【福利厚生】派遣でも有給休暇は貰える?

結論から言えば「派遣社員でも、もちろん有給休暇が取得できます」。派遣社員の〝有給取得制度について〟〝有給の取り方や付与される日数〟〝有給を取れない場合について〟など気になる点をまとめてみました。

派遣社員は有給休暇を取得可能か

まず「派遣社員は有給をもらえるのか」ですが、これは「貰えます」。正確には「年次有給休暇」と言います。休んでも賃金がつく休暇で(だから〝有給〟休暇なのです)、継続して6ヶ月以上勤務するとその後は企業が定めた一定の日数を取得できます。

ところが派遣社員は「3ヶ月しか勤務していない」「短期の仕事をしている」「同じ企業で3ヶ月更新で現在9ヶ月目」など、それぞれ雇用の状況が違います。

有給は「会社に長く勤務している人がもらえるもの」と漠然と捉えている人も多いようです。また「派遣は有給が取れない」と勘違いしている人もいます。派遣社員は「派遣先企業」ではなく、派遣会社に所属しているので「有給は派遣会社から付与される」ものです。

社会保障制度や福利厚生がしっかりしている大手派遣会社であれば、申請をすれば派遣社員でも有給休暇は取得出来ます。

いつから有給を取得できるのか

では、派遣社員はいつから「有給休暇」を取得できるのでしょうか。

法律では6ヶ月目から有給を取得できるとなっています。フルタイムで働く派遣社員であれば

1週間に5日以上、あるいは労働時間が30時間以上の場合、6ヶ月以上勤務で全部の労働日に対して8割以上に出勤していれば

6ヶ月目に10日

の有休が与えられます。

派遣社員は3ヶ月更新が多いので「6ヶ月以上の勤務にならないのでは」と思うかもしれません。しかし、派遣貴社に登録し就業していれば「更新をはさんでも」継続して就労していると見なされます。

注意したいのは、更新と更新の間に「1ヶ月以上の間があく」場合です。1ヶ月以上空いてしまうと、「6ヶ月の継続勤務」の条件を満たさなくなります。その為、就労期間のカウントがゼロに戻ってしまい、また半年以上経過しないと有給が貰えません。

派遣会社にもよるので確認は必要ですが、基本的に「契約終了から次の就業まで」に1ヶ月以上の間隔をあけないようにしましょう。

有給の日数について

有給の日数について「年次」ですから、

  • 1年6ヶ月目に11日
  • 2年6ヶ月目に12日

といったように増えていきます。最高で20日間の有給休暇が付与されます。

しかし実際に「10日間の有給すべてを取得する」とは限りませんね。この場合はどうなるのでしょうか。派遣会社によっては(少ない事例ですが)、退職時に有給休暇を買い取ってくれるケースもあります。また有給消化できるように派遣先企業と交渉してくれる事もあるようです。

有給休暇が何日残っているかは、給与明細で確認できたり、また大手派遣会社なら「担当窓口」へ問い合わせると調べてくれます。

派遣社員が有給を取得する為の条件とは

 1. 雇用された日から6ヶ月以上継続して勤務している
 2. 所定労働日の8割以上の出勤

この2つが労働基準法で定められた「有休取得の条件」です。所定労働日とは、派遣の場合には契約時に「週5日」「週4日」「月○日」などと規定された日数です。

実際に労働した日が、所定の規定日数に対して8割以上であり、なおかつ6ヶ月以上継続して働いているのが基本条件となります。

有給休暇は「権利」だが「義務」ではない

派遣社員にとって、有給休暇は取得できる「権利」です。これは労働基準法でも定められています。しかし、これは権利ではありますが、会社側にとっての「義務」ではありません。

  • 派遣社員でも、次の「権利」は保証されています。
  • 働いたら、それに見合った賃金が得られる
  • 職場の環境について働く立場から必要かつ妥当なものを要求できる
  • 有給休暇の取得を始め社会保証の権利がある
  • 労働者派遣契約と雇用契約に定められた権利についてきちんとそれが守られる権利がある
  • その他労働基準法、労働安全衛生法の定めにより保護される

