派遣会社に登録して企業で働いていると、派遣先の企業から直接雇用の話しを持ちかけられることもあります。
企業から「引き抜き」の話がもらえると嬉しい反面、「でも直接雇用に変更したら、違約金が発生するのでは?」「直接雇用に変更して損することはないの?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
雇用形態の変更はその先の働き方や生活に深く関わるので、しっかりと考えたいですよね。
そこで今回は、派遣社員の引き抜きについて解説します。本記事を読めば、安定した雇用を得る方法を理解することが可能です。
派遣先の企業から引き抜きの話が来たけど、どうしようか迷っている人は参考にしてみて下さいね。
「派遣社員の引き抜き」は違法ではない
まず始めにみなさんに知っておいて欲しいのは、派遣社員の引き抜きは違法ではないということです。
日本国憲法(昭和21年憲法)第22条第1項には、次のように「職業選択の自由」があります。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
また労働派遣法「第33条(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)」では、次のように述べられています。
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先若しくは派遣先であった者又は派遣先
となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主と
の雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない
つまり派遣元の企業は、派遣される人と派遣先の企業に対して直接雇用することを禁止してはならないんです。
憲法や法律で定めることで、政府としても派遣から直接雇用への変更を推奨していると分かります。
なので派遣社員がどんな働き方を選択しても、法的には何の問題もありません。
派遣社員に対する違約金は発生しない
派遣社員が引き抜きで直接雇用へ変更するとき、違約金について不安を感じる人が多くいます。
実際のところ、引き抜かれた派遣社員に対する違約金は発生しません。もし直接雇用されたいけど違約金が気になっていた人は、安心して自分の好きな働き方をして大丈夫です。
しかし引き抜きした派遣先企業は、紹介手数料としての違約金が発生する可能性があります。
では派遣社員を引き抜いたとき、派遣先が派遣元の企業に支払う金額はどれくらいなのでしょうか?
相場としては、引き抜いた派遣社員の見込み年収の2〜3割を違約金として支払うケースが多いです。もし派遣社員の年収が300万円だった場合、60〜90万円が紹介手数料となります。
また派遣社員が直接雇用へ変更するには、派遣契約を満了していなければなりません。契約の途中での直接雇用は禁止されています。
そのため派遣先の企業から直接雇用の話を受けた場合、登録型派遣から紹介予定派遣へ移行するのが一般的です。
紹介予定派遣だと最長6ヶ月、派遣先の企業へ勤めます。その後、問題なく双方の合意があれば、直接雇用への契約が可能です。
「引き抜き」で損する場合も!?確認すべき事項3つ
「引き抜き」と聞くと、「派遣社員で働くよりも得だ」と思いますよね。
しかし実際は、引き抜きは必ずしも良いものとは限りません。場合によっては、損をする可能性もあります。
したがって派遣社員が直接契約の話をもらったとき、次の3つの事項をチェックしてください。
これら3つのポイントを事前に確認しないと、直接契約をしてからの後悔に繋がります。確認した上で自分の希望条件と合わないなら、ちゃんと断った方が良いですよ。
ここでは、派遣先からの引き抜きに応じる前に確認すべき3つの点を解説します。
①雇用形態がなにか(正社員か契約社員か)
派遣先の会社から直接雇用の話をされたら、まず雇用形態の確認が大切です。
「直接雇用=正社員」というイメージを持ちやすいですが、そうとも限りません。契約社員やパート、アルバイトであっても「直接雇用」という扱いになります。
正社員は、企業の経営が傾いたときでも簡単にクビにすることは出来ません。
一方で、そんなときに最初に契約を打ち切りやすいのが、契約社員やパート・アルバイトです。
そのため派遣先企業との直接雇用は、雇用形態によっては派遣社員よりも不安定な場合もあるというわけです。
本人が納得していれば雇用形態にこだわる必要はありませんが、事前に知っておかないと「こんなはずじゃなかった…」と後悔する原因になります。
また、どのような雇用形態で入社するにしても、しっかりと書面で雇用関係を結びましょう。
