編集部の加藤です。
転職を考えるとき、年収を中心に応募先を選ぶ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、転職経験のある男女に実施したアンケートをもとに、年収が下がってしまう人の傾向や、年収が下がる転職の注意点などを解説していきます。
また、転職後に年収が下がっても満足している人と、不満に思っている人のアンケートの回答も具体的に記載しているので、参考にしてみて下さい。
転職で年収が下がった人・上がった人はほぼ半々
転職経験者200名を対象にした「転職による年収の変化」のアンケートでは、転職後に年収が下がった人と、上がった人は、ほぼ半々という数字でした。
転職によってキャリアアップする人もいれば、未経験職種へチャレンジするため年収は気にしなかった人など、状況はさまざまです。どのような転職をするかによって年収が上がる・下がるが決まるため、一概に転職するから下がる、上がるとは言えないことがわかりました。
転職によって年収が下がった人の傾向
アンケート結果を詳しく分析すると、転職によって年収が下がった人の傾向は下記になります。
- 年収の下がった人の割合が女性57.1%で男性を上回った
- 年収が下がった人の転職時の年齢は25歳が16.1%で最多(2位は26歳で11.9%)
年収の下がった全体の57.1%が女性
前提として、女性だから転職すると年収が下がるという事ではありませんが、男性よりも女性の方が転職後に年収が下がった人が多い結果でした。
想定される要因としては、結婚を機に年収の高い営業職から事務職へ転職しているといった、ライフプランが影響している可能性があります。
一方、キャリアウーマンで転職後も年収が上がっている人がいるのも事実です。
上記踏まえると、女性が転職する際、年収の面で不利という訳でなく、ライフプランを加味した結果、アンケートのような数字になっている可能性が考えられます。
転職時に一番年収が下がった年齢は25歳で16.1%(2位は26歳で11.9%)
25歳、26歳辺りでの転職が年収が下がりやすい背景としては、下記が考えられます。
新卒入社で3~4年経過しているものの、転職先の会社が、経験値やビジネススキルが足りないと判断する場合もゼロでは無く、未経験枠で採用されるケースがあり、給与が下がる可能性がある。
人によりますが、仮に同じ職種で転職したとしても、未経験枠で採用されるケースもあります。
上記も影響し、統計でみると、25歳、26歳辺りで転職した場合、転職後に年収が下がるという可能性が高くなっています。
また、25歳前後という年齢だと、新卒で入社した会社で3年~4年在籍しているので、多かれ少なかれ、昇給しているケースがほとんどです。
そのため、そのような状況から未経験枠で転職すると、転職後に年収ダウンとなる可能性がより高まりやすいという結果になっています。
転職して年収が下がっても「6割は満足」している
上記のグラフの通り、転職して年収が下がった6割の人が、年収ダウンでも満足していると回答しました。
この章では、実際に転職した人へのアンケートをもとに、転職して年収が下がっても満足している人、不満に思っている人の回答の詳細についてお伝えします。
転職して年収が下がっても満足している人の回答
転職して年収が下がっても満足していると回答した人の理由は、大きく下記3つに分けられます。
- 残業時間が減り、土日祝日もきっちり休めるようになり、プライベートの時間が充実した
- 自分がやりたいと思う仕事に就く事が出来、仕事自体への楽しみが増した
- 前職は人間関係の悩みが多かったが、環境を変えた事で人間関係が良好になり、ストレスが大きく減った
年収が下がったとしても、ワークライフバランスが充実したり、煩わしい人間関係が無くなるなどすると、精神的に余裕が出てくる人も多いようでした。
もちろんこれは、年収が下がっても、一般的な生活水準が保てるというのが前提なので、上記の回答をした方は、その水準はクリアしているという認識です。
転職して年収が下がって不満に思っている人の回答
転職して年収が下がって不満に思っていると回答した人の理由は、大きく下記3つに分けられます。
- やりたい仕事と思って転職したが、生活費が足りず、家族を養っていく事が難しくなった
- 転職直後は気持ちも新たに頑張ろうと思ったが、業務量の割に給料が合わないと日に日に不満が募ってきた
- 転職前に年収はすぐに元の水準に戻ると言われたが、評価制度も曖昧で、年収が戻らなかった
アンケート結果を見ると、最初は仕事のやりがいや、新天地で頑張るという前向きな気持ちで転職したものの、そもそもの生活が苦しくなったり、割に合わないと感じる人もいるようでした。