この中で、注目したいのが、3番目の「有給休暇の取得を始め、社会保障の権利がある」という点です。

しかし、これは「権利」であり、義務ではありません。ごく簡単に「権利と義務」の違いを言えば、

権利は「それを可能にする、出来ること」
義務は「それをしなくてはならないこと」

です。労働者側としては、有給休暇は「取得できること」ではあります。しかし企業側の立場で見ると「有給休暇を取得させなければならない」という厳しい縛りはありません。

義務ではない以上、企業は「絶対に有給を与えなくてはならない」わけではないので、中には「有給休暇となっていても実際には取れない」とか「有給を取ろうとすると渋る」会社もあります。

派遣社員はまず「派遣会社の担当者」に有給の申請をします。もちろん派遣先企業の上司にも報告するべきですが、万が一、きちんとした手続きでも派遣先企業が有給を認めないようなケースでは、派遣会社が間に入って話し合いをしてくれます。

派遣社員の有給休暇「取れない・取りづらい」ケースとは

例えば有給休暇として「7日間」残っているとします。なるほど、1週間の有給休暇の資格があるのだから、

「来週、月曜から金曜まで5日間、さらに土日をはさんで月曜火曜と9日間の休み下さい」・・・と、こうなるとちょっと違いますね。極端な例ですが、これでは派遣先企業としても「いきなり来週から10日近い有給を取ると言われても困る」でしょう。

常識的に「それ、おかしくないか」と思われない範囲であれば、「有給を貰える」はずです。しかし、権利だからと言って、「なんでもあり」ではありません。派遣先企業との関係もありますが、今後、別の企業で働くと仮定しても常識の範囲であるのは大切です。

例えば繁忙期でどう考えても大変な時に「私、派遣です。有給取る権利あるから、明日から3日間お休みしまーす」では、正直なところ、理解を得られないと思います。個人的な理由で有給を取るには、仕事のタイミングや時期を見極める方がいいですね。

周囲に迷惑をかけないよう留意した上での有給を申請したのに、「派遣先企業が認めない」ケースもないわけではありません。これは派遣会社の担当者に連絡をして、話し合ってもらいましょう。もしかしたら企業の側に「この日は休まれたら困る、別の日にして欲しい」という希望があるかもしれません。

有給を申請した時に、企業は「時季変更権」が使えます。これはその人が休むと会社に損害が出るとか、事業が正しく運営できない可能性がある時「別の日にして下さい」と有給の日を変更するよう労働者に申し出られる権利です。あまり耳にしませんが、一応企業側にもそうした権利が使えるのは知っておきましょう。

有給休暇を取れない場合もある

派遣社員は有給休暇を取れない場合もある

派遣社員は有給休暇を取得する「権利」はありますが、実際には「派遣で働いているけど、有給もらえません」という口コミも見かけます。

残念ながら、中小などの派遣会社の中には「有給休暇の取得を認めない」所もあります。社会保険の加入などもそうですが、いわゆる「福利厚生」がしっかりしていない派遣会社もあります。大手派遣会社では、まずこうした問題はありません。しかし、今だに「派遣社員は有給はない」「社会保険に加入できない」と逃げきる派遣会社があるのは事実です。

有給休暇の取得や社会保障などを考えたら、きちんと対応してくれる大手派遣会社への登録が安心です。さらに複数の派遣会社に登録し、求人数を確保しつつ、それぞれの派遣会社の「働く人への対応」を見極めて判断したいところです。

派遣社員の上手な有給休暇の取り方

正社員ではなく、派遣社員だからこそ「上手に有給休暇を取るべき」です。周囲への配慮や、今度より良い条件で仕事をする事を考えても「正しい、上手な有給休暇の取得法」を実践すべきですね。

有給の申請方法

  • 事前に派遣会社の担当者に相談する
  • 派遣先企業の上司にも伝えて許可を貰う

まず、派遣会社に連絡をして相談しましょう。本来は「派遣会社に有給を取りたい」と連絡すればそれで良いのですが、実際には「業務を行っている」派遣先企業とも調整するのが社会人としてのマナーです。先の予定でわかっているのなら、数日ではなく1ヶ月前くらいに申請をするといいですね。

病欠は仕方のない事ですから、とにかくその日の朝一番に営業に伝え、派遣先企業へ連絡をしてもらいましょう。

実際の方法としては、例えばリクルートスタッフィングでは

 1. 数日前までには担当営業に有給を申告することを伝える
 2. その後派遣先企業の上司に有休取得を伝え、仕事の調整を行う
 3. 病欠の場合には朝営業担当に電話で伝え、有給申請をする

