動物好きならぜひ!トリマーとはどんな仕事か経験者に聞いてみました。今回は、トリマーの仕事について解説していきます!
この記事では、
- トリマーの業務内容
- トリマーのやりがいとつらいところ
- トリマーに向いている人の特徴
- トリマーの収入
以上の点を説明しますね。実際にトリマーとして働いていた斉藤さんにもたっぷり解説してもらいますよ!
なお、未経験からの目指し方や求人の探し方は後編で解説しています。
トリマーの職場とは?就職したときのことを聞いてみた
斉藤さん、よろしくお願いします!それじゃあ、早速プロフィールを教えてもらえますか?
トリマー歴7年です。1店舗目では2年間、2店舗目では契約社員として、5年間働いていました。一年ごとの契約更新で、実質パートみたいな扱いですね。
最初は個人店で働いていました。でも、店の場所が遠くて通勤にも時間がかかっていたんです。勤務自体少し疲れてしまって転職を考えていたら、近所にショップがオープンしました。
お店を見に行ったのがきっかけで面接に応募しました。家から近くて勤務内容も良かったので、入社できて良かったです。
会社自体は、社員数225名の中小企業です。小動物やアクアコーナーなどがある総合ペットショップです。
美容にも健康にも気を使うトリマーの業務内容とは?
トリマーの業務内容について教えてください。
ざっくり言うと、犬の美容師ですね。伸びてきた被毛のカット、全身のシャンプー、場合によってはカラーリングすることもあります。
カットやシャンプーなどをこなす!トリマーの基本業務
5年間働いていたお店では、送迎はしていませんでした。ですので、基本的にはお家から連れてきていただいた犬の被毛を洗ったり、伸びてきたらカットしたりします。
背中の被毛をハート型に残すようなデザインカットもしていました。
トリマーというと被毛カットが主な仕事ですが、爪切りや耳掃除、肛門絞りなど、体のお手入れも行います。
被毛が長い犬だと毛がもつれてしまう場合もあります。お家で飼い主さまがケアをするのは難しいので、その点もトリマーがしっかり行いますよ。
犬に直に触れたり間近で観察したりしながら体調の変化で気付いた点があれば、飼い主さまにご報告します。
トリマーは、ワンちゃんのお手入れをしながら病気を早期発見するお手伝いもできるんです。
トリマーは飼い主とのコミュニケーションも大切な業務
トリマーは犬をきれいにする仕事ですが、もちろん、飼い主さまともコミュニケーションを取ります。
ワンちゃんのお手入れがしやすい道具や、ワンちゃんに合ったシャンプーなどについてアドバイスをしながら、一緒に商品選びもします。
5年間働いていたお店ではペットホテルも併設していました。飼い主さまがお留守の間、お預かりしたワンちゃんのお世話をするのも業務内容です。
朝晩のご飯をあげたり、お散歩したりしていました。
トリマーのやりがいとつらいところ!かわいいワンちゃんと体力勝負!
犬好きさんにはたまらない仕事内容ですね。
実は、トリマーって猫ちゃんのトリミングもするんですよ。
え、そうなんですか!?
はい。私は犬のトリミングが主でしたが、犬も猫も両方担当できます。
ワンちゃんがきれいになるのがうれしい!トリマーのやりがい
トリミングでキレイになったワンちゃんを見て飼い主さまが喜んでくれると、すごくやりがいを感じますね。「かわいい!」と言ってもらえると、トリマーとして評価されたような気がして、とてもうれしいです。
お家で汚れてしまったり、毛が伸びてボサボサになってしまったりしたワンちゃんも、トリミングやシャンプーで見違えるほどキレイになります。
プードルやマルチーズ、ヨークシャー・テリアなどの人気犬種は、被毛がすぐに伸びるので定期的にトリミングが必要です。被毛は伸び放題にしておくと、お尻の衛生を保つのが難しくなります。
トリミングはオシャレのためではなく、ワンちゃんの体を清潔に保つためにも必要なことなんです。だから、ワンちゃんがキレイになる姿は単純にうれしいんです。
トリマーのつらいところは?体力的につらくなりがち
トリマーは立ち仕事なので、体力的につらいと思うときはありますね。足がむくんでパンパンになったり、腰が痛くなったり、ちょっと大変です。
また、ワンちゃんは動物なので言葉が通じません。警戒心が強かったり機嫌が悪かったりするワンちゃんには、思いっきり噛まれますよ。本当に、生傷は耐えません。
お店にワンちゃんを連れてくる飼い主さまは、本当にワンちゃんのことをかわいがっています。衛生面でも普段からしっかりお手入れをしていただいていますが、やはり動物なので不衛生な面もあります。
仕事内容がハードな割に見合った額のお給料はもらえていないので、学生時代は「きつい、汚い、給料安い」の3Kと教えられました(苦笑)。実際にお給料は安いので……。ちょっとつらいですね。
あと、ペットショップの繁忙期はお盆や年末年始です。もちろん、お店は営業します。世間一般が休みの時期に合わせられないのも、つらい点ですね。
こうして聞いてみると、結構つらいこともいっぱいあるんですね。
本当ですね。仕事が楽しかったのは本当なんですけどねぇ(笑)。
トリマーに向いている人とは?「犬好き」は大前提
楽しいことも大変なこともあるトリマーだけど、どんな人が向いていると思いますか?
