面接の逆質問では何を聞くべき?良い印象を与える質問例を紹介

面接の終盤に「何か質問はありますか?」と聞かれて、戸惑ったことがある人も多いかと思います。これは一般的に逆質問と呼ばれるものですが、逆質問で何を質問すべきか、悩むこともあるでしょう。

そこで今回は、面接における逆質問に焦点を当てて、その詳細を解説していきます。併せて、逆質問を考える際のポイントや状況に応じた逆質問の例もご紹介します。

この記事でお話してくれた専門家

株式会社 人材研究所

代表取締役社長 曽和 利光さん

リクルート、オープンハウス、ライフネット生命保険など、多種多様な業界で人事を担当。そのなかで培った経験と知識に、心理学を融合させた独特の手法が特徴とされており、多くの企業の人事部に採用関連のコンサルティングを実施している。累計2万人超の就職希望者の面接をおこなった「人事のプロ」。

面接における逆質問とは、応募者から面接官に質問すること

逆質問とは、応募者から面接官に向けて行う質問のことです。基本的に面接は、面接官からの質問に対して応募者がそれに回答する形式で進行しますが、逆質問では両者の立場が逆になることから、逆質問と呼ばれています。

逆質問は「最後に何か質問はありますか?」という形で、面接の終盤に行われることが多く、ほとんどの面接において逆質問の時間が設けられています。

そんな逆質問ですが、自分が疑問に思っていることを聞ける貴重な機会であるのはもちろんのこと、面接官に良い印象・悪い印象をもたらす場面にもなっています。そのため、逆質問の時間をうまく活用することが、面接成功の一つの鍵になるのです。

これから順を追って見ていきましょう。

逆質問の目的は「応募者の疑問を解消するため」

そもそもですが、なぜ面接において逆質問が行われるのでしょうか?

人事・採用のプロである、株式会社人材研究所の曽和さんに話を聞いてみました。

 曽和さん

逆質問は、基本的にはジャッジの場ではありません。応募者の入社意欲を高めてもらうためや、お互いのミスマッチを防ぐために、疑問や不安を解消させてあげようというのが第一の目的です。

しかし、逆質問を通じてジャッジができてしまうのも事実です。例えば、「何かありますか」と聞いて「いや、ないです」だと、「この人は発想力が乏しいのかな」という悪い印象を面接官に与えてしまうこともあります。

企業側には、逆質問で「応募者のことを見極めてやろう」という気は無いようです。ですので、まずは自分のための時間だと思って、自分が気になっていることをしっかりと聞くことが重要です。例えば、マネジメント職に就きたくて転職活動をしているのであれば、マネジメントをするチャンスがあるのかを聞いてみると良いでしょう。

しかし、結果として採用可否の判断材料の一つになってしまうのが逆質問ということでした。応募者のための時間ではあるものの、決して気を緩めることができる時間ではないということがわかりました。

逆質問で面接官は何を見ているのか

逆質問で面接官は何を見ているのか

逆質問を通じて、面接官は応募者の何を見ているのでしょうか?

具体的には、以下の3つが挙げられます。

  • 応募者の志望度は高いのか
  • 自社との相性は良いのか
  • 応募者のコミュニケーション能力

応募者の志望度は高いのか

面接官が逆質問で見ていること1つ目は、「応募者の志望度」です。

逆質問での質問内容によって、面接官は応募者の志望度がある程度わかります。というのも、事前に応募先企業や業界に関する情報を集めておかなければ、的を射た質問はなかなか出てこないからです。質問がすぐに出てくるということは、それだけその企業に関心がある、つまりは志望度が高いことの表れとも言えるでしょう。

逆に、質問がなかったりその場しのぎの質問であったりすると、面接官は「自社に対してあまり興味がない=志望度が低い」という印象を持ってしまうため、注意が必要です。

自社との相性は良いのか

面接官が逆質問で見ていること2つ目は、「自社との相性」です。

逆質問で何を質問するかは応募者の裁量に委ねられており、質問内容から応募者の性格や価値観を知ることができます。

そのため、面接官は逆質問を通して応募者の性格や価値観を把握し、自社との相性を知ることができるのです。

応募者にコミュニケーション能力はあるのか

面接官が逆質問で見ていること3つ目は、「応募者のコミュニケーション能力」です。

逆質問はこれまでの面接官からの質問に対して回答するという形式とは変わって、応募者の主導で進むことになります。

そのため、「質疑応答を通して会話を繋げられているか?」「初対面の相手に対して、円滑なコミュニケーションを取れているか?」といった観点から、面接官は応募者のコミュニケーション能力を把握することができてしまいます

採用のプロに聞いた!面接で逆質問をする際のコツ

逆質問のコツについて、人事・採用のプロである曽和さんに聞いてみました。

 編集部

質問が全く思いつかない場合はどうしたらいいですか?