そうしないと、あとで待遇面などが提示条件と違っていた場合でも泣き寝入りとなってしまう可能性があるからです。既に一緒に働いている親しい間柄であっても、遠慮せずに伝えて大丈夫です。
もしそれで良い反応を示されない場合は、逆に「本当に直接雇用に変更してよいのか」を見直した方がいいかも知れませんね。
②給料などの待遇面
給料などの待遇面の確認も、派遣先の企業と直接契約を結ぶ前に済ませておきましょう。
なぜなら、正社員であっても派遣社員のときより給料が下がる場合があるからです。
派遣社員は雇用が安定せず交通費などの支給がない分、高い時給設定になっているケースがほとんどです。
そのため「正社員なんだから今以上の給料がもらえるだろう」と思い込んで給料などの確認を怠っていると、あとで痛い目に遭う可能性があります。
もし派遣社員のときよりも仕事の負担や責任が増えたのなら、とうぜん不満に感じてしまいますよね。
ただ待遇面に関しては、手取り額だけでなく総支給額や以下のような福利厚生なども含めて考えましょう。
- 福利厚生
- 交通費
- 厚生年金
- 健康保険
- 賞与(ボーナス)
長い目で考えれば、正社員の方が得するケースもあります。じっくりと考えて正社員になるかを決めてくださいね。
ただ1つ注意したいのは、ボーナスは確約されるものではないということです。過度な期待は避けた方が無難といえるでしょう。
また待遇面に関しても、雇用形態と同様に雇用契約書にしっかり明記してもらうことが大切です。
③業務の範囲
派遣社員が派遣先の企業へ直接雇用する場合、業務範囲を把握することが重要です。
直接雇用になった後、必ずしも今と同じ業務範囲とは限りません。
特に正社員なら、責任の大きい仕事を任せられる可能性が高くなります。正社員は雇用が安定している分、重要な役割を担うのは当然です。
しかし企業によっては派遣のときと同じ給料で業務範囲が広がり、残業を余儀なくされる場合もあります。
損をしないためには、派遣先の会社と直接契約をする前に業務内容・範囲についてのチェックは欠かせませんね。
直接雇用のメリット、デメリットを踏まえて、よく考えよう
派遣社員が引き抜きの話をもらったとき、どういう選択をすれば良いのか迷ってしまいますよね。
でも、一概に派遣と直接雇用のどちらが良いとは言えません。派遣社員が派遣先の企業と直接契約をすることは、メリットとデメリットの両方が存在するためです。
★直接雇用のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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ここでは、直接雇用のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。良い面・悪い面を知った上で、よく考えてどうするか決めてください。
しかし今の段階で「やっぱり直接雇用はしたくない。」「でも今の派遣先で継続的に働きたい。」と考える人もいますよね。そんな人は、次の『引き抜きの上手な断り方』を参考にしてみてください。
「正社員」の場合は、直接雇用のメリットは大きい
もし派遣先との今後の雇用形態が「正社員」の場合、直接雇用に応じた方がメリットが大きいです。
次に、直接雇用のメリットを4つお伝えします。
メリット①:雇用が安定する
正社員は、企業の経営が悪化してもすぐにクビにはなりません。
しかし派遣社員の場合は、会社の都合によって急に契約満了となることもあります。
もし急に仕事がなくなった場合、すぐに次の仕事が見つからなければ路頭に迷う可能性も高いです。
また派遣社員として働く人の中には、「自分は派遣社員だ」と何となく言いづらい人も多いのではないでしょうか。
特に秘密保持契約で業務内容の口外を禁止されている場合は、仕事内容を聞かれても曖昧にしか答えることが出来ずに困ることもありますよね。
その点正社員になれば、仕事について周りに堂々と言えるのも嬉しいポイントです。
メリット②:収入が安定しやすい
派遣社員として働く人のお給料は、基本的に時給で支払われています。そのため祝日が多い月や病欠した月は、働いた時間が減る分収入も減ってしまいます。派遣社員として働く以上は、こうした収入の不安定さを避けることは困難です。
しかし正社員になれば、月額で必ず決まった給料がもらえることが出来ます。また正社員であれば、派遣ではもらえなかった交通費が支給されるので、ムダな出費が減ることもメリットだと言えるでしょう。
メリット③:待遇が良くなる可能性がある
正社員は派遣社員と違って、次のようにしっかりと働いた分が給料に反映されやすいです。
- ボーナスがある
- 昇給がある
