会社勤めをしていると、フリーランスの自由な働き方に憧れを抱くこともあるでしょうが、フリーランスとして働くことには、具体的にどのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか?
実際問題として、いざフリーランスになったものの、うまくいかず会社員に戻る人も少なくないため、フリーランスのメリット・デメリットについては、事前に正しく理解しておく必要があるでしょう。
そこで今回は、フリーランスのメリット・デメリットに焦点を当てて、会社員と比較する形で解説していきます。
フリーランスのメリット・デメリット(会社員との比較)
フリーランスに興味を持っているのであれば、フリーランスとして働くことのメリット・デメリットだけでなく、会社員との違いについても気になるかもしれません。
そこで本章では、フリーランスのメリット・デメリットについて、様々な面から会社員と比較する形で解説していきます。
働き方:フリーランスは自由な働き方ができる
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリーランス | 自由に働ける | 怠けてしまうリスクがある |
会社員 | 拘束されることで自らが律される | 働き方が拘束される |
働き方に関しては、フリーランスは個人で仕事をするため、自分の裁量で仕事を進められます。もちろん、納期は守る必要がありますが、好きな場所・時間・服装で仕事ができます。また、仕事の種類や内容についても、ある程度自分の裁量で選ぶことが可能です。
ただし、フリーランスは自由な働き方ができる反面、怠けようと思えばいくらでも怠けられるため、人によっては、自由すぎることが逆にデメリットになることがあるかもしれません。
一方、会社員は会社という組織に属する以上、働き方はかなり拘束されます。最近はテレワークやフレックスタイムを導入する企業も増えており、以前に比べて働き方が自由になってきてはいるものの、やはりフリーランスほどの自由な働き方を実現することは難しいでしょう。
とはいえ、働き方が拘束されることによって、自らが律されることにもなるため、人によっては、そのことが逆にメリットになるかもしれません。
収入:フリーランスは収入が不安定な反面、頑張りしだいで高収入も目指せる
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリーランス | 頑張りしだいで高収入を目指せる | 収入が安定しない |
会社員 | 収入が安定する | 自分の頑張りが収入に直結しにくい |
収入に関しては、フリーランスの方が高収入を目指しやすい環境ではあるものの、安定性という観点では会社員に分があると言えます。
フリーランスは、事業の売上が直接年収に反映されるため、高収入を目指すことが可能です。
その反面、フリーランスは個人で仕事をする以上、仕事は自分で獲得する必要があり、収入は不安定になりがちです。極端な話、仕事がなければ収入ゼロ円になる可能性もあります。
一方、会社員の場合は、仮に仕事が減ったとしても、毎月の給与は保証されています。もちろん会社の業績によっては、減給や倒産のリスクがありますが、フリーランスのように急に収入が激減したり、0になったりすることは、基本的にありません。
その反面、会社員は自分の頑張りが収入に直結しない点がデメリットと言えます。会社で成果を上げれば、昇給や昇進によって年収が上がることを期待できますが、フリーランスのように、成果がそのまま自分の給与に直結することは少ないでしょう。
ワークライフバランス:フリーランスは仕事と生活の調和が取りやすい
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリーランス | 取りやすい | 自己管理が甘いとバランスが崩壊する |
会社員 | 最低限の休日等は保証されている | 取りにくい |
ワークライフバランスに関しては、フリーランスの方が会社員に比べて、仕事と生活の調和が取りやすいと言えます。
フリーランスは自分の生活スタイルに合わせて、仕事の量やスケジュールを決めることができるため、会社員と比べてワークライフバランスが取りやすい環境です。
特に、仕事と出産・育児の両立がしやすい点は、大きなメリットと言えます。近年は職場における子育て支援が積極的に行われていますが、産休や育休が取りづらい職場は、まだまだ多いのが実情です。その点、ワークライフバランスが取りやすいフリーランスであれば、仕事と出産・育児の両立で悩まされるケースも少なくなるでしょう。
ただし、フリーランスは仕事の進め方によっては、会社員以上のオーバーワークになる可能性もあるため、自己管理を徹底させる必要があります。
また、保育園の入園選考においては、両親が会社勤めの家庭の方が優先される傾向があるため、将来的に子どもを保育園に入れることも検討している人は、注意が必要です。
