派遣で仕事をするときには就業前に「顔合わせ」があります。派遣会社の担当者から顔合わせの話を聞くと、ちょっと不安になりますよね。
「一体どんなことをするのだろう?」
「何か質問されるの?」
「採用と関係あるの?」
「何を着ていったらいいのかな」
そんな不安は顔合わせに行く前に解消して、万全の態勢で臨みましょう!今回はわたしの経験をもとに、顔合わせの全体像をお話します。
派遣の顔合わせ=面接
顔合わせに行ったときに最初に感じたのは、「これって面接だよな」という印象でした。
ときどき雑談みたいな会話を挟みつつも、経歴を確認されたり、こちらから仕事について逆質問したりと、話す内容は面接そのものです。
それじゃあなぜ、面接ではなく顔合わせと呼ぶのか?疑問に思いますよね。実は、派遣では就業前の面接が法律で禁止されているんです。
【派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 第2の11】
派遣元事業主は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこと。なお、派遣労働者等が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、派遣元事業主は、派遣労働者等に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為への協力の禁止に触れないよう十分留意すること。引用元:厚生労働省
【派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2の3】
派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと。なお、派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能であるが、派遣先は、派遣元事業主又は派遣労働者若しくは派遣労働者となろうとする者に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止に触れないよう十分留意すること。引用元: 厚生労働省
けっこう難しい内容ですが、派遣の場合は労働者を特定する行為が禁止されているんです。
一般的に面接では履歴書を相手企業に送ったり見せたりして採用へと話が進みますが、履歴書を扱うのは労働者を特定する行為にあたります。
そこで使われるのが、顔合わせや面談といった表現なんです。顔合わせの流れや行う意味は、採用・不採用を決めるための面接というのが実際のところでしょう。
顔合わせを面接と感じた人が82%!アンケート結果
顔合わせを面接のようだと感じたのはわたしだけではありません。下の図を見てください。
「顔合わせにいって、これは面接のようなものだなと感じましたか」というアンケート結果を円グラフにしたものです。
派遣で働く人たちにアンケートしたところ、82.4%の人が顔合わせに行って面接だと感じています。
顔合わせが言葉通りの内容ではなく、さらに踏み込んだものであると分かりますよね。
派遣の顔合わせでやること
派遣の顔合わせでは、まず自己紹介をします。職務経歴を話して、これまでどんな仕事をしてきたのか、スキルをどのようにこの会社で活かせるかを話しました。
その上で派遣先から質問をされて、こちらからも逆質問という形で質問をしました。まさに面接そのもの!といった会話内容だったのを覚えています。
自己紹介の段階で「この顔合わせの結果次第で不採用になるかもしれない」という不安も正直なところありましたね。
顔合わせは超重要だと思います。わたしは無事に採用されましたが、なかには不採用になる人もいます。
「顔合わせをして不採用になった経験はありますか」というアンケート結果を円グラフにしました。
不採用になった人は約3割いることがアンケートで分かりました。落ちる確率は決して低くありません。
これから派遣で顔合わせを控えている人は、顔合わせ=面接だと考えて臨むといいですよ。
派遣の顔合わせの服装はスーツかオフィスカジュアル
顔合わせには何を着ていくのがいいのか。結論からいうと、スーツかオフィスカジュアルが無難です。
下の円グラフを見てください。
顔合わせに行った約9割の人がオフィス系の服装を選んでいます。
わたしは「派遣先の方と会うのだからスーツなら間違いない!」と思って着ていきました。
自己紹介をしながら、スーツにして良かった、という安心感も生まれてしっかりと話すことができました。
人は見た目じゃないとよく言われますが、顔合わせではやっぱり見た目も大事です。
人の印象は見た目が重要!メラビアンの法則について
「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことありますか?
