カジュアル面談とは、正式に応募する前に企業と話してみて、応募するかを決めるための面談です。実施している企業は近年増えてきており、実際にこの言葉を目にしたことがある方も多いと思います。
「選考前の実施なら、この面談で落ちることはないよね…?」と疑問を持つ方も多いはず。結論から言うと、カジュアル面談でも落ちるケースはあります。
今回はカジュアル面談で落ちてしまう理由と不採用にならないためにはどうすべきかについて、企業で人事担当をしているAさんに話を聞いたので、これからカジュアル面談を控えている方はぜひ参考にしてください♪
▼企業で人事を務めているAさん
結論:カジュアル面談で選考に落ちることもある
冒頭でも述べたように、カジュアル面談は採用面接ではありませんが、面談を通じて応募して欲しいかどうかを判断されるケースがほとんどです。つまり面談後、カジュアル面談後に選考には進めるものの、書類選考という体で落とされることも珍しくありません。
どうして落ちてしまうのか知る前に、まずは「カジュアル面談」について基本的な情報を押さえておきましょう。企業側の目的などを知ることは面談対策にも繋がります!!
カジュアル面談について | |
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目的 | 表面的には相互理解の場だが、企業目線では応募のハードルを下げ、正式応募数を増やし、優秀な人材の採用につなげる目的。 |
面接との違い | 形式的な質問をされる採用面接とは違い、カジュアル面談では「企業説明」と「会話」がメイン。終始フランクな会話形式で進む。 |
合否について | 建前上は「合否に関係ない」が、実際は面接と同じように選考の視点で見られている。つまり「この人材が欲しい!」と思われないと、その次の書類選考などで落とされる可能性が高い。 |
服装 | オフィスカジュアルが一般的 |
提出物 | 特になし。履歴書・職務履歴書などの提出は不要。 |
形式 | 対面・オンライン ※企業によって違う |
担当者 | 選考面接の場合はマネージャー職の人が担当するが、カジュアル面談の場合は人事が担当することが多い。 |
その他 |
実際にその企業に応募するか決めていない段階で参加したとしても、特に問題なし。 |
▼企業で人事を務めているAさん
カジュアル面談で落ちる要因と対策
事実、ある企業の人事担当者であるAさんは、
弊社の場合、カジュアル面談で印象が良くなかった場合、選考に進んでもらったとしても書類選考で見送りをすることがあります。
と話しています。
「せっかく興味持った企業だったのに、カジュアル面談で落ちて選考にさえ進めなかった…」なんて勿体ないですよね。また、転職希望者の中からも「いきなり落とされた」という口コミが見られるため、カジュアル面談といえども気は抜かずに、しっかりと事前準備をしておく必要があるでしょう。
以下は、カジュアル面談で落ちてしまう代表的な要因4つです。
▼カジュアル面談で落ちる主な原因4つ
⇒対策:聞かれることに対する答えを用意しておく
・企業分析をしておらず、深い話ができなかった
⇒対策:企業分析をする
・逆質問を準備しておらず「企業に興味ない」という印象を与えてしまった
⇒対策:逆質問を用意する
・服装やマナーを確認しなかったため、常識やコミュ力がないと思われた
⇒対策:服装やマナーは事前にしっかりと確認する
要因1:質問の回答を用意していなかった
質問に対して薄い回答や的外れな回答をすると、どんな人かよくわからない・コミュ力がない・理解力がないと判断されることがあります。
書類選考で魅力的な書類を作れれば問題はないですが、そうではないとカジュアル面談の時点で不採用判断される可能性も…そのためカジュアル面談も一種の自己PRの場だと思い、質問への回答は準備しておくことをお勧めします。
▼企業で人事を務めているAさん
対策1:聞かれることに対する答えを用意しておく
カジュアル面談では以下のことについて聞かれることが多いです。
・キャリア(今後の展望)
・スキル
・なぜ弊社に興味を持ったのか
・弊社に関する課題
・現職について/転職先に求めること
経験
企業側が求めている人材、ポジションとのマッチ度を確かめるために、これまでの職務経歴について聞いてきます。なので、基本的な職歴をすぐに言えるようにしておきましょう。企業側が深く知りたいと思った点や気になる職歴について追加で質問をしてくることもあるので「どんなポジションで、具体的に何をやってきたのか」エピソードを詳しく言えるように準備をしていくことが大切です。
キャリア(今後の展望)
今後のキャリアの展望について聞かれるので、必ず答えられるようにしておきましょう。ここでは、明確なキャリアプランでしっかりと論理展開ができているかが重要なカギになります。
企業側に、自分がその企業で働いている姿を想像してもらえるようなキャリアプランであることが大切なので、今後の展望を考える際、”自分のやりたいこと”と”数年後、その会社でどんな風に活躍したいのか(ポジションなど)”をしっかりと言語化させましょう。また「やりたいこと」と「会社でどんな風に活躍したいか」の間に繋がりがなければ説得力は生まれません。そのため論理的展開ができているか、考えた回答を客観的に見て深掘りすることが大切です。