一方、会社員の場合には、基本的に自分の生活スタイルを仕事に合わせる必要があるため、フリーランスに比べてワークライフバランスは取りづらい環境であると言えます。
とはいえ、会社員は法律によって最低限の休日が保証されていたり、産休・育休、介護休暇などが制度として認められていたりするため、その点はメリットと言えるでしょう。
人間関係:フリーランスは人間関係のストレスが軽減される
メリット | デメリット | |
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フリーランス | 社内の人間関係から解放される | 孤独を感じやすい |
会社員 | チームで協力して成果を目指せる | 社内の人間関係がつきまとう |
人間関係については、フリーランスは個人で仕事を進めるため、社内の人間関係から解放され、人間関係に煩わされる機会が少なくなります。もちろん、クライアントや取引先といった社外の人間関係はありますが、社内の人間関係がないぶん、会社員よりも人間関係のストレスは軽減されるでしょう。
ただし、フリーランスは人間関係のストレスから解放される反面、個人で仕事を進めることになるため、人によっては孤独を感じやすいかもしれません。
一方、会社員は社内の人間関係は避けて通れないため、人間関係で悩まされるケースはフリーランスよりも多くなるでしょう。
ただし、会社員はチームや組織で働くことになるため、メンバーと協力して成果を上げることにやりがいを感じられる人であれば、会社員の方が向いているとも言えます。
健康保険・年金:フリーランスは会社員に比べて保険料や保障内容の面で不利になる
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリーランス | 節税の恩恵を受けやすい | 保険料の負担が大きく保障内容も劣る |
会社員 | 保険料の負担が小さく保障内容も厚い | 節税の恩恵を受けにくい |
健康保険・年金に関しては、フリーランスの方が会社員に比べて、保険料や保障内容の面で不利になるのが一般的です。
というのも、会社員は保険料の半額を会社が負担してくれるのに対し、フリーランスは保険料の全額が自己負担となるからです。
保障内容の面についても、多くのフリーランスが加入することになる国民健康保険では、傷病手当金(病気やケガで働けなくなった際の手当)や出産手当金(出産で働けない期間の手当)が受けられません。さらに年金に関しても、会社員は厚生年金と国民年金の2階建てであるのに対し、フリーランスは国民年金のみの加入になるため、老後に受給できる年金額が会社員よりも少なくなります。
その一方、フリーランスは国民年金基金に加入できる他、個人型確定拠出年金(iDeCo)の上限額が会社員よりも優遇されており、これらの支払保険料は社会保険料控除として所得の控除が認められるため、節税の恩恵を受けやすいというメリットがあります。
税金:フリーランスは確定申告が必要となる
メリット | デメリット | |
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フリーランス | 節税を図れる | 自身で確定申告をする必要がある |
会社員 | 基本的に年末調整だけで完結する | 節税を図りにくい |
税金に関しては、会社員は基本的に確定申告が不要なのに対し、フリーランスは自身で確定申告をする必要があります。
フリーランスには会社員のような年末調整がないため、確定申告が必要です。確定申告を行うためには、日々の売上や取引の記帳が必要となり、最低限の簿記の知識が求められます。確定申告は税理士に依頼することもできますが、当然そのぶんの費用が発生します。
その反面、フリーランスであれば、10万円~65万円の青色申告特別控除を受けられる(参照:国税庁『No.2072 青色申告特別控除』)他、自宅を事務所として活用する場合には、家賃や水道光熱費の一部を経費にできるため、会社員よりも節税を図りやすい点がメリットと言えるでしょう。
一方、会社員の場合には、基本的に会社の年末調整だけで納税手続きが完結するため、確定申告が原則不要です。ただし、会社員の場合は「給与所得控除」として経費の金額が固定されている(参照:国税庁『No.1410 給与所得控除』)ため、フリーランスのような節税は難しいと言えます。
社会的信用:フリーランスは会社員に比べて社会的信用が低下することも
◆社会的信用:フリーランスと会社員の比較
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリーランス | 会社の知名度に左右されない | 会社員に比べて低い |
会社員 | 高い | 会社の知名度に左右される |
社会的信用に関しては、フリーランスは組織に属していないため、収入の安定性を証明しにくく、会社員に比べて社会的信用が低くなる傾向があります。
特に、住宅ローンの借入時・賃貸契約時・クレジットカード作成時においては、フリーランスの場合は審査が厳しくなることがあるようです。
フリーランスに向いている人の特徴
