貿易事務の仕事内容とは?やりがいや向いている人の特徴も確認!
今回は、貿易事務についての解説です。
- 貿易事務の業務内容
- 貿易事務のやりがいとつらいところ
- 貿易事務に向いている人の特徴
- 貿易事務の収入
以上の内容を紹介していきます。貿易事務として12年も働いていた相澤さんにも、いろいろお話を伺っていきますよ!
なお、未経験からの目指し方や求人の探し方は後編で解説しています。
相澤さん、こんにちは!今日はいろいろお話を聞かせてくださいね!
こんにちは。よろしくお願いします。
ベテランさんが貿易事務の仕事に就いたきっかけは?
まず、相澤さんのプロフィールを教えてください。
貿易事務歴は12年です。社員が2万5000人弱いる大手海運会社の子会社に、派遣社員として勤務していました。
貿易事務の超ベテランさんですね。
そうですね。親の介護を理由に仕事は辞めたのですが、それがなかったら、もっと続けていたかなと思います。
専門的な仕事が多い!貿易事務の業務内容
貿易事務っていうと、話すのも書くのも英語で、難しそうってイメージがあります。
確かに英語は使えたほうが良いと思いますね。
ただ、会社や業務内容によって、英語を使う頻度には開きがあるんじゃないでしょうか。私は『THE・貿易事務』といった感じの業務でしたが、会社によっては一般事務と業務内容があまり変わらないというケースもあるみたいですし。
貿易事務の仕事内容や必要なスキルついてさらに詳しく知りたいという人は以下の記事もあわせて確認してみてください。
輸出と輸入の流れ
貿易事務の業務内容を説明する前に、貿易の流れを簡単に説明しますね。
輸出の流れ
- 輸出契約
- L/Cを入手(L/Cとは銀行が発行する荷為替信用状のこと)
- 船腹手配、保険付
- インボイス作成(インボイスとは、輸出者が輸入車に渡す送り状のこと)
- 輸出通関手続き
- 船積手続き、B/L入手(B/Lとは、船荷証券のこと)
- 手形振出
- 手形代金回収
輸入の流れ
- 輸入契約
- L/C開設、発行依頼
- L/C開設
- 貨物船積
- 船積書類、手形送付
- 手形代金支払
- L/Cを開設した銀行から輸入者に、船積書類が渡される
- 輸入通関手続き
- 貨物引取
- デリバリー
輸出入に関係のある会社は3種類
私が働いていたのは、国際物流会社です。海上輸出の事務をしていました。顧客から商品輸出の依頼を受けたら、貨物集荷、輸出通関、コンテナ船の予約、船積み手配、現地への報告、船荷証券等書類送付などの業務を行います。
ちなみに、貿易に関係のある会社は3種類ですね。
国際物流会社
どのルートを通ればスムーズに輸出入できるかを提案する会社。
商社やメーカー
商品を安く買って高く売るのが商社。商品を製造販売するのがメーカー。
海貨業者
商社やメーカーから輸出入業務を代行する業者。
専門的な仕事!貿易事務の具体的な業務内容
なんだかよく知らない言葉がたくさん出てきました。
まあ、仕事をしているうちに覚えることができますよ。
商社、食品会社、自動車メーカー、部品メーカーなど、さまざまな会社が顧客でした。取扱製品も、機械、部品、食品などいろいろです。
ひと通りの業務の流れも説明しちゃいますね。
- 輸出する製品を顧客から集荷
- 物量に合わせて船会社に船のスペースを予約
- 通関手続き(税関から輸出許可をもらう手続き)
- 許可された貨物を港まで運ぶ
- 船への積み込み手配
- 出港後に発行される船荷証券を顧客と輸出先の会社に送付
私がやっていた業務はこんなところですね。
なんだか、普通の事務では聞かないような業務内容ばかりですね。
貿易事務のやりがいとは?スムーズな輸送はうれしい!
貿易事務ならではのやりがいはありますか?