アメリカの心理学者メラビアンが提唱した概念で、「3Vの法則」とか「7・38・55のルール」と呼ばれることもあります。
話す内容や表情などに矛盾があったとき、人はどのように受け止めるか、どの情報を最も参考にしたかという実験です。
その結果がこちら。
- 言語情報7%
- 聴覚情報38%
- 視覚情報55%
この数値から分かるように、見た目から受ける印象はかなり大きいです。
そこで派遣の顔合わせの服装はスーツやオフィスカジュアルにします。さらに、マナーとしてハンカチも携帯するとバッチリですよ。
わたしは普段持ち歩かないハンカチに、キレイにアイロンがけをしました。
顔合わせの場面でハンカチを使うことはあまりないと思いますが、チラリと見えたときに与える印象は大きいはずです。
服装で困ったら派遣会社の担当者に相談
スーツやオフィスカジュアルが無難とはいえ、「スーツなんて持ってないよ!」という人もいると思います。これまでスーツとは無縁の仕事をしていた場合は困りますよね。
そんなときは、派遣会社の担当者に相談です。持っていないと話したらスーツを上下とも貸してくれたという話もありますよ。
派遣会社の担当者が「良かったら僕のを貸しますよ」と言ってくれて、サイズもピッタリだったそうです。
また、着ていく服装に自信がなかったら事前に見てもらうと安心です。わたしはネクタイの色で悩みましたが、そこは派遣のプロ、的確にアドバイスをしてくれました。
派遣の顔合わせの持ち物
顔合わせの服装が決まったら持ち物の準備です。
- 筆記用具
- メモ帳
この2つは必ず持っていきましょう。
顔合わせに行った人の9割以上が、顔合わせに持っていくべき持ち物や用意しておけば良かったと思うモノとして、筆記用具とメモ帳を挙げています。
例えば、派遣先の担当者から聞いた就業時間や業務内容をメモしたり、質問したいことを事前にメモしておくのに役立ちます。
また、前向きな姿勢をアピールするのにもつながりますよ。
そのほかの持ち物は派遣会社によって違うので、事前に担当者に確認してみてくださいね。
職務経歴書や履歴書といった書類は、派遣会社に提出済みであれば担当者がコピーを持ってきてくれるので改めて用意しなくてもOKです。
派遣の顔合わせ当日〜結果が出るまでの流れ
いよいよ顔合わせ当日です。次のような流れで行います。
- 派遣会社の担当者と事前打合せ
- 顔合わせは派遣会社の担当者の挨拶からスタート
- 自己紹介
- 職務経歴書に沿ってどんな仕事をしてきたのか説明
- 派遣先からあなたに質問
- あなたから派遣先に質問
- 終了
- 5営業日以内に合否連絡
顔合わせは派遣会社の担当者が同席します。話を進めてくれるので、安心して臨んでOKですよ。
それでは顔合わせの流れを掘り下げて説明していきますね。
派遣先の近くのカフェやオフィスで派遣会社の担当者と事前打合せ
派遣先に行く前に、まずは派遣会社の担当者と事前打合せをします。わたしは派遣先近くのカフェで行いました。派遣先の立地によって、打合せ場所は異なります。
事前打合せでは、次のようなことを確認します。
- 派遣先の時給
- 交通費
- 仕事内容
- 残業の有無
また、どのような企業なのか、社内の雰囲気も担当者が教えてくれますよ。
