あなたが転職を考えたり、何らかの理由で失業状態になった時、加入していると支えになるのが雇用保険です。
雇用保険とは、労働者が失業した際の失業手当の給付や、再就職支援活動を行うための公的な保険制度です。
正社員しか加入できないのでは?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、一定の条件を満たしていればアルバイトやパート、派遣社員も雇用保険に加入できます。
労働者を雇用している企業は雇用保険に加入する義務があります。また条件を満たす労働者も加入が必要です。
雇用保険に加入すると労働者は被保険者となります。給料から毎月一定の保険料を納めると同時に、雇用している企業側も保険料を一部負担します。
派遣で雇用保険に加入するための条件
2010(平成22)年4月に雇用保険の適用範囲が拡大されました。現在は以下の基準を満たしていれば加入が義務付けられています。
- 31日以上雇用の継続が見込まれる
- 派遣先での1週間の所定労働時間が20時間以上
例えば1日4時間×週5日労働で1ヶ月以上の雇用契約が見込めれば、アルバイトやパート、派遣社員も雇用保険に加入できるということです。
派遣先の会社は保険等加入の確認義務がある
「派遣元は健康保険・厚生年金・雇用保険の資格取得確認等の事実を派遣先に通知しなければならない」(派遣法第35条第2号)と定められています。
また、資格取得の手続きが済んでいないことを派遣先に知らせるときは、具体的な理由を付けなければなりません。(派遣法施行規則第27条の2)
派遣先は派遣元から通知を受けたとき、下記の確認をすることが求められています。
- 派遣元から送られる被保険者証の写しなどの書類を確認すること
- 加入していない理由が適正でない場合は、派遣元に対して加入させるよう求めること
このような制度があることからも、派遣先の会社は、より信頼のできる派遣会社からスタッフを受け入れたいと考えます。
派遣会社によって違う福利厚生
雇用保険は条件を満たせば加入が義務付けられていますが、社会保険や福利厚生はどうでしょう。
一定の条件を満たす雇用契約であれば、派遣元である派遣会社の一部負担によって派遣社員も健康保険や厚生年金に加入できます。
さらに派遣社員でも有給休暇や健康診断などの福利厚生制度があります。また、スキルアップ講座や検定試験制度などが充実している派遣会社もあります。
このような福利厚生は派遣会社によって異なります。有名な大手派遣会社は手当てや制度が整っていますが、中小規模の派遣会社では十分でないこともあります。
各社それぞれ力を入れている制度は違います。よく耳にする大手の派遣会社などに登録して比較し、自分にとって良い条件のところを選びましょう。キャリアアップ支援制度を上手に利用してスキルアップを図るのも良いですね。
失業保険とは
失業保険とは雇用保険加入者が失業した際、失業手当を受給できる制度です。失業給付は雇用保険の保険料で賄われています。
基本手当・就業促進手当・教育訓練給付・育児休業給付・介護休業給付などがありますが、一般的にいわれる失業手当とは、基本手当を指します。
派遣労働者が失業手当を受給するための条件
派遣社員で雇用保険に加入していても、失業手当が必ず受給できるわけではありません。
失業給付を受けるためには下記に当てはまることが条件です。
- 現在職に就いておらず失業状態である
- ハローワークでの求職申し込み手続きが完了しており、引き続き働く意思がある
- 退職日以前の2年間に雇用保険の加入期間が通算して12カ月以上ある
参考:ハローワーク
病気やけが、出産などの理由ですぐに就職できない場合は、すぐに働くことができないため、条件には当てはまりません。
しかし、すぐに働けない状況の人でも、ハローワークで受給期間延長手続きを行うことで、最長で3年間受給期間を延長できます。
失業給付の受給手続き
失業給付金の受給手続きはハローワークで行います。受給資格の決定には派遣会社から受け取った雇用保険被保険者離職票が必要です。
受給資格が決定すると、雇用保険受給者初回説明会の日時が指定されます。
雇用保険受給者初回説明会に参加し、失業認定日を指定されます。失業認定日の面談で受給資格を満たしていると認定されれば、基本手当を受給することができます。
この失業認定日は4週間ごとにあります。次のお仕事が決まるまでこの失業認定と受給を繰り返します。
受給できる期間は年齢や退職の理由、雇用保険に加入していた期間などにより異なりますので、手続きの時に確認してください。
派遣契約期間満了で退職の場合は注意が必要
失業保険の受給手続きから受給開始までの待機日数を給付制限期間といいます。給付制限期間を左右するのが退職理由です。
退職理由は会社都合と自己都合に大きく分けられます。
会社都合の場合は7日間の待機期間の後に受給できます。しかし退職理由のほとんどが自己都合にあたるため、受給開始まで7日間の待機期間+3ヶ月もかかるのです。
こんな人は要注意!