正社員になれば、単純に派遣社員のときよりも給料が増える人もいます。仕事を頑張って適切に評価されたいと考える人は、正社員の方が十分に力を発揮できるのではないでしょうか。
メリット④:責任ある仕事を任される
派遣社員の仕事は、あくまで「正社員のサポート業務」という場合がほとんどです。そのため「もっと新しい仕事をやってみたい!」「人をまとめる立場になりたい」という希望があっても、なかなか実現はできません。
しかし直接雇用であれば、契約社員であっても派遣社員より上の立場として働くことが可能です。
今までは任せてもらえなかった部分も担えるため、仕事に対する満足感や達成感が味わえます。
「正社員」でない場合は、直接雇用のデメリットが大きい
もし派遣先から提案された直接雇用の形態が正社員でない場合は、あまりオススメできません。なぜなら次のようなデメリットがあるからです。
この4点のデメリットについて、今から詳しく解説します。
デメリット①:正社員でない場合は雇用が不安定
派遣社員から直接雇用へ切り替えるとき、1番多いのは「契約社員」としての契約変更です。
正社員は会社の経営状態が悪くなっても、簡単にリストラできません。それでも働き手は必要であるため、契約社員を採用することで何かあったときの保険を掛けているのです。
したがって直接雇用へ切り替える場合、「契約社員としての雇用を提案する会社で働いても良いのか」という点は、しっかり考えた方が良いです。
もし契約社員での直接雇用を提案された場合は、次のような点を確認しておきましょう。
- 正社員への登用もあるのか
- 登用までの期間の目安はどれくらいか
そうは言っても、派遣社員のまま働く場合のリスクもあります。それは契約満了後に次の希望に合う仕事を紹介してもらえないというケースです。
なので今後も派遣社員として継続して働くなら、2社以上の派遣会社への登録しておくと良いでしょう。そうすれば今登録している派遣会社で希望通りの仕事を紹介してもらえなくても、他の派遣会社から希望に近い仕事を紹介してもらえる可能性があるからです。
もし今回の引き抜きで派遣先・派遣元で働きづらくなった場合は、他の派遣会社に登録することで良い仕事が見つかることもあるかも知れませんよ。
デメリット②:休暇が取りにくくなる
直接雇用になると、いつでも好きなときに休暇を取るということが難しくなります。
有給休暇は労働者の権利ですが、企業に属する社員となってしまうと周りに気を使ってしまい、次のように派遣社員ほどの自由度が減ってしまうのは事実です。
- 有給を好きなときに取れない
- GW・年末年始以外で長期休暇が取りづらい
自分の時間を大切にして働きたい想いが強い人は、派遣先の企業への直接雇用はしない方が良いかもしれません。
デメリット③:職務上の責任が発生する
直接雇用になれば、今までよりは責任の大きな仕事を任せてもらえます。新しい業務に携わることで、これまでにないやりがいを得ることが可能です。
でもその反面、自分がやる仕事に対しての重圧も感じるようになります。あまりにも責任感が大きくなってしまうと、それがストレスになってしまうこともあるかも知れません。
デメリット④:残業に応じる必要がある
直接雇用になっても残業は義務ではありませんが、派遣社員のように気楽に断れるものでもありません。
先程も言いましたが、企業と直接雇用で契約を結ぶと、仕事に大きな責任が発生します。したがって仕事に必要となれば、残業が発生しても断りにくくなるんです。
そのため派遣社員として働いていたときのように、キッチリ定時で帰ることが難しくなるかも知れません。
プライベートの時間を大切にしたいなら、直接契約をした場合にどれくらいの残業が必要なのか、あらかじめ確認しておいてください。
「私も引き抜きされました!」経験者5人の体験談
派遣先の企業から引き抜きの提案をされたとき、「本当に企業と直接雇用の契約を交わして大丈夫かな?」と不安になる人も多いと思います。
直接雇用で契約をしたのに、「やっぱり派遣のままの方が良かった」という後悔は絶対にしたくありませんよね。
そこで、実際に派遣社員として働いていて、派遣先の企業からの引き抜きを経験した5人の体験談をまとめました。企業から引き抜きを提案されて迷っている人は、自分の選択の参考にしてくださいね。
正社員への引き抜きに応じた結果、仕事のやりがいを感じたAさん
派遣先から声を掛けて頂いたのは、働き始めて3年目のときです。ちょうど、契約更新に悩んでいた頃でした。
仕事事態は楽しかったのですが、派遣会社に対して給料や福利厚生に不満があったんです。
残業をすれば時給アップと言われていたのですが、実際上がったのは20円のみでした。いっそのこと派遣を卒業して正社員になろうと思い、職探しも始めていたんです。
そんなとき、派遣先の方から次のような条件で正規雇用のお話をいただきました。
