置の使い方やお仕事の進め方は担当者に教えてもらえますし、危険な試薬などの使用は派遣職に任せることはほぼありません。
また、研究・研究開発に活用できる専門的な資格を取得すれば、派遣先の選択肢を増やすこともできます。
研究・研究開発職に必要なスキル
研究・研究開発のお仕事は、分析から測定データのまとめまで、働きながらさまざまなスキルを磨くことができます。
ここでは、研究・研究開発の派遣職として働く上で必要なスキルを紹介します。
- パソコンスキル
- コミュニケーションスキル
- 研究に関わる装置を扱うスキル
- 必要な専門知識を学ぶ積極性
- 観察力や注意力
【パソコンスキル】
最低限必要な技術スキルとして、パソコンを扱うスキルがあります。
データ入力などはもちろん、測定器の起動や設定自体をパソコンで行うことがあるため、パソコンを扱える必要があります。
派遣先によっては、マニュアルが完備されているのはもちろん、複雑な操作を行わなくていいように設定してくれている場合もあります。
【コミュニケーションスキル】
研究職は黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、その日に行う分析内容などの業務詳細について、担当者と話をすることが多くなります。
また、測定器や評価に使用する試薬などを複数人が使用する場合は、使用タイミングを相談しなければいけません。
トラブルが発生した時には、周囲の人への相談が必要なこともあるので、最低限のコミュニケーションスキルは必要です。
【研究に関わる装置を扱うスキル】
研究職の派遣は、必ずといっていいほど分析機器を使用することになります。
分析機器には、スイッチを押すだけで測定が始まるものや、測定条件を変更しながら複数回測定を行うなど、さまざまなものがあります。
また、分析機器の簡単なメンテナンスを行う場合もあり、機械を扱うことに抵抗がないことが求められます。
【必要な専門知識を学ぶ積極性】
派遣先の研究部門が、どういった分野で何のための研究をしているかといった専門知識を学ぶことも重要です。
また、自分が扱う分析機器で測定するものにどういった意味があるのかなど、興味を持って勉強することも求められます。
担当者に積極的に質問するなどして知識を広げることで、他の派遣先でも応用が効くようになります。
【観察力や注意力】
分析を行っていると、測定データの中には異常と感じられるような数値を示す場合もあります。
その場合は、再測定を行ったり、他とは違う何らかの特徴があることを担当者に報告する必要があります。
数値データはもちろん、測定中のサンプルの変化に注意することも、研究職には重要なスキルです。
研究・研究開発職にあると有利な資格
研究・研究開発のお仕事は、評価用の試料サンプルを作ったり、分析装置を使った評価やデータ解析を行うことがほとんどです。
ここでは、研究・研究開発として働く上で役に立つ資格や、採用に有利になる資格について紹介します。
- 危険物取扱者
- MOS
(マイクロソフト オフィス スペシャリスト) - バイオ技術者認定試験
- 技術士
- 放射線取扱主任者
危険物取扱者
研究系のお仕事では試薬などを使用することがあり、火災の可能性の高い「危険物」に該当するものもあります。「危険物取扱者」は、この「危険物」を取扱うことができる資格です。
特に人気が高いのは「乙種第4類危険物取扱者(乙4)」で、危険物の約8割を取り扱うことができます。
上級資格である「甲種」は、受験資格として大学での学習経験などが必要です。学習経験がない場合、乙種を取得して2年以上の実務経験や、乙種の中で4つ以上の資格を有する者などの制限もあります。
「乙4」の合格率は35〜40%ほどですが、活用範囲は広いので資格取得を目指してみましょう。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
研究・研究開発の業務では、分析結果の解析や評価結果の報告が必要となります。これらの作業には、MicrosoftOfficeのツールの中でも「Excel」「Word」「PowerPoint」を使用することがほとんどです。
このMicrosoftOfficcの機能を、一定のレベルで使用できることを証明する資格が、「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」です。
研究・研究開発職の場合は、「Excel」のエキスパート(上級)を取得すればデータ解析力を評価されやすくなります。
バイオ技術者認定試験
医療系や素材系などのバイオテクノロジー系企業や、化学系学術機関で活用できる民間資格が「バイオ技術者認定試験」です。
初級・中級・上級があり、中級以上では受験資格が定められており、理工学系の修学経験がない場合は、初級資格の取得が必須です。
資格として評価されるのは中級以上ですので、まずは初級資格を取得しましょう。初級の合格率は80%ほどです。
技術士
科学技術全般において、一定のレベルの知識と技術を有することを認められる国家資格が「技術士」です。