 曽和さん

まず、「質問はありません」は、できるだけ避けたほうがいいです。能力面で問題ありと思われてしまう可能性があります。

もし全く思いつかない場合は、「面接官の個人のことを聞く」ようにしてください。「面接官がなぜこの会社に入ったのか」「この会社の仕事の魅力は何だと思うか」「職場の魅力は何だと思うか」「逆に課題と思ってることは何だと思うか」。これだけでも4つあるわけですし、4つも聞けば時間が余るということは無いでしょう。

面接ごとに面接官は異なりますから、質問が思いつかなければ、毎回これを聞くようにすれば良いです。

 編集部

「良い質問だな」と思ってもらえるような質問は、どのようなものですか?

 曽和さん

例えば「若い人が活躍できる会社ですか?」は良い質問とは言えません。「若い会社」とか「働きやすい会社」とかは、人によって定義が異なります。20代が若いと考える人もいれば、40歳超えてもまだ若手だと考える人もいます。そんな中で、「はい、活躍できる会社ですよ」と返ってきたとしても、質問した意味がありません。

大事なのは「ファクトを聞く」ことです。「女性が働きやすい会社かどうか」を聞きたいのであれば、「女性の管理職比率はどれくらいですか」とか「育休や産休から復帰される比率はどれくらいですか」とか「社員の男女比はどれくらいですか」とかを聞いたほうが良いです。こうやって聞き出したファクトから、女性が働きやすい会社なのかどうかを知ることができます。

抽象度の高いことではなく、具体的な事実を質問されると、面接官は「鋭い質問をする人だな」と評価するでしょう。

 

面接官にできるだけ良い印象を持ってもらえるよう、この2点はしっかりと覚えて活用しましょう。

  • 質問が思いつかない場合は、「面接官の個人のことを聞く
  • ファクト(具体的な事実)を聞く」質問をする

面接で逆質問をする際のマナー

面接官に悪い印象を与えないよう、事前に基本的なマナーを押さえておきましょう。

  • 事前に調べればわかることは質問しない
  • 相手が回答しやすいように配慮する
  • 相手の立場に合わせた質問を心掛ける
  • 待遇に関する質問は避ける

事前に調べればわかることは質問しない

逆質問をする際は、事前に調べればわかることを質問するのは避けましょう。具体的には、募集要項に書いてあるようなことや、企業のホームページなどを見ればすぐにわかるようなことです。

このような質問をしてしまうと、面接官から「企業研究をしていない=志望度が低い」と疑われるだけでなく、「リサーチができない人間」という印象を持たれてしまうため、十分に注意しましょう。

相手が回答しやすいように配慮する

漠然とした質問や抽象的な質問は相手を困惑させてしまう可能性が高いため、逆質問においては相手が回答しやすいように配慮することが大切です。

例えば、「御社で活躍するためにはどうすればいいですか?」といった抽象的な質問ではなく、「○○の部署では、どのようなスキルを持っている人が活躍していますか?」といった具体的な質問であれば、相手も回答しやすくなるでしょう

同様に、「Yes・No」の回答で終わってしまうような質問は、その後の会話を膨らませることが難しくなるため、なるべく避けた方がいいでしょう。

相手の立場に合わせた質問を心掛ける

面接官の役職や担当業務によって回答できる内容は異なるため、逆質問をする際は相手の立場に合わせた質問を心掛けることも必要です。

例えば、現場の担当者に対して人事制度に関する質問をしたり、役員に対して実務の細かい内容を質問したりすれば、相手を困惑させるだけでしょう。

面接官は人事の人間や現場の担当者、あるいは役員など、面接によって様々です。そのため、相手の立場に合わせて質問内容を変える柔軟さも求められます

待遇に関する質問は避ける

逆質問においては、給与や残業時間、有給休暇の取得率といった待遇に関する質問はなるべく避けましょう。というのも、待遇に関する質問が多いと、お金や福利厚生を重視する人間と思われる可能性があるからです。

待遇については多くの人が気になる部分でしょうが、条件交渉は内定後に行うのが一般的です。よって、面接の場で待遇に関する質問をするのは、基本的に避けた方が無難と言えるでしょう。

ただし例外として、面接が進む中で自然と待遇に関する話題になった場合には、待遇に関する質問をしても問題はありません。重要なのは、「待遇や条件ばかりを気にしている人間」という印象を面接官に与えないことです。

逆質問を事前に準備する際のポイント

では、逆質問を事前に準備する際は、どのような点に注意すればいいのでしょうか?