となっています。大手派遣会社は、だいたい似たようなシステムです。

テンプスタッフではどうでしょうか。

 1. 10日以上先の予定で有給を申請する場合はネットのマイページから手続きが可能
 2. 近日9日以内の場合は担当者または担当オフィスに連絡

となっています。各派遣会社で有給の取得手続きは若干違いますから、必ず最初に担当者に聞いておきましょう。

周囲に配慮する必要性

有給休暇を取る際には、社会人としてのマナーを守りましょう。特に派遣社員は契約更新もありますから、企業や派遣会社に悪い印象を与えないようにするのが大切です。

  • 有給を取る予定なら「なるべく早く」派遣会社の担当者に連絡をする
  • 派遣先企業の上司にも申告をし許可をもらう
  • 休暇中に迷惑がかからないように周囲に引き継ぎをしておく

特に繁忙期に休みを取るのは迷惑がかかります。また大事なプロジェクトの進行中ならば、時期を見計らって「休みやすいタイミング」「自分がいなくても業務上で大きな問題はない」時を選びましょう。必要に応じて、同僚などに書類やデータなどきちんとわかるように引き継いでおきます。

嘘も方便と言いますが、例えば「どうしても大好きなグループのコンサートに行きたい」(それが遠方なので平日に休みを取りたい)としましょう。

これを正直に「コンサートに行きたいんです!」と申告すればいいというものでもありませんね。有給取得では、労働基準法に照らし合わせれば「理由は必要ない」のですが、とはいえ、やはり休む以上はその理由を伝えるのが普通です。

嘘が良いわけではありませんが、大人として「親の病院に付き添う」など一般的に通りやすい理由をつけておく方が無難です。

忌引は有休消化となる

忌引ですが、派遣社員の場合は「有給消化の扱い」となるケースが多いようです。慶弔休暇については、派遣会社で規定がなく、一般的には有給を使うか欠勤となります。派遣会社との登録時に、念のため確認しておくといいですね。

派遣社員の有給休暇「Q&A」

フルタイムではない派遣社員でも有給の取得は出来る?

「フルタイムでなくても有給は取得できます」有給休暇は

  • 1週間の所定労働時間が30時間以上
  • 週の所定労働日が5日以上

が条件となっています。

しかし、いわゆるフルタイムでなくても「年次有給休暇の比例付与」という制度があります。

例えば、週3日勤務で年間の所定労働日合計が「年間121日〜168日」だとすると、6ヶ月を過ぎた時点で5日間の有給休暇が与えられます。

フルタイムの有給休暇とは日数が違いますが、勤務時間や日数に応じて有給は貰えます。

短期や日雇いでも有給休暇は取得できるか?

「短期や日雇い派遣でも有給休暇が貰えます」

日雇い派遣の場合、派遣契約を更新していくので結果的に6ヶ月の雇用期間を超えて「有休取得の資格を得られる」場合があります。また、

  • 所定労働日が週4日以下
  • 週の所定労働時間が30時間未満

であっても、最初の質問のように日数は少なくなりますが有給が発生します。日雇いや短期は条件や労働時間が様々です。まずは派遣会社の担当者に確認するようにしましょう。

求人要項にあっても本当に有給を取れるのか

「大手派遣会社なら有給休暇は取得できます」

よく有給を取ろうとすると「渋られる」という口コミを見ます。派遣先企業が繁忙期であったり、重要なポジションで会議に出席するべき日にお休みを取ろうとすれば「渋られる」のは、派遣社員に限らず正社員でも同じです。

しかし、事前に伝えておけば基本的に有給はきちんと取得できます。突発的な事項(親が重病など)は、誰にでもあり得る事ですから、とにかくすぐに派遣会社の担当者に連絡して相談するようにしましょう。

派遣社員は半休は取れますか

「派遣会社によって違います」

半休については、派遣会社と派遣先企業両方が認めていれば取得できます。状況によってかなり違うようなので、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。

特に働くお母さんは、学校行事で「半休」を使いたい人が多いですね。派遣会社の登録時に確認をし、なおかつ半休が取りやすい(ママが多い職場など)求人を紹介してもらうようにお願いしましょう。

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