- 給料は固定給
- 住宅補助手当て
- 交通全額支給
- ボーナス有り
このように福利厚生が充実していたので、断る理由もなく正社員として契約をしました。
元々、派遣元からは「スカウトがあったらチャレンジOK」と言われていました。なので派遣元の担当者に話をしたら、特に問題なく話が通りましたよ。
正社員として雇用された後は、責任ある仕事を多く任されるようになりました。その結果、「充実とやりがい」を感じる日々を送れるようになったんです。
高待遇の引き抜きを断って、自分の生き方を優先したBさん
以前、私がとある派遣会社で働いていたときに、派遣先の企業から引き抜きのお話をいただいたときの話です。私は派遣先の企業へ業務委託される形で、16年勤務していました。
派遣先の企業から引き抜きの際に提示された条件は、次のような高待遇でした。
- 正社員として中途採用
- 新卒社員より5万程高い給料
私も30代後半に差し掛かり、このまま派遣で働くことに不安を感じていたので、とても良いお話だと思いました。
派遣元にも相談し、私が「正社員での雇用を前向きに検討したい」と伝えたときのことです。意外にも派遣元から「待った」の声が掛かりました。
私自身としてはあまり自覚はなかったのですが、16年真面目に働いてきた事実が、派遣元にとっては大きな意味があったみたいです。派遣元の担当者に「辞めずに残って欲しい」とのお話をいただきました。
熟考した末、私は派遣先の企業からの引き抜きをお断りしました。決め手となったのは、これからの私自身を考えたからです。業績や仕事量に縛られず、自分を優先したいと考えた結果、私は派遣社員でいる事に決めました。
派遣先の企業への直接雇用に変更して、全く後悔をしていないCさん
一年半ほど派遣で働いていた職場の所属が異なるチームの方から、契約社員へのお誘いをいただいたときの話です。
契約社員になっても給与自体は大きく変わりませんが、賞与が5〜6ヶ月つくことや会社の厚生施設が使えるなど、たくさんのメリットがありました。
派遣元の担当者とはあまりウマが合わなかったし、相談をする必要はないと思い、派遣元には特に話をしていません。
派遣契約が切れ、一ヶ月休んだあとに直接雇用に移行しました。もともと派遣会社が私と派遣先の間に入っていることに、何もメリットを感じていなかったので、直接雇用にしてから後悔は特に感じませんでした。
引き抜きの話にメリットを感じずに断ったDさん
派遣先の上司から「1年後に直接雇用へ変更しないか」というお話をいただきました。
それはアルバイトとしての直接雇用で、次のような点がメリットでした。
- 時給は派遣のときと同じ
- 交通費がもらえる
- 年金が引かれない
- 無期限
しかし当時の私は特に魅力を感じなかったです。
その2年後、今度は契約社員のお話をいただきました。月給制でボーナスの支給もあり、一見魅力的に思えました。
しかし、次のようなデメリットもありました。
- 業務内容が正社員と変わらなくなる
- 時給、年収換算するとマイナス
デメリットを考えると、圧倒的に派遣の方が良かったです。
引き抜きの話をいただいてから、そこまで悩みもしなかったので、派遣元には相談しませんでした。結局その企業は契約満了で関係が終わりました。
その会社はとても働きやすい職場ではありましたが、直接雇用に変更した人の中には、不満を抱いて後悔している人も多々いましたね。なので派遣社員にとっては良い職場だったのかもしれません。
派遣元の担当者との相性が良く、派遣先への直接雇用が成功したEさん
私はとある派遣会社から派遣されて一年半ほど経ったある日、「ここでずっと働いてくれないか」というお誘いを受けました。これを機に、無期雇用の事務職員として働き始めました。
待遇面は、次のように派遣のころよりも良くなりましたよ。
- 給料が月15万円から18万円にアップ
- 急な病気などで有給が取りやすい
引き抜きのオファーがあった際には派遣元に相談しました。そのとき派遣元の担当者には、「あなたの仕事ぶりが評価された証拠!」と快く送り出してもらえたので嬉しかったですね。
私が知人に聞いた話では、優秀な人材が減るのを恐れて引き抜きを止める派遣元の社員もいるらしいです。でも私の場合は、とても良い方が担当になってくださいました。
少しではありますが昇給もあり、福利厚生も総合職に準じたものが得られるため、転職を決めて良かったです。
残業もほとんどなく、あっても一時間くらいで、非常に働きやすい環境です。あらかじめ派遣として職場環境を知っていたので、安心して働けています。
そもそもなぜ「引き抜き」は起こるの?
ここまで、派遣社員が派遣先の企業と直接雇用の契約を結ぶメリットやデメリットなどを説明しました。でも、そもそもなぜ「引き抜き」が起こるのでしょうか?