この事前打合せはだいたい1時間ほど行いました。たっぷり時間があるので、自分と担当者との間で認識の違いがないか確認できます。
担当者も、こちらに不安なことはないか確認してくれるので、気になることはこの打合せで全部出し切るといいですよ。
また、提出した職務経歴書や履歴書の中身に相違がないかも確認します。
経歴が間違った情報だと、顔合わせで派遣先の方と話すときに矛盾が生じるかもしれません。なので、正しい内容か必ずチェックするといいですね。
派遣会社の担当者は何度も顔合わせに立ち会っているので、すごく慣れているなという感じです。顔合わせでの答え方や質問されることを丁寧に教えてくれました。
ただ、顔合わせ前ということで緊張感がかなりあったので、ここで教えてもらった答え方や質問の内容はあまり覚えていません。
それでも担当者がいてくれるのはやはり心強かったです。安心して顔合わせに臨めましたよ。
この事前打合せは、下の円グラフのように派遣会社によって行わない場合があります。
実際、顔合わせ前に担当者と打合せがあったと答えた人は81.8%、なかったと答えた人は18.2%でした。
事前打合せがあったと答えた人は、わたしと同じように仕事内容の確認をしたというケースがほとんどです。
派遣会社の担当者と認識のすり合わせをしたら、いよいよ顔合わせに向かいます。
派遣先に行って顔合わせ(面接)スタート
まずは派遣会社の担当者が挨拶します。流れを作ってくれるので、次のように話が進みます。
- 自己紹介
- 職務経歴書に沿ってどんな仕事をしてきたのか説明
- 派遣先からあなたに質問
- あなたから派遣先に質問
ちなみに、派遣会社の担当者の方によると、派遣先によっては最初から採用と決めている場合があるそうです。本当に「顔合わせ」というケースですね。
最初から採用のつもりの顔合わせだったり、派遣の受け入れ経験が浅い派遣先の場合は、顔合わせが20分ほどで終わることがあります。
職歴を詳しく聞かれないものの、事前準備は怠らずしっかり準備すると安心して堂々と話せますよ。
自己紹介
派遣会社が用意してくれている履歴書には、個人情報が載っていません。ここに名前や生年月日があると「労働者を特定する行為」にあたるからですね。
でも、やっぱり自己紹介では名前を名乗る必要があります。わたしは次のように自己紹介しました。
「私は○○○○と申します。本日はよろしくお願いします。それでは、経歴の説明を始めさせていただきます」
ポイントは、派遣先担当者の目を見ながら話すことです。ハキハキとした声で、笑顔でしっかりと印象付けるといいですよ。
履歴書と職務経歴書
学歴は説明しなくてOKです。1社目から順に説明していきます。
説明するのは「どんな仕事だったのか」「どんなスキルを使ったか」という内容にしぼればOKですよ。難しく説明する必要はなく、簡潔に述べていきます。
「まず1社目です。2011年に株式会社▲▲へ入社しました。営業部に所属し、介護用品の販売・レンタル業務に携わりました。介護施設だけではなく個人宅へ伺うことも多く、お客様の要望に合わせて介護用品を微調整する作業も行いました。使い方を分かりやすく説明する場面も多かったです」
このように、シンプルかつ分かりやすく、を意識しながら説明するのがポイントです。
派遣先企業の担当者が、耳で聞いて内容をイメージできるようにするとさらに良し!
