確率を調査!派遣から正社員になる4つの方法となぜ難しいかを解説

5年後、10年後の生活を考えると、派遣社員よりも無期雇用で安定している正社員になりたいと思いますよね。賞与や退職金、福利厚生・・・、1年1年の積み重ねで、生活のゆとりが大きく違ってきます。

まず初めに見てもらいたいのは、派遣社員から正社員を目指して活動した約100名へ聞いた、正社員になれた確率です。

派遣社員から正社員になれた人の割合

正社員を目指せば2人に1人は正社員になることができています。

そして、派遣から正社員になる方法は4つあります。これから体験談も交えて、詳しく解説していきます。(以下から気になる方法をすぐに読むこともできます。)

方法 難易度・確実性
今の派遣先で正社員になる
会社を変えて正社員になる 「正社員登用あり」の派遣求人に応募する
「紹介予定派遣」の派遣求人に応募する
正社員として転職活動する

また、次のような方は、こちらの記事を参考にしてください。

今の派遣先で正社員になる

人間関係もできあがっていて、仕事の進め方や勝手もわかっている今の派遣先で、そのまま正社員になりたい方も多いと思います。

アンケートでは、自ら希望した人が6割、派遣先に誘われた人が3割でした。

どのように派遣社員から正社員になったか

上記の結果を見て分かる通り、まずは派遣会社を通じて、自分が正社員になりたいと思っていることを伝えておくのが良いでしょう。加えて、派遣先に正社員登用制度があるかどうか、ある場合はどのような制度なのかを事前に聞いておいてください。

派遣社員として雇っていた人をそのまま正社員にするパターンには3つあります。

  1. 派遣契約の期限が終了するタイミングで打診
  2. 正社員が必要になったタイミングで打診
  3. 能力やスキルを認められて打診

派遣の契約期間が終わるタイミングで正社員になるパターン

派遣先企業で正社員になった人に、派遣から正社員になるまでどのくらいの期間がかかったかを聞いたところ、約4割は3年と回答しています。

派遣から正社員になるまでにかかった期間

これは法律で派遣社員として契約できる期間が最大で3年までと決まっているからです。

派遣として働き始めて3年経ったタイミングで、企業側はやめてもらうか正規雇用に切り替えるかの選択をする必要があります。その段階で、企業が働いてほしいと希望した場合、正社員雇用の打診が入ります。

3年経てば正社員になれる確率は高くなるが、逆に、3年間は待たないといけないとも言えます。

▼3年の期限切れタイミングで派遣から正社員になった人

期限を前に抜けたら困るとのことで
30代男性

派遣で入ったが、私の仕事の処理が思ったより早かったようで、途中から仕事内容が正社員と一緒になった。

3年の期限を前にしたときに「抜けたら困る」ということで正社員に登用された。元から正社員と同じ仕事をしていたので職務内容に違いは特になし。

派遣の期限切れ時に打診
40代女性

介護事務で3年働き、派遣の期限切れの際に働いていた企業から、正社員で働いて欲しいとの打診を頂きました。

派遣の際は時給制でしたので年収が低かったのですが、正社員となり固定給になったことで年収は100万ほどアップしました。面接の際に正社員への希望を伝えておりましたので、働きやすい職場で自分の働き方が評価されたのだと考えています。

期間満了時に打診
20代女性

1年の期間満了で他のブティックを探そうとしている際に派遣先のブランドから契約社員でそのまま同じ条件で働いてほしいと声をかけてもらった。

3年の期限で打診
30代男性

派遣社員で損害保険事務のお仕事をしていたところ、3年の期限の時に契約社員になりませんかと言われ、面接と適正検査を受けて契約社員になった。

1年の更新時に打診
20代女性

ゆくゆくは正社員雇用を目指し、まずは派遣社員として、コールセンターのお仕事をさせていただいておりました。

一年たったころちょうど更新もあったので、上司からの呼び出しもあり、上司の方から、正社員としてどうかというお話をいただけたことを嬉しく思いました。職場内の環境も良かったし、将来的にお金も必要になるので、稼ぎたかったため、正社員として働かせていただけました。