企業が派遣社員の引き抜きをするメリットは3つあります。
企業が引き抜きをする3つのメリット
①経験者で、スキル・人柄も分かっている優秀な人材を雇える
②直接雇用で募集するコストがかからない
③派遣会社への手数料がなくなる
企業が時間とお金をかけて、新しく人を募集・面接・採用をしても、その人がすぐに辞めてしまう可能性がありますよね。
それなら優秀な派遣社員を引き抜いて継続して働いてもらった方が、派遣先の企業にとってプラスです。
また、派遣先の会社が派遣社員を直接雇用すれば、派遣元の会社への仲介手数料も支払わなくてよくなります。
簡単にまとめると、企業が引き抜きをするのはより低コストで優秀な人材を採用したいからなんです。
引き抜きを断る場合の上手な言い回し
「引き抜き」は派遣社員として働くあなたが優秀だから起こります。しかし、直接雇用を提案されても、今の派遣社員のまま同じ企業で働きたいと考える人もいますよね。
ほとんどの場合は直接雇用の提案を断ると、働いている派遣先との現在の契約だけで満了となります。しかし引き抜きを上手に断ることで、今の派遣先で働き続けられるケースもあるんです。
そこで、直接雇用では働くのが難しいと思う人のために、引き抜きを断る場合の上手い言い回しを紹介します。
以下に、直接雇用を断る例を2つ用意しました。実際に波風立てずに引き抜きを辞退したい人は参考にしてくださいね。
例1:お誘いはとても嬉しいのですが、今の働き方が一番自分に合っているんです。なので派遣社員のまま、まだまだこの職場で学ばせていただければと思います。ぜひ今後ともよろしくお願いします。
例2:お誘いいただきとてもありがたいと思っています。ですが、おかげさまで私は今の仕事が好きで、満足して働けているんです。大変申し訳ないのですが、今後もこの環境で成長していければと思います。
派遣先からの引き抜きのお誘いを断るときのポイントは、次の3つです。
- 残業や給料へのマイナスな理由を言わない
- 現状に満足していると伝える
- 今後も同じ会社で働きたい意思を伝える
たとえ引き抜きの条件が好ましくなかったとしても、それを口にしてはその先同じ会社で働くのが気まずくなります。
したがって円満に引き抜きを断るには、その理由への配慮が大切です。
「派遣の引き抜き」に関するよくある疑問
「派遣の引き抜き」について悩む人はとても多いです。なので、そんな人のために派遣の直接雇用に関するよくある質問をまとめました。
派遣先の会社から引き抜きのお誘いを受けた人は、ぜひ目を通してみてくださいね。
派遣元へ「引き抜き」の話を伝えるべきか
派遣元へ引き抜きの話を伝える義務はありません。
派遣契約の満了を迎えたら、その後どうするかは自分の意思で決められます。
直接雇用と派遣とで、どちらにしようか迷っているなら、派遣元に話をしてみるのもおすすめです。もし派遣元の担当者が信頼できる人であれば、相談すると良い意見をもらえるかもしれません。
派遣元に相談すると、応援してくれるケースもあれば、引き止められるケースもあります。
そのため、最終的な判断は自分の意思を重視した方が良いです。
どんなトラブルが発生する可能性がある?
派遣の契約の途中で、派遣先の会社への直接雇用に変更した場合は、トラブルになる可能性があります。
派遣契約期間中の引き抜きは、派遣先の企業に対して違約金が発生するケースもあるんです。したがって引き抜きに応じるなら、派遣契約が満了してからがおすすめになります。
直接雇用に変更しても、派遣労働者には特に金銭的なデメリットは生じません。しかし派遣先の企業へ引き抜かれたときは、企業同士の問題が起らないように配慮が必要です。
「引き抜き」以外で安定した雇用を得るための方法とは?
派遣社員として働いている企業から「引き抜き」の話を持ちかけられたとき、「派遣より安定して働けるかも!」と期待して、直接雇用に応じる人も多いです。
しかし、待遇や条件をしっかりと確認しなかったため、直接雇用されてから後悔する人も存在します。では「引き抜き」以外で安定した雇用を得るためには、どうすれば良いのでしょうか?
派遣からの引き抜き以外で安定した雇用を得たいなら、正社員として転職するのもひとつの手です。そもそも正社員として就職できていたら、派遣社員として働かない人も多いのではないでしょうか。
もし正社員として安定して働きたいなら、「紹介予定派遣」を使うのがおすすめです。紹介予定派遣は、決められた期間派遣先で働き、企業とあなたの相性が良ければ、そのまま正社員になれる仕組みとなっています。
正社員になりたいなら、今登録している派遣会社の担当に、紹介予定派遣の案件がないか確認してみましょう。
ただし紹介予定派遣は、派遣会社で扱っている件数が少ないです。なので、より好条件で仕事を探すなら、複数の派遣会社に登録してみてください。そうすれば、紹介予定派遣から正社員になれる確率が上がりますよ。