スキル
経験と同様に、企業側は募集しているポジションとあなたのマッチ度を図るため、スキルについての質問をしてきます。
これまでの職務歴を通じてどんなスキルを身に付けることができたのか、またそれを今後どう活かすことができるのか、なぜ活かせると言えるのかの理由を明確にしておきましょう。ここで大切なのはただ単に「スキル」を伝えるのではなく、そのスキルを使ってどんな成果を残したのかといったことも言えるようにしておく必要があります。
また持っている資格に関するスキルも聞かれることが多いので、しっかりと答えられるようにしておきましょう。
弊社に興味を持った理由
企業側は弊社に興味を持った理由について聞くことで、あなたの志望度と企業とのマッチ度を確かめるのです。
説得力のある企業に興味を持った理由は、興味を持った理由(きっかけや出来事)と企業・自分の価値観が一致していることが重要です。「なぜ興味を持ったのか?」その理由を何度も深掘りして、自分の価値観がその理由とまた、企業の価値観と合致している点を説明しましょう。
▼考え方の例)化粧品メーカーの場合
興味を持ったきっかけ/ 出来事 |
・他社とは違い、訪問販売を通じて直接、一人一人のお客様に合った商品を提案している点(事業方針) |
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自分の価値観 | ・転職活動の軸が「人の役に立つ仕事」「B to Bでなく、B to Cで顧客に対して営業を行いたい」 |
⇒興味を持ったきっかけ「お客様の悩みに寄り添った商品提案(事業方針)+お客様とのつながりを大切にしている企業(企業の価値観)」と自分の価値観「人の役に立つ仕事+B to Cという形で営業を行いたい(自分の価値観)」が一致している。これを文章にして伝えることで説得力もあり、企業への志望度も伝わる回答になります。
私の転職の軸は「人の役に立つ仕事がしたい」「BtoCという形で直接顧客に対し営業を行う仕事がしたい」の2点なのですが、企業分析を通じ、御社の企業方針である「競合他社とは違い、訪問販売を通じてお客様1人1人の悩みに沿った商品を提供する」という点と「お客様とのつながりを大切にしている企業理念」に大変強く共感いたしました。以上のことを通じて、御社のような事業方針・企業理念を持った企業で働きたいと興味を持つようになりました。
弊社に関する課題
弊社に関する課題を聞くことで、企業側はあなたがどれほど「企業に対して関心があるか」そして「あなたの考え方(論理的思考があるか)」を見ています。
企業の課題を考える際に必要なのが企業分析を通じて行う、競合他社との比較です。まず最初に、自社の特徴と競合他社の特徴を書き出してみましょう。そしてそこから見えてくる違いが、企業の強みになっているのか?または弱み(課題点)になっているのか?を見ていくと、課題点が浮き彫りになっていきます。
ここで大事なのは、社会状況などの外部的要因も視野に入れて考えることです。
▼考え方の例)化粧品メーカーの場合
自社の特徴 |
・訪問販売をメインにした販売方法 |
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他社Aの特徴 |
・EC販売に力を入れている |
現職について/転職先に求めること
職務歴と被っている点もありますが「現職」についても聞かれます。これは、面談参加者が現職に対して抱えている課題、不満等を自分の企業で解決することができるのかをチェックするためです。「なぜ転職をしたいのか」にも繋がる部分なので、しっかりとこの点も明確にさせておきましょう。
要因2:企業分析をしておらず、深い話ができなかった
企業分析=相手(企業)のことを知るということです。転職活動の場で、相手(企業)のことをよく知らないまま面談や面接に挑むことは、相手に対して失礼な行為に当たります。
また、企業分析で調べたことは企業側に対して「あなた(企業)のことこれだけ知ってるんです!」というラブコールです。恋愛に置き換えて考えると「好意があるように見せてきたくせに、全然私のこと知らないじゃん!!本当に私のこと気になってるの?」となるように(笑)企業側もあなたが企業について何も知らなかったり、企業に関する知識が浅かったりすると「本当にウチに就職したいわけ?」となります。つまり、企業分析をすることは相手の企業に対してのマナーでもあるのです。
▼企業で人事を務めているAさん
対策2:企業分析をする
先ほども言ったように、企業分析でわかったこと(事業内容・企業の魅力・他社との違い・課題点)は企業への最大のアピールになるのです。ただ、サッサっと調べる(軽くHPを一読しただけでわかるような内容はNG)だけではラブコールは伝わりません。入念に調べ、競合他社との違いなどを明確にしておきましょう。
そうすることで企業側は「すごく良く調べてくれているね。本当に我が社のことが気になっているんだね。」となり、好印象です。
ここで調べた内容は、面談で聞かれる「今後のキャリアについて」「企業に興味をもった理由」「企業の課題点」をより説得力のある内容にするために役に立つので、企業分析は前もってしっかりと行いましょう!