更新や期限のタイミングで正社員になるためには、まじめに働き、戦力として会社に貢献する努力が必須です。

「もうすぐ今の派遣先で働き始めて3年が経つ」人であれば、正社員の希望を出して見ても良いですが、働き始めたばかりで正社員を希望するとなると、確実な方法ではありません。

数ヶ月以内に正社員を目指すならこちらのパターンへ

正社員が退職し新規に募集するタイミングでの打診

企業側が新しく正社員を採用するタイミングで、「すでに働いていて人柄もスキルも分かる派遣社員さんに打診してみよう」となるケースです。ただ、多くの場合は前任や同じポジションの正社員が退職するタイミングのため、確実性はありません。

▼退職者が出るタイミングや正社員募集のタイミングで派遣から正社員になった人

欠員が出るからと打診
30代男性

IT企業の人事で2年働いた後、正社員の人間が辞めて欠員が出るからと会社側から声をかけてもらった

前任者の退職で打診
30代女性

テレビ業界のグループ会社へ産休代替として派遣就業。 1年後、産休育休に入った前任者が退職したタイミングで、 『正社員』にならないかと打診。 条件等の話になった際に、派遣社員として 就業するよりも良い条件だったため、 正社員になった。

人手不足で打診
40代男性

建設業で1年働いていて、会社から人手不足なのでそのまま正社員にならないかと誘われました

人数不足で打診
20代女性

ホテルの事務で一年働いていて、人数不足していた際に声をかけてもらってそのまま社員になった

また、正社員の採用がうまくいっていない場合、「だったら今いる派遣の◯◯さんに正社員になってもらえばいいじゃないか」となる場合があります。

急いでいないのであれば、日頃から派遣先でどのような求人を出しているかチェックしておき、自分の部署で募集があったときに立候補してみると良いでしょう。

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能力やスキルを認められて打診

企業側からの推薦や、派遣の更新を断ったタイミングで正規雇用の提案をもらえる場合もあります。

正社員登用制度の対象になるように努力
30代男性

建設会社に派遣社員として入社。現場での実務経験を積み、信頼関係を築く。正社員登用制度の対象となり、正社員に。

退職希望時の引き留め
20代男性

外資系企業の人事採用アシスタントとして約2年半働いており、派遣の業務はもう飽きた&責任ある仕事に就きたいという理由で派遣契約の更新を断ったところ契約社員を打診された、そこを経て現在は正社員です。

推薦を貰い試験へ
40代女性

保育所でサブ担任として3年働いて、4年目になる前に所長から正社員試験を受けないか、推薦するよと声をかけてもらった。

企業側の目線で言えば、雇えなくなる理由が生まれたタイミングで直接雇用を考えるため、「自分は評価されている」と感じているなら、「実は正社員を目指して転職活動中なんです」と伝えてみるのもありです。

とはいえ、正社員にする気がないと「辞めそうな人」として扱われてしまうこともあるため、同時に転職活動を進めるべきです。

正社員前提で転職活動をする方法

派遣から正社員になれなかった事例

直接雇用の前例や制度はあるにもかかわらず、会社側の業績により流れてしまったケースもあります。

会社の縮小により終了
30代男性

製薬会社の研究職として派遣で働きはじめた。前例で派遣から契約社員になった方がいたので、それを目指していた。仕事ぶりも評価していただいていたが、会社自体の合併や縮小などが起き、結局なることはなく退職した。

経営不振で流れた
30代男性

製造業に2年間後に正社員になれると言われたので、2年間働いたが経営不振になり流れた。

今の派遣先から正社員は企業次第で難しい

結果的に正社員になった人は多いものの、企業の判断次第になるため、今の派遣先で正社員になるというのは最も難しい方法になります

そもそも企業側は、「特定の期間だけ人材確保をしたい」というときに派遣社員を受け入れます。

例えばあなたが、赤ちゃんが生まれてベビーシッターを雇ったとします。子どもが大きくなればベビーシッターは必要ありませんので、特定の期間だけ必要です。派遣社員を受け入れるときの派遣先のニーズに似ています。

子どもが大きくなってきて、そろそろベビーシッターは不要かなと思ってきたタイミングで、ベビーシッターさんから「このまま無期雇用で雇ってください」と言われても困ってしまいますよね?