そこで本章では、逆質問を考える際のポイントをご紹介します。具体的には、以下の2つが挙げられます。

  • 十分なリサーチをする
  • 質問は多めに用意しておく

十分なリサーチをする

1つ目のポイントは、「十分なリサーチをする」ことです。

効果的な逆質問をするためには、事前のリサーチが必要不可欠です。質問内容が思い浮かばない場合であっても、応募先企業に関する情報を集めることで、質問内容のヒントが得られることもあるでしょう。加えて、十分なリサーチをしておけば、前述のすぐ調べればわかるような質問も避けることができます。

なお、事前にリサーチをする際は、面接に関する情報も集めておくことをおすすめします。例えば、転職エージェントから面接の傾向に関する情報を得たり、求人票から求める人材像を読み取ったりしておけば、面接当日に心の余裕が生まれてくるでしょう。

質問は多めに用意しておく

2つ目のポイントは、「質問は多めに用意しておく」ことです。

事前に質問を用意しておいても、面接の中で自分が疑問に思っていたことが先に説明されるケースも珍しくはありません。そのため、逆質問の際に質問することが無くならないよう、あらかじめ質問項目は多めに用意しておくことをおすすめします。

なお、面接当日は用意していた質問を全て質問する必要はありません。あらかじめ質問項目に優先順位を付けておき、順位の高いものから質問していきましょう。

【状況別】面接におけるおすすめの逆質問 一覧

本章ではここまでの内容を踏まえた上で、面接における逆質問の例を状況別にご紹介します。

人事(採用担当者)との面接のケース

  • 御社の○○職における具体的な評価制度を教えていただけないでしょうか?
  • 御社での中途採用者は、どのような方が活躍されていますか?
  • 将来的に○○のポジションにチャレンジすることは可能でしょうか?
  • 御社では部署を超えた交流の機会も多いとのことですが、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
  • 御社では全社的にワークライフバランスの実現に力を入れているとホームページで拝見しましたが、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?

面接官が人事(採用担当者)であるケースにおいては、採用や人事制度に関する事項を中心に質問し、入社意欲の高さを伝えるのがおすすめです。

逆に人事の人間は、現場の細かい実務までは把握できていないことが多いため、そのような質問は避けた方がいいでしょう。

現場担当者との面接のケース

  • 御社では○○の分野に特に力を入れているとお聞きしましたが、具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?
  • ○○の部署で特に重宝されるスキルや経験は何でしょうか?
  • クライアントとのやり取りにおいて、御社が特に気を付けているのはどのような点でしょうか?
  • 普段の職場の雰囲気を教えていただけないでしょうか?
  • 御社ではどのような提案方法が好まれますか?

面接官が現場担当者であるケースにおいては、実務に関する事項を中心に質問し、熱意を伝えるのがいいでしょう。

ただし、スキルや経験をアピールし過ぎて、自信過剰な人間という印象を与えてしまわないよう注意が必要です。重要なのは、相手から一緒に働きたいと思ってもらうことです。

役員(社長)との最終面接のケース

  • 御社の○○の事業にとても魅力を感じていますが、その事業を展開しようと思われたきっかけを教えていただけないでしょうか?
  • 御社で今後さらに注力したい事業は何でしょうか?
  • 御社の企業理念に共感しておりますが、具体的にはどのような場面で発揮されているのでしょうか?
  • 仕事をする上で、最も重視されていることは何でしょうか?

最終面接まで進むと、面接官が役員もしくは社長になるケースも多くなります。その場合は、経営や将来のビジョン、仕事に対する考え方や価値観に関する質問を中心に行うのがおすすめです。

また、経営に携わるような人は、話を聞いてもらうのが好きな人が多い傾向があります。そのため、こちらから積極的に話題を持ちかけるよりも、相手の話を膨らませることを意識した方がいいでしょう。

面接の逆質問に関してのよくあるQ&A

本章では参考として、面接の逆質問に関してのよくあるQ&Aをご紹介します。

Q1.逆質問の数は何個くらいが望ましい?

2個くらいが目安となります。

もちろん逆質問の数に正解はないため、状況に応じて臨機応変な対応が必要です。面接の終了予定時間がわかっていれば、それに合わせて質問の数を調整しましょう。

Q2.逆質問をしないと落ちる?

それだけで落ちるということはありません。

逆質問はあくまで面接の一部であるため、その他の部分で十分にアピールできていれば、逆質問をしなかったからといって落ちることは基本的にありません

ただし、その場合には「特にありません」と答えるのではなく、「面接を通して自分の疑問点は解消しており、ますます入社意欲が高まった」旨を伝えておけば、面接官の心証を損なわずに済むでしょう。

Q3.逆質問の終わらせ方は?

お礼を述べて締めくくるのが最適です。

場合によっては、こちらから「質問は以上です」と申告しないと逆質問の時間が終わらないこともあります。そのため、聞きたいことを一通り聞けたら、面接官への感謝の意を示して逆質問を締めくくりましょう。

面接における逆質問まとめ

ここまで面接における逆質問について、解説してきました。

逆質問はうまく活用すれば、入社意欲や熱意を示すためのアピールの機会になり得る反面、質問内容によっては面接官の心証を損ねてしまうリスクもあります

そのため、逆質問は事前準備によって結果が決まると言っても、過言ではありません。通常の面接対策と同様、逆質問についてもしっかりと準備を進めておきましょう。どうしても質問内容が思いつかない場合には、転職エージェントに相談するのも1つの手です。

ぜひ逆質問の時間をうまく活用して、面接突破を目指しましょう。

面接攻略法については、ぜひこちらの記事も読んでみてください。