派遣のお仕事は契約期間があります。契約期間を延長せず期間満了で退職し、正社員での就職を考えている場合は注意が必要です。
期間満了後の行動と、退職理由によっては受給が遅くなる場合もあります。
会社都合での退職
下記のような理由などで、派遣社員として働く意思があっても仕事に就くことができなかった場合がこれに当たります。
- 派遣会社の倒産
- 派遣会社からの解雇
- 契約期間満了後1ヶ月経過しても次の仕事が見つからなかった
会社都合退職と認定されると、3ヶ月の給付制限なしで7日間の待期期間の後に失業給付が受けられます。派遣会社から離職票が送られてきたら、ハローワークで求職の手続きをします。
自己都合による退職
自己都合による退職とみなされるのは例えばこのようなケースです。
- 契約期間終了後1ヶ月以内に離職票を請求した
- 契約期間終了後1ヶ月以内の紹介を断った
- 本人都合で契約更新を行わなかった
自己都合の場合、7日間の待機期間+3ヶ月の給付制限の後、失業手当を受給できます。しかし、その間の収入はゼロということになります。離職票を請求せず、仕事の紹介がなかった場合も1ヶ月以上の期間、収入はありません。
求職申し込みのためでも契約期間終了後1ヶ月を待たずに自ら離職票を請求した場合、働く意思がないとみなされて自己都合となることがあるので注意しましょう。
1ヶ月間は派遣会社も次の仕事を紹介しようとし、自分も仕事を探す努力をしなくてはならないということです。
失業保険が受給できない?!
失業保険の受給ができないのはどんな時なのでしょうか。
雇用保険に加入して労働した期間を被保険者期間といいます。受給に必要な被保険者期間に満たなかった場合は、失業保険の受給は出来ません。
雇用保険被保険者期間が離職日以前の2年間に12ヶ月以上必要です。※離職日から1ヶ月区切りで起算したとき、11日以上賃金が発生している月×12ヶ月以上
特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、雇用保険被保険者期間が離職日以前の直近1年間に6ヶ月以上必要です。※離職日から1ヶ月区切りで起算したとき、14日以上賃金が発生している月×6ヶ月以上
雇用保険は雇用主が変わっても引き継がれるので、前職の雇用保険喪失から再加入までが1年未満であれば、加入期間は加算されます。
ですが、加算しても期間が満たなかった場合や、前職の間が1年以上経っていた場合などはすぐに次の仕事を見つけなければ死活問題です。
契約期間満了後は別派遣会社に登録する
では派遣契約期間満了後はどう行動すべきなのでしょうか。
正社員への転職を考えての期間満了退職であったとしても、就職活動期間は1~3ヶ月、それ以上かかることもあります。就職活動は長引けば長引くほどブランクができ、次の仕事は見つかりにくくなります。
そんな就職難民になる前に、ここで上手に派遣を利用しましょう。1つの仕事の契約が満了したとはいえ、派遣会社に在籍している状態ですので、求人情報を知ることができます。
短期派遣で働く!
短期の派遣は高時給の求人も多いので、就職活動をしながら収入を得ることが出来ます。就活をしながら都合に合わせて働くことができるのです。
そのためには複数の派遣会社に登録するのがポイントです。派遣会社によって短期求人に強い会社や、転職を希望する業界に強い会社など特徴があります。
また、今まで就業していた1社だけでは、短期でつなぐには空き期間ができる可能性があります。
複数の派遣会社に登録することによって、より多くの選択肢から求人を探すことができるため、1社では得られなかった情報や新しい求人を見つけることもできます。
正社員登用を目指して紹介予定派遣で働く!
派遣から正社員への道が確保されている紹介予定派遣を探すのも手です。複数の派遣会社に登録した方の中には、希望していた企業の紹介予定派遣求人を見つけて見事、派遣社員から正社員へ登用された方もいます。
紹介予定派遣に強い派遣会社もあれば、外資系企業に強い派遣会社もあります。それぞれの派遣会社には特徴があります。
大手派遣会社を中心に複数社に登録し、紹介予定派遣に絞って探してみてはいかがでしょう。派遣求人の分母を広げてみると希望の業界や会社の求人があるかもしれませんね。
エリアごと職種別検索ができ、全国の求人をすぐにリサーチすることができる派遣会社大手のスタッフサービスやリクルートスタッフィングなどは、今すぐ働きたい方にもおススメです。
すぐに働けて高時給のお仕事など、自分の希望に合った求人をすぐにでも見つけたいですよね。
大手派遣会社を何社か比較し、より早くより自分の希望に沿ったお仕事をみつけましょう!