派遣社員の無期転換はこれに似た難しさがあります。

「無期で働いてくれる労働力が欲しい」というのがもともとのニーズではないので、急にそのニーズが生まれてこない限り、正社員で雇ってもらうことはできません。

そのほかにも、現役の人事担当者が「派遣から正社員になるのが難しい理由」を解説しているパートもありますので、参考にしてみてください。

>>派遣から正社員になるのが難しい理由を現役の人事に聞いてみた

会社を変えて「正社員登用あり」の派遣求人に応募する

派遣求人の中には、「正社員登用あり」「正社員登用実績あり」と記載のあるものがあります。

何も書かれていない求人に比べれば、派遣社員として勤務した後に正社員になれる可能性は少し高まります。

しかし、確実性はかなり低いと思ってください。正社員に登用する気がなかったとしても「正社員登用あり」「正社員登用制度あり」と書くことはできるからです。

「正社員登用実績あり」というのも、あくまで実績が0ではないということなので、それが1なのか10なのか、何%が正社員になっているのかもわかりません。こちらが勝手に期待をしてしまっても、企業側は何も保証してくれません。

このあと紹介する別の方法を取ることをおすすめします。

会社を変えて「紹介予定派遣」の派遣求人に応募する

紹介予定派遣とは、一定期間(最長6ヶ月)は派遣社員として働き、その後、企業と働く人の双方が合意したら正社員や契約社員など、直接雇用となる派遣のシステムです。詳しくは次の記事を参照してください。

紹介予定派遣であれば、派遣先も最初から直接雇用の意思があるため、一般的な派遣に比べて正社員になれる確率は高いです。

▼紹介予定派遣で正社員になった人

半年で契約社員
30代男性

紹介予定派遣で派遣された企業で総務事務として半年間派遣社員として働いていて、双方の合意のもと、予定通り契約社員として勤めることとなった。

半年で正社員
30代女性

紹介予定派遣で、正社員を前提として施設の方で半年働き、契約更新の際に正社員でそのまま働いてほしいと声をかけてもらい、正社員として働き始めました。

2年で正社員
20代男性

新卒の就職先で紹介予定派遣を選びました。その後2年で正社員で契約していただきました。待遇などは変わりませんでしたが昇給できるようになりました。

半年で正社員
30代女性

紹介予定派遣で半年働いて、派遣先より正社員(同条件)に声をかけてもらった。

上記の通り、ほとんどは半年で正規雇用へ移行するのですが、中には2年と紹介予定派遣のはずが、通常の派遣と変わらない状態になっている人もいました。

また、厚生労働省のデータ(令和3年)によると、紹介予定派遣から直接雇用になった割合は56.8%です。紹介予定派遣を利用したとしても、約半数の人は直接雇用への転換はされていないのです。

いくつか注意点も含めて説明します。

直接雇用ではあっても、無期雇用とは限らない

多くの人に誤解されていますが、紹介予定派遣は正社員への移行を前提とする派遣契約ではありません

あくまでも前提としているのは『直接雇用』であり、その中には契約社員やパート・アルバイトも含まれます。(次のグラフの通り、直接雇用の約半数は契約社員・パートなどになっています)