資格を取得することで、大卒と同様の学位を得られます。また、中卒や高卒であっても、技術士の資格を取得すれば科学技術系の大学院に進学可能です。
文部科学省の最新情報によると、二次試験までありますが、一次試験は学歴によって免除規定があります。
放射線取扱主任者
分析機器の中には、放射線を使用する装置もあります。こういった装置の取り扱い責任者として活動できるのが「放射線取扱主任者」です。
第1種から第3種までありますが、第1種が最も業務範囲が広く、合格率は20%程度です。第3種は講習を受けるのみで取得できます。
医療現場を除く放射線取扱い施設では、放射線取扱主任者の資格取得者が必要となります。「放射線取扱主任者」資格取得者を募集する求人もあるので、採用の際にも有利に働く資格です。
研究・研究開発職のメリット・デメリット
ここでは研究・研究開発職に就くメリット・デメリットに就いて紹介します。
研究・研究開発職の派遣は、事務職などに比べて担当する仕事が複雑になることもあります。
お仕事をしながら、技術的な知識を深めたりスキルを磨く必要もあり、研究・研究開発職ならではのメリットやデメリットがあります。
研究・研究開発のメリット・やりがい
研究・研究開発職を経験することで得られるメリットや、研究・研究開発職のやりがいは以下のようなものがあります。
- 経験でしか得られない技術を習得できる
- 自分で考えて判断する能力が身につく
- スキルを磨くことで市場価値が上がる
- 新製品の開発などに関われる
経験することでしか得られない技術を習得できる
事務職や経理職の派遣の場合は、どの派遣先でも同じようなルーチン作業を行うことがほとんどで、いずれはAIに取って代わられる可能性もあります。
ただ、研究職の場合は、その派遣先でしか経験できないような分析作業や、研究補助業務を経験できます。
そこで培った分析経験や思考力は、他の研究職派遣でも活用することができるのです。
自分で考えて判断する能力が身につく
研究職の場合、単純な測定をひたすら繰り返す場合もあれば、特定の機能を達成させるための実験を自分の判断で行うこともあります。
単純な測定であっても、急に数値データが変化した場合は、測定機器や測定中のサンプルを疑うことも必要です。
こういった変化点に自ら気づき、適切な対処を行えるような判断力を磨く経験を積むことができます。
スキルを磨くことで市場価値が上がる
研究職の場合は、分析機器はもちろん、化学薬品や樹脂、電気部品などさまざまなものを扱います。
「SEM」や「TEM」などの複雑な分析機器を使えるようになったり、薬品調合や部品組み立ての経験を積めば、他の研究・研究開発職でも重宝される可能性があります。
新製品の開発などに関われる
研究職の中でも、製品開発系の研究に関わることができれば、これから世に出る製品に自分の力が役に立ったという満足感も得られます。
また、既存製品に関わる仕事でも、自分が測定したデータや自分が伝えたちょっとした一言が、品質トラブル解決の糸口になることもあるのです。
研究・研究開発のデメリット・大変なこと
研究・研究開発職のデメリットや、業務において大変なことは以下のようなものがあります。
- 仕事によっては偏った経験しか積めない
- 職場やプロジェクトの進行次第で残業が増える
- 新しい技術に関する知識を深める必要がある
- 薬品を扱う場合、手荒れやアレルギーの可能性
仕事によっては偏った経験しか積めない
研究職の派遣先は、医薬品メーカーや電気機器メーカーはもちろん、大学の研究室などさまざまな業界があります。
派遣先によって測定する機器が限定されたり、任される実験補佐業務の内容も違います。
そのため、派遣先によっては、偏った経験しか積めない可能性があるのです。
職場やプロジェクトの進行次第で残業が増える
製品開発プロジェクトなどの場合、開発の進捗が遅れていると、その日のうちに測定しなければならない分析量などが増えて、残業が避けられないことがあります。
また、製品の評価測定がメインのお仕事であっても、生産トラブルが発生したり顧客からのクレームがあれば、測定業務が急遽追加されたりもします。
新しい技術に関する知識を深める必要がある
研究職の派遣に必要なスキルでも説明しましたが、自分が関わる技術分野については、自ら勉強する必要があります。
測定する分析機器はもちろん、サンプル作成などに使用する試薬や部品なども、常に同じものを使用するとは限りません。
新しく取り扱うことになる機器や試薬などについても、学んでいく必要があるのです。
薬品を扱う場合、手荒れやアレルギーの可能性がある
医薬系や、化学系の企業の研究職に派遣される場合は、さまざまな薬品を使用することになります。
例えば、トルエンなどの有機溶剤の場合は、揮発性が高く、知らないうちに吸い込んでいたり肌に付着することがあります。
人によってはアレルギー反応で痒くなったり、内臓にダメージを受けることもあるので、派遣先の安全ルールに従って作業をしなければいけません。
研究・研究開発職の年収、月給、時給相場
研究・研究開発職の大まかな年収や月収はざっとこんな感じです!