要因3:逆質問を準備しておらず「企業に興味ない」という印象を与えてしまった
面談の最後に必ず聞かれる「質問はありますか?」に対して、「特にないです…」と終わらせてしまうのは企業に対して失礼な行為に当たります。せっかく時間を割いて面談を行ってもらったのにも関わらず、質問も感想もないと企業からの印象も悪くなるばかり…「本当にうち(企業)に興味ある?」と思われてしまうのも仕方ないですよね。
また逆質問では、自分の考え方や企業への興味関心をアピールできるとっておきの機会です。この機会を逃さないよう、逆質問は必ず準備しておきましょう。
対策3:逆質問は必ず用意する
逆質問は必ず聞かれるので2~3つくらいは用意しておきましょう。
逆質問には以下のようなメリットと重要性があります。
・調べてもわからなかった点(仕事内容や社風)をクリアにできる
・面談で伝えきれなかったことを伝えることができる
・御社で働かせていただく前に、勉強しておくべきことなどあれば教えてください。
・現職で海外の取引先と英語でやりとりをしています。御社では勤務歴に関係なく海外勤務をする機会があるでしょうか?
要因4:服装やマナーを確認しなかったため、常識やコミュ力がないと思われた
服装やマナーなど社会人として当たり前のことができていないと、企業からは「常識やコミュニケーション能力がない」と思われてしまいます。
人の第一印象は3秒で決まる。と言われてるほど、見た目(服装)と態度(マナー)がなっていないと、どんなに面談で良い内容を言っても印象はマイナスからのスタートです。また服装やマナーを確認して面談に臨むことは決して難しくありません。なので、この点は必ず落とさないようにしておきましょう。
▼企業で人事を務めているAさん
対策4:服装やマナーは事前にしっかりと確認する
当たり前のことですが、服装やマナーは必ず守りましょう。選考に関わる面接でないとしても、印象が良くないと「一緒に働きたい」と企業側に思ってもらえません。つまり、次の選考へと進めないことがあります。
服装はオフィスカジュアルが良い
一般的な採用面接ではスーツが基本ですが、カジュアル面談では基本的に服装は自由です。とはいえ、ラフすぎる服装は相手にだらしない印象を与えてしまうため、オフィスカジュアルが好ましいと言えます。
前述の通り、企業側は「採用したいと思える人材かどうか」の判断もしているため、「見られている」という意識は常に持っておきましょう。
対面で行う面談でのマナー
カジュアル面談とはいえ、ビジネスシーンの1つであることに変わりはないため、最低限のビジネスマナーは守る必要があります。特に、カジュアル面談は終始フランクな雰囲気で進むため、場の空気にのまれて馴れ馴れしい態度を取ってしまわないよう、注意しましょう。
当たり前のことですが、相手の目をにながら話す
オンライン面談でのマナー
最近は、オンライン形式で採用面接を行う企業も増えており、カジュアル面談も例外ではありません。
カジュアル面談にオンラインで参加する場合には、目線は画面よりもカメラに向けることを意識しましょう。というのも、画面に目線を向けていると、PCによっては目線がずれることがあり、カメラ目線を意識した方が違和感がないからです。その他、姿勢や表情、背景の映り込みといった、一般的なオンライン面談のマナーについても注意を払いましょう。
Web面接時のマナーについてはこちらを参照してください。
まとめ:カジュアル面談で落ちないためにも事前に対策をすることが大切
上記でも述べたように、カジュアル面談は選考面接ではないものの、次の選考で落ちるなど不採用につながる可能性が高いです。
せっかくの選考へつながるチャンスを逃さないためにも、上記で説明した部分をしっかりと準備をしてから面談に挑むようにしましょう!あなたがカジュアル面談を通じて、素敵な企業に出会えることを祈っております。