そうですね。国際物流会社の貿易事務として、やりがいを感じることはあります。
すでに説明済みですが、国際物流会社とは、顧客の要望を受けて輸出入に最適なルートを提案するのが仕事なんです。輸出の流れがスムーズに進むと、やったぁ!と思いますね。
例えば、納期ギリギリのスケジュールで案件を受けたとき。まずは、なんとか納期に間に合うように、一番早い輸送方法を探してアレンジします。現地支店の輸入担当者とも連絡を取り合って、運送がスムーズにいく方法を探っていくんです。
顧客の製造ラインを止めることなく配達できたときは、思わずガッツポーズが出ますね。
天候で左右される!貿易事務のつらいところ
商品を輸出する場合、輸送手段は船か飛行機になります。でも、両方とも天候でスケジュールが左右される輸送手段なんです。台風シーズンや雪のシーズンは、大幅にスケジュールが乱れます。大抵、遅延の方向に乱れるので、結構神経は使いますよ。
たしかに、納期遅れは相手にも迷惑かかってしまいますよね。
うですねぇ。天候は私たちのせいではないのですが、やはり気になってしまいます。
そあとは、国によって業務や時間の流れが異なるので、想定以外のことが起きるとスケジュールに影響は出てしまいますね。
貿易事務に向いている人とは?対応力がカギかも?
12年の経験から、貿易事務に向いているのはどんな人だと思いますか?
感情的にならない人、柔軟に対応できる人、リサーチが好きな人などでしょうか。
感情的にならない人
私の業務では、顧客や港湾会社の人と接する場合が多かったんです。ときには、理不尽な依頼や対応をさせられることもありました。また、日本人からすると、外国の人の話し方が少しきつく感じる場合もあります。
そういうときに、いちいちカチンときて業務が止まってしまう人は、あまり向いていないのではないでしょうか。どんなときでも感情的にならず、大人の対応ができる人が向いていると思います。
柔軟に対応できる人
輸出業は想定外のことが起きるケースも多いんですよ。天候によるスケジュールの遅延もそうですし、外国の人と話すときもそうです。
話が通じたと思っていても、思い違いをしていたり、誤解されていたりすることがあります。文化や言葉、習慣が違うからでしょうか。こちらの意図とは違う受け取り方をされる場合があるんですよね。
認識の違いが起こってしまうと、取引に支障をきたしてしまいます。だからこそ、業務ではあらゆるケースを想定して、柔軟に対応できる人が向いていると思います。
リサーチが好きな人
顧客や商品によって輸出先が変わります。いろいろな国に輸送するわけですけど、国によって法律が違うので調べることも多いです。各国の輸入規制はしっかりリサーチして、常に新しい情報を入手しなければなりません。「知らなかった」では済みませんので……。
書類作成や手続き上でわからないことがあれば、やはりその都度調べますしね。難しい単語もたくさん出てくるので、リサーチが苦にならない人なら向いていると思います。
コミュニケーション能力のある人
社内の人、顧客、港湾会社、海外支社の人など、どのような人が相手でも、しっかりコミュニケーションが取れると良いですね。
貿易事務はいろいろな人と関わりを持ちます。せっかく多くの人と接する機会が多いのだから、楽しんでコミュニケーションを取るくらいでちょうど良いかもしれません。
外国の人と接すると、新しい発見がいっぱいあります。日常的に英語を使っているので、忘れずにいられますし。
私にもできるでしょうか。コミュニケーション能力は結構自信あるんだけど……。
転職について、たくさんの人とお話する機会が多いですからね。
残業代は出た?給与と時間外労働
気になるお給料ですが、相澤さんは派遣社員だったんですよね?
はい。平均月収は25万円くらい、残業が多い月は30万円弱くらいもらっていました。年収は約300万円です。派遣なのでボーナスはありませんでした。
残業は月30~50時間程度ですね。残業代はしっかり出してくれたので良かったです。時給が通常の1.5倍、23時すぎると1.8倍になりました。あと、休日出勤もありません。
私が住んでいた地域の中では、お給料は多いほうではないでしょうか。英語ができたので、地方の派遣社員としては破格の時給だったと思います。
貿易事務になりたい人へ一言!
いろいろと貴重なお話をありがとうございました!
貿易事務は一般事務とは一味違う業務です。
最初のうちは、貿易業特有の用語ばかりで意味がわからなかったり、英単語がとっさに出てこなかったりすることもあります。覚えることがいっぱいで大変かもしれませんが、逆に20代のうちに仕事をしっかり覚えておけば、年齢を重ねてからも貿易事務として働けるのではないでしょうか。
事務職の中には英語を活かせる英文事務という職もあります。気になる人は以下の記事も参考にしてください。