関東全域での、医療系に特化した研究・開発職の平均時給は「1,597円」でした。1日8時間勤務で20日間働いたとすると、平均月給は255,520円。平均年収は、月給の12ヶ月分でおおよそ307万円となります。
東京23区内の平均時給は「1,613円」、その他東京都での時給は「1,556円」ほどです。
また、製造業のライン作業員の平均月給が「1,423円」、仕分けなどの軽作業が「1,331円」となっています。
ある程度のスキルと専門知識の習得を求められる研究・研究開発職は、派遣職の中でも比較的時給が高いお仕事です。
派遣社員の平均時給については以下の記事で詳しく解説しています。研究職以外の派遣社員の給料について知りたい人は以下の記事を参考にしてください。
派遣で研究・研究開発を経験した人の口コミ評判
最後に実際に研究・研究開発職についた方から寄せられた口コミを10件紹介します!
理系の学校は出ていませんでしたが、事務職の派遣職を経験した後、興味があって研究開発補助を選びました。
試験サンプルを作って分析したり、評価結果から考察結果を報告するなど、事務職の時よりも変化があって楽しいお仕事です。
元々企業の開発部署でスタッフの経験がありましたが、結婚を期に退職して、再就職先に研究職派遣を選びました。
正社員の時と比べて就労時間も限定されており、知識欲も満たせるいい仕事です。
担当するお仕事によって残業時間がまちまちです。同僚はルーチン測定だけで定時上がりですが、わたしはTEMという測定器を使用するので残業もあります。
分析評価にはいろいろな機器を使用するのですが、操作を覚えるのは楽しいです。
また、他の企業でも同じような機器を使用しており、派遣期間満了後もすぐに別の派遣先が決まりました。
製品の品質検査の仕事ですが、マニュアルに沿った検査を行って評価結果を記入するだけなので、それほど苦にならずに仕事ができます。
装置に異常が発生した場合は、修理が終わるまで他の仕事を任されたりします。
企業の開発部の評価補助をしていますが、試作が立て続けにある場合など、予定されていた以外の測定の仕事を急遽依頼されることもあります。
医薬品メーカーの実験補助をしていますが、スタッフの方々は有名大学出の人が多く、かなり頭がいいです。
実験結果から、自分が思いもよらないような推論を立てる人もおり、すごく勉強になります。
樹脂の配合などの業務があるのですが、使用するものが有機溶剤なので、非常に臭いがきつく具合が悪くなることもあります。
溶剤負けする人もいるので、肌が弱い人には辛い仕事かもしれません。
普段はルーチン的な評価業務が続くのですが、納品先メーカーからのクレームがあった場合などに、急に大量の検査を依頼されることがあります。
スタッフさんが満足いくまで測定をさせられることもあるので、そういった時は残業もあります。
実験補助をしています。わたしの担当者さんはすごく気づかいがあって仕事を進めやすいですが、同僚は寡黙で話しにくい人が担当になっています。
担当者によっては、すごくやりにくい雰囲気になるお仕事でもあります。