職歴を全部説明し終えたら、「以上です。よろしくお願いします」と締めくくるのを忘れないようにしてください。
顔合わせでの派遣先からの質問内容
職歴を説明したら、今度は派遣先担当者から質問を投げかけられます。わたしが顔合わせで受けた質問はこんな感じの内容です。
- 「今回応募した動機を教えてください」
- 「長期間の就業は可能ですか?」
- 「残業がありますが、その点は問題ありませんか?」
- 「採用となった場合、いつから就業できますか?」
「今回応募した動機を教えてください」
→この質問には「携帯電話をはじめとして精密機器にさわるのが好きだから」「便利な商品や使い方を人に紹介するのが好きだから」という感じの答えを返しました。志望動機は、過去の職歴で培った経験と派遣先の仕事内容をリンクさせると熱意が伝わると思います。
「長期間の就業は可能ですか?」
→これには長期的に就業可能であるという答えをするのが良いです。積極性をアピールしましょう。
「残業がありますが、その点は問題ありませんか?」
→対応可能であると答えました。
「採用となった場合、いつから就業できますか?」
→即日就業可能です、と答えました。家庭の事情や何か理由がある場合を除いて、すぐ仕事ができる姿勢をアピールするといいです。
こんな質問をされましたが、一般的な面接で聞かれる内容とそんなに変わらないなという印象でした。
ポイントは、受けた質問を自己アピールとして活かすことです。
あなたから派遣先への逆質問の内容
「何か質問はありますか?」
派遣先からの質問が終わるとこう聞かれます。いわゆる逆質問です。顔合わせじゃなくても、実際に「何か質問はありますか?」と聞かれると難しいですよね。
セミナーとか講演会の最後に質問コーナーがありますが、そんな場面で自分から質問する人って積極的ですごいなと思っていました。
そう、逆質問は積極性や仕事へのやる気のアピールにつながるんです。
派遣会社の担当者との事前打合せで、逆質問されるのは聞いていました。そこでわたしは、気になっていることを質問しました。
- 「仕事のマニュアルはありますか?少しでも早く業務に慣れたいと考えています」
- 「1日の流れを教えていただきたいです」
人によって、顔合わせで業務内容も何もかも説明を受けて、逆質問することが何もないというケースもあると思います。
でも、業務内容を既に説明されたのに「何か質問しないと」と焦って同じことを質問するのはNGです。
「この人、話聞いていなかったのか」とかえってマイナスイメージになっちゃいます。 無理やり逆質問するよりも、ここは正直にいきましょう。
「いろいろと教えていただきありがとうございます。仕事のイメージもはっきりとつかめました」と言えば、逆質問をしなくても好感度アップですよ。
顔合わせ終了
逆質問も終わったら、これで顔合わせは終了です!
「本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました」としっかりお礼の挨拶をして締めくくります。
このときも、自己紹介と同じように派遣先担当者の顔を見て、笑顔で挨拶するのがポイントですね。
退室したら緊張感も一気にほどけます。お疲れ様でした!あとは結果が出るのを待つだけです。
顔合わせの結果はおおよそ5営業日以内に出る
顔合わせが終わったら、結果が出るまでそわそわと落ち着きません。わたしは5日以内に結果が出ると聞いていましたが、実際には顔合わせの翌日に採用の連絡が来ました。
下のグラフを見てください。約半数の人が3日以内、約37%の人が当日に結果が出ています。
顔合わせから5営業日が経過しても連絡がない場合は、派遣会社の担当者に連絡して聞いてみるといいです。
わたしは幸いにも採用をいただきましたが、不採用になるケースもよくあります。
その場合必要なのは、落ちた理由を知ることです。派遣会社によっては理由を教えてくれることがあるので、参考に聞いて次に活かしましょう。
たとえ落ちても、めげずに次へと進むのが1番です。
顔合わせ前に断るのはOK!辞退したい場合はその日に担当者に相談
- 「顔合わせを控えているんだけど、顔合わせ前に断るのって大丈夫かな?」
- 「顔合わせをした後に断るのはアリ?」
そんなあなたは、次の円グラフを見てみてください。
上は顔合わせ前に辞退したことがある人、下は顔合わせ後に辞退した経験がある人の割合です。
顔合わせ前、顔合わせ後に辞退した経験がある人は、いずれも38.2%もいます。約4割の人が辞退を考えているんです。
派遣じゃなくても、「この前面接に来た人、結局辞退したんだって」という場面ってありますよね。派遣でも辞退は決して珍しくありません。
ただし気を付けたいのが、派遣会社の担当者に辞退の理由をしっかりと話すことです。
例えば顔合わせ前に辞退したい場合、「やっぱり気が変わったから」という気分による変な理由だと、次の派遣先を紹介してもらえないかもしれません。
顔合わせをした後に「思っていたのとちょっと違う」と違和感を感じる場合もあると思います。
そんなときは、顔合わせをした当日中に派遣会社の担当者に相談するといいですね。