仕事の理想像を求める事も大事ですが、やはり、家族を路頭に迷わせては幸せな状態は作れません。年収が下がっても本当に大丈夫なのかを見極めて、転職先を選びましょう。
年収が下がる転職をすべきかの判断ポイント
健康
健康面が厳しい職場にいた人は、年収を下げて転職をしてよかったという方がアンケートで多かったです。給料がよくても身体を壊してしまっては、元も子もないということです。
給料が良くても、長時間労働で体調崩してしまった
もちろん、生活をする為に最低限の年収は必要になりますが、健康を損なっては、そもそも、仕事を続ける事自体が難しくなります。
一方で、現職でそこまで体力的にしんどくないにもかかわらず、もっと楽な仕事に就きたいという理由で年収が下がる転職をしてしまうと、転職後、後悔する可能性が高くなります。
健康を維持するのと、楽をするのは全く別の考え方なので、客観的に自分を見つめるようにしましょう。
プライベート
年収が下がったものの、土日祝日や、年末年始、お盆などの休暇を取ることができるようになった
休みが取れるようになり、プライベートが充実したことで、幸福度が上がった人も多いようです。
しかし、転職前の快適な生活に戻りたいという回答もあり、年収が下がったことで、後悔している人もいるのが現実です。
人によって差はあるものの、ある程度の年収がないと、プライベートでも幸せと感じにくい人もいます。
年収が下がる転職をお考えの方は、自分の描くライフスタイルにいくらの年収が必要なのかを、今一度考えてみましょう。
人間関係
人間関係が改善し、やりがいのある環境に転職できた
上記のような方であれば、年収が下がっても転職した意味があります。
ただし、人間関係は、自分にも非があるケースがゼロではありません。
一番避けたいのは、人間関係を改善するために年収を下げてまで転職したにもかかわらず、次の職場でも、人間関係で悩み退職をするケースです。
人間関係に悩んでいる方は、安易に転職するのではなく、自分にも原因があるのではないかと振り返り、冷静に判断しましょう。
自分のやりたい仕事がある
自分のやりたい仕事に就くことができる人は、年収を下げる転職をしてもいいかもしれません。実際アンケートの回答で、年収が下がってもやりたい仕事につけて満足しているという声が多かったです。
自分のやりたい仕事に就くことが出来、満足している
一方で、自分のやりたい仕事と、自分の出来る仕事は違うという点です。
自分がやりたい仕事に就けたとしても、その仕事を市場が必要としない場合、年収が下がるどころか、極端な話、一銭も稼げない可能性もあります。
自分のやりたい仕事を追及するのも悪いとは言いませんが、家族がいる方は、本当にそれで家族を養えるかという、現実的な視点を持つことも忘れてはいけません。
年収がダウンしても転職したいと思ったら考えるべきこと
年収ダウンの許容範囲を考える|収入が減って生活が厳しくなる可能性あり
上記グラフの通り、転職して年収が下がった人の40.7%の人が30万円未満、23.3%の人が、30~50万の年収ダウンという結果でした。
仮に年収が30万円ダウンすると、月に2万5千円のダウンです。
2万5千円あれば、月々の光熱費を賄えたり、少し高級なレストランに行く事も出来ます。
実際の生活に置き換えると、年収が下がる転職は、今まで出来た事が出来なくなる現実もある事を忘れてはいけません。
転職後の会社で給料アップが期待できるか|給料が割にあわないと感じる可能性あり
年収が下がる転職の際は、転職後、年収がアップ出来る環境なのかを事前に確認しておきましょう。
人間関係を改善する為や、やりたい仕事をする為に転職が成功した場合、もちろん大きな喜びを感じる事でしょう。
しかし、もし数年後も同じ年収だと、どんな心境になるか想像してみて下さい。
多くの方が、割に合わないという感情や、頑張っても頑張らなくても給与が同じという不満を抱くのではないでしょうか。
そのような状況にならない為に、昇給の仕組みや、働いている人のモデル年収も調べておく事をおすすめします。
衰退していく業界でないか|転職後にさらに年収が下がる可能性あり
年収が下がる転職の際は、特に、衰退していく業界ではないかを事前に見極めましょう。
仮に年収30万円ダウンで転職したとしても、業界が衰退し、マーケットが小さくなれば、企業も売り上げを伸ばせず、年収がさらに下がる可能性があります。
一方、ITなどの成長している業界であれば、マーケットが大きくなり、企業の売り上げは伸びる可能性があるので、転職後の年収アップも見込めます。
もしあなたが年収が下がる転職をお考えであれば、目先の1~2年だけでなく、10年後の中長期的視点で、転職する業界を選ぶ事が重要です。