前章でフリーランスのメリット・デメリットについて解説しましたが、本章ではそれらを踏まえた上で、フリーランスに向いている人の特徴をご紹介します。
具体的には、以下の通りです。
- 責任感が強い
- 行動力が高い
- ポジティブ思考である
責任感が強い
1つ目の特徴としては、「責任感が強い」人が挙げられます。
フリーランスは働き方が自由である反面、全てが自己責任となります。フリーランスは怠けたり手を抜いたりしても、上司などから叱られることはありませんが、クライアントからの信用は失うことになるため、結果的に仕事もなくなってしまうでしょう。
社会人であれば責任感を持つことは当然ですが、フリーランスとして生きていくためには、人一倍強い責任感を持つことが求められます。
行動力が高い
2つ目の特徴としては、「行動力が高い」人が挙げられます。
というのも、フリーランスは自ら積極的に営業をして、仕事を獲得する必要があるからです。フリーランスは会社員と違って、仕事を取ってくるのは営業職に任せて、自分は業務にだけ集中するというスタイルでは通用しません。
また、フリーランスとして生きていくためには、積極的に業務の幅や人脈を広げていくことも大切ですが、その際も高い行動力が求められます。
フリーランスはある程度の行動力がないと、同業者に仕事を奪われるケースも多くなるため、注意が必要です。
ポジティブ思考である
3つ目の特徴としては、「ポジティブ思考である」人が挙げられます。
前述の通り、フリーランスは基本的に個人で仕事をするため、孤独を感じやすくなります。また、収入が安定しないため、将来に対する不安は常につきまとうと言っても過言ではありません。
そのため、フリーランスとして活動していくためには、これらの孤独感や不安があっても前向きに捉えられるような、ポジティブ思考の人が向いていると言えます。
フリーランスに関してのよくあるQ&A
本章では参考として、フリーランスに関してのよくあるQ&Aをご紹介します。
Q1.フリーランスは増えている?
コロナ禍を境に、フリーランスの数は大幅に増加しています。
事実、2020年1月時点でのフリーランス人口は約1,062万人でしたが、コロナ拡大後の2021年1月時点では約1,518万人、2021年10月時点では約1,577万人という結果となっています(参照:ランサーズ『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』)。
フリーランスが急増した背景としては、コロナを機に、会社に依存しない生き方を重視する人が増えたことが挙げられます。その他、コロナによるリモートワークの普及により、コワーキングスペースやクラウドソーシングなどのサービスが増加し、フリーランスが仕事をしやすい環境が整ったことなども増加の要因でしょう。
なお、政府も働き方改革の一環として、多様な働き方を推奨していることから、フリーランスは今後も増えていくことが予測されます。
Q2.フリーランスになる前にやるべきことは?
社会的信用が必要となる手続きです。
具体的には、住宅ローンの借入や不動産の賃貸契約、クレジットカードの作成などが挙げられます。前述の通り、フリーランスは会社員に比べて社会的信用が低くなるため、これらの手続きは、社会的信用が高い会社員時代に済ませておくことをおすすめします。
特に、フリーランスが事務所や住居の賃貸契約を結ぼうとすると、直近2~3年分の確定申告書の提出を求められるケースが多いため、注意が必要です。
Q3.スキルがなくてもフリーランスになれる?
スキルがなくても、フリーランスになることは可能です。
ただしスキルがないと、最初のうちは仕事を獲得できなかったり、案件の単価が低かったりするケースも多いため、その点は認識しておく必要があります。
もしスキルなしからフリーランスを目指すことに不安がある人は、最初は副業から始めてみるのもいいでしょう。もしくは、しばらく無収入でも生活できるよう、独立前にある程度の貯金を作っておくことをおすすめします。
フリーランスのメリット・デメリットまとめ
ここまでフリーランスのメリット・デメリットについて、解説してきました。
フリーランスと会社員のメリット・デメリットは、いわば表裏一体の関係です。冒頭でも述べた通り、フリーランスから会社員に戻る人も少なくないため、注意が必要です。
価値観は人によって異なるため、自分が何を重視しているのかを正しく認識した上で、より自分に合った働き方を選択することが重要と言えるでしょう。
項目 | データ |
---|---|
フリーランス人口(2020年1月時点) | 約1,062万人 |
フリーランス人口(2021年1月時点) | 約1,518万人 |
フリーランス人口(2021年10月時点) | 約1,577万人 |
青色申告特別控除の金額 | 10万円~65万円 |
賃貸契約時に求められる確定申告書 | 直近2~3年分 |
▼やっぱり会社員として転職活動をしたいと思った人は、こちらの記事を参考にしてください。