まず犬が好き、というのは大前提じゃないでしょうか。
【犬が好きな人】お世話にコツを掴もう
どの犬種でもワンちゃんはかわいいですが、先に説明したとおり、ムキっとされたり噛まれたり大変なことも多いです。
だからこそ、ワンちゃんが好きな人じゃないと、務まらないと思いますね。
できれば、犬を飼った経験があると良いかもしれません。餌のあげ方、散歩の仕方、ワンちゃんの体調変化の見極め方など、飼った経験がある人の方が、お世話のコツがつかみやすいんです。
【職人気質の人】犬を怪我させないために技術が大切
カットはもちろん、シャンプーやドライヤー、耳掃除、爪切り、肛門絞りに至るまで、上手に行うにはコツがあります。
トリミング中でもワンちゃんはじっとしてくれません。
でも、トリマーはハサミを使っているので、うまくワンちゃんを固定しないとケガをさせてしまいます。実際にやってみるとわかるんですが、犬の保定にはテクニックがあります。
保定とは、トリミングや治療の間、動物を動かないように押さえておくことです。
押さえどころが悪いと動いてしまうので、コツをつかむまでは私もちょっと怖かったですね。
言葉の通じないワンちゃんを上手にケアするにはどうすればいいのか、職人のように追求していける人は、トリマーに向いていると思います。
【コミュニケーション能力の高い人】飼い主の要望を汲み取ろう
お世話をする対象はワンちゃんですが、私たちにとってのお客さまは飼い主さまです。
もちろん、ワンちゃんが快適に過ごせるように精一杯お手入れしますが、その結果を飼い主さまに気に入ってもらうことがとても大切なんです。
飼い主さまのお話をしっかり聞いて、要望を汲み取った上でワンちゃんのお手入れができると良いと思います。
トリマーとしての技術は大切ですが、同じくらいコミュニケーション能力も重要です。
【気が長い人】警戒・興奮している犬が落ち着くまで待とう
ワンちゃんが興奮していたり警戒心が強かったりする場合、言うことをきかせるのは難しいです。
無理やり言うことをきかせても、強引にすればするほどワンちゃんは反発するので……。
飼い主さまにもご迷惑をかけますので、落ち着いてお手入れさせてくれるまで、気長に対応できる人が良いですね。
この他、几帳面でワンちゃんの細かい変化に気づける人も向いていると思います。
体力勝負のトリマーになるなら若いほうが良い
トリマーになるための年齢制限は、特にありません。ただ、トリマーは体力勝負の仕事でもありますから、20代の若いうちから働き始めたほうが良いです。
年齢を重ねてからだと、長時間の立ち仕事に耐えにくくなると思います。
犬の美容師だけど…トリマーに国家資格はない!民間資格は取得しておくべき
実は、トリマーって資格は必要ないんですよ。
え、そうなんですか?
美容師は国家資格が必要なんですが、トリマーは無資格でも可能です。
ええっ、知りませんでした。
ただし、トリマーとして就職をするなら、専門学校や協会が発行している認定資格を取得しておくと有利になります。
有名なのは、JKC(ジャパンケネルクラブ)認定ライセンスです。
トリマーを雇っているお店なら、JKCで通用します。ライセンスのレベルは、「C級」「B級」「A級」「教士」「師範」の5種類です。
JKC公認の養成機関で学んだあと、卒業試験に合格すればC級資格が取得できますよ。
トリマーの収入は安いかも…
さてさて、気になるトリマーの収入ですが…思い切って質問してもいいですか?」
はい。ちょっと月によって変動があるのですけど、月収は手取りで12万~16万円、年収で総支給額200万円くらいでした。ボーナスはなかったものの、心ばかりの金額はありましたね。
トリマー自身も安いと感じている
大変なことが多い業務内容の割には、お給料は安いと感じます。ただ、私はチーフをさせてもらっていたので、同じ職場のトリマーさんと比べれば多くもらっている方でした。
残業あるけど、残業代は出るし長時間ではない
月10時間くらい残業していました。休日出勤はしたことはありません。残業代は出ていたし、残業時間もそこまで長くはなかったですね。
ただ、何回も言っていますが、仕事内容はかなりハードです。
結婚後もしばらくは働いていましたが、子どもを作りたかったので今は辞めてしまいました。
トリマーになりたい人に一言!
なかなかチャレンジしがいのある仕事みたいですね。最後に、トリマーを目指す人に一言お願いできますか?
犬や動物が好きな人、我慢強い人、人と接するのが好きな人は、トリマーが向いていると思います。立ち仕事で業務内容はなかなかハードですが、だからこそやりたいと思ったら若い内にチャレンジすることをおすすめします。実際、激務ながらも楽しく働いていました。ワンちゃんの健康と美容を守るために、トリマーとして活躍してみませんか?
いろいろ教えてくださり、ありがとうございました!
次の記事では、未経験からトリマーを目指すために具体的な求人の探し方などを紹介します。