★紹介予定派遣から直接雇用へ移行する際の雇用形態 

紹介予定派遣から直接雇用へ移行する際の雇用形態

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「派遣先での直接雇用転換」

つまり直接雇用への移行ができたとしても、必ずしも正社員ではないということです。

結果、せっかく紹介予定派遣で働いたとしても、56.8%×57.8%=32.8%しか正社員になることはできないのです。

求人数が少ない上に人気が高いので、合格難易度が高い

5,000以上の求人を調べてみたところ、派遣求人のうち、紹介予定派遣の求人数は約7.5%しかありませんでした。

企業の立場になって考えてみると、有期雇用で済む派遣で、わざわざ無期雇用を前提とした求人をするのはリスクがあります。

一方で、求職者側からすると、無期雇用に転換できるチャンスである紹介予定派遣は、非常に人気が高いです。

母数が少ないのに応募が殺到するので、合格難易度は非常に高いのです

会社を変えて正社員枠で転職活動する

派遣社員から正社員に登用されるパターンではなく、最初から正社員として転職活動するという方法があります。

正社員としての求人に応募するわけなので、合格してしまえば100%正社員になれるという確実性があります。また、2年や3年といった時間をかける必要もなく、内定さえもらえればすぐに正社員になることができます。

▼転職活動をして正社員になった人

転職活動で正社員へ
30代男性

派遣の販売職で1年働き、ノルマのキツさや雇用形態の不安定さに不安を感じ、転職活動した結果IT系の会社に正社員で入社することができた。

転職サービスを利用
30代女性

金融で派遣社員として働いていたが、あまりにも正社員と派遣社員の扱いが差別的で酷かったので転職サービスを使って金融ではない希望の正社員となれた。

不信感をきっかけに転職活動スタート
20代男性

専門商社に1年ほど勤めていましたが、当初3ヶ月更新だった話が1ヶ月更新になってしまい、不信感が募って転職活動をした。

別の会社で正社員に
30代女性

派遣社員として事務の仕事を1年したあと、転職活動をして別の会社で正社員として雇用された

派遣から正社員への転職は「難易度が高すぎる」わけではない

とはいえ、「派遣社員の経歴は正社員転職において不利なのでは?」「自分のスキルや経験で大丈夫?」「私の年齢で大丈夫?」と、転職して正社員になるなんて難易度が高いんじゃないの?と思う方もいるかと思います。

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派遣から正社員になるのが難しい理由を現役の人事に聞いてみた

ここまで、派遣から正社員になる様々な方法について解説してきました。結論としては、簡単かつ確実性の高い方法は存在しません。難易度が高いか、確実性が低いか、どちらかに必ず当てはまってしまいます。

採用人事歴10年の私、池田が「なぜ難しいか」について解説します。

3年の間は結論を先延ばしにされがち

紹介予定派遣の場合を除いて、派遣には3年ルールというものがあります。

いくつかの例外を除き、派遣労働者が同一事業所で勤務できる上限は原則3年とされています。

そのため、3年経ったタイミングで「まだこの人にうちで働いてもらいたい」と思われた場合に、正社員転換してもらうチャンスが生まれてきます。

逆に言えば、3年経つまでの間はこのまま派遣社員のままで大丈夫という思考に会社側はなりがちです。

他の正社員を雇うという選択肢と戦わなければならない

企業目線で、「この派遣社員の正社員化を検討しよう」となったとき、同時に検討するのは「別の人を正社員として採用する」という選択肢です。

すでに会社のこともよく知ってくれていて仕事にも慣れているというアドバンテージもありますが、正社員で応募すればもっと優秀な人が来てくれるのではないかと企業は思ってしまいます

他の正社員を雇うよりも私の方がいいんだというアピールができてないといけません。

派遣社員への固定概念と戦う

派遣社員には、言われたことをやるだけ、責任がない気楽な仕事をしているという偏見が存在します

もちろん、全員がそう思っているということはありませんが、一部でそのように思っている人がいるのも事実です。

そのため、派遣の経歴が長い人だと、正社員への転職時に面接で評価されにくいという実態があります。

ただし、転職エージェントのサポートがあれば、キャリアアドバイザーが企業に自分の推薦ポイントを伝えてくれるので、派遣歴の長さだけで落とされてしまうリスクを減らすことができます。

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