第二新卒の転職は難しい?実際の体験談や対処法をご紹介!

社会人経験が3年未満で転職をする人たちを「第二新卒」としていますが、早期に転職活動をすることで様々な悩みが生まれます。

「スキルがないうちに転職すると苦労する?」
「環境を変えたいけど、今辞めたら後悔するかも…」
「大手に転職するには、1〜2年で離職しちゃうと難しい?」
「そもそも第二新卒の転職って難しいんだろうか?」

など…。

そこでこの記事では、第二新卒の転職が難しいと言われている理由、第二新卒の転職で難易度を左右する要素などについて説明します。

体験談も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

筆者:五十嵐
転職エージェントサービスで10年以上にわたり、リクルーティングアドバイザーとして企業の採用のお手伝いと、キャリアアドバイザーとして求職者のサポートの両軸を経験。

第二新卒の転職が難しいと言われている理由

今まさに第二新卒で転職を考えている人にとって、「第二新卒の転職は難しい」という言葉を聞くと、不安を感じてしまいますよね。

この後解説するのですが、10年以上転職支援に関わってきた筆者からすると、第二新卒の転職は難しくありません。ですが、世の中で「第二新卒の転職は難しい」と言われてしまう理由もわかるんです。そこで、難しいと言われる理由について具体内容を説明します。

早期離職を繰り返すのではと思われる

入社して1〜2ヶ月の超短期間で退職した場合は、「少しでも嫌なことがあったらすぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまう可能性があります。また、1年以内での退職を繰り返している場合も、すぐに辞めてしまうと思われてしまいます。

しかし、厚生労働省データによると、就職後3年以内の離職率は32.3%で、転職回数の平均は約2.86回と、もはや転職は当たり前の時代です。企業側も離職者を見越して採用計画を立てているため、「キャリアアップ」や「職場環境の改善」など、企業が納得できる退職理由を説明できれば、ネガティブに捉えられることは少ないです。

第二新卒特有のネガティブ要素は、書類添削や面接対策で払拭できます!

経験やスキルが足りず求人によっては応募できない

第二新卒は、学生向けの新卒採用ではなく中途採用(経験者採用)に応募するのが一般的です。

中途採用だと年齢やポテンシャルではなく、経験やスキルを重視されるケースが多くなります。そのため、「マネジメント経験必須」や「開発経験1年以上」など、企業が求める経験やスキルが具体的に記載されることが多く、要件を満たしていないと応募できないことがあります。

しかし、最近では若手人材の獲得を目的に、「第二新卒歓迎」の求人が増えてきています。これらの求人は各求人サイトで検索でき、例えばリクナビNEXTでは2.3万件、dodaでは1.5万件の「第二新卒歓迎」の求人が掲載されています。第二新卒歓迎の求人数自体が多いので、経験やスキル不足が気にならないほど。

また、募集ポジションの要件を満たしていなくても、関連スキルがあれば応募を受け付けてもらえることもあります。

経験やスキルが足りないと感じていても、求人の数は非常に多いので心配無用です!

第二新卒の転職は本当に難しいのか?

ここまで説明したように、第二新卒の転職で苦労するケースはあるものの、結論としては第二新卒の転職は決して難しいものではありません。むしろ、今の転職市場は第二新卒にとって有利な状況にあり、早期退職が不利というのは少し古い時代の話かなと思います。

その理由について詳しく説明します。

マイナスイメージを持つ企業が少ないから選考もスムーズに進む

そもそも、第二新卒の転職に対するマイナスイメージを持つ企業は少なく、6割以上の企業が第二新卒の採用に積極的です。(マイナビ調査より)

第二新卒の需要が高い理由として、前職での経験が浅いため先入観が少なく新しい会社の風土に馴染みやすいという点が挙げられます。特に新卒採用をしている企業は、研修や教育の整備ができているため、スキルや経験が浅い人の受け入れも可能です。

そして、「マイナスイメージがない」というのは思っているよりも良いことで、書類に目を通してもらいやすかったり、話してから決めようと書類選考に通過しやすかったりといった良い面があります。

若者も転職をポジティブに捉えている

転職サービス「doda」の調査によれば、20代から30代の6割以上が転職をポジティブに捉えており、新卒が入社後すぐに転職サイトに登録する割合は、過去10年間で30倍に増加しています。これは、転職に新たな可能性や希望を見出している若者が、自分にとってより良い環境で働くために、条件に合う企業が見つかったらすぐにでも行動できるように準備しているということです。

そして、多くの人々が転職サイトに登録しているということは、それだけ第二新卒での転職活動が一般的で当たり前になってきているということです。過去には「新卒の会社選びを失敗した人」というイメージもありましたが、今は「キャリアアップ・スキルアップ」と考えている人も増え、第二新卒の転職のハードルがかなり下がりました。

第二新卒の転職を成功させた2名の体験談を紹介

第二新卒の転職がそれほど難しくないことは理解していただけたかと思いますが、実際のところどうなのか気になる人もいるのではないでしょうか。

そこで、私がこれまで担当してきたの第二新卒の転職体験談を紹介します。

1年の実務経験で内定の可能性は飛躍的に高まる

最初に紹介するのは、新卒2年目で転職活動を開始したAさんの事例です。

▼Aさんの転職プロフィール
  • 男性 24歳(当時)
  • 職種:ITエンジニア
  • 新卒で独立系SIerに入社し、大手Web事業会社に転職
  • 転職活動期間:2~3ヶ月ほど

新卒で小規模の独立系SIerに入社したAさんは、自身がアサインされるプロジェクトの規模が小さいことに悩んでいました。職場の人間関係には不満がなかったものの、大規模プロジェクトでの経験を積みたいという思いから、転職活動を開始しました。

応募先は、大手企業が親会社のユーザー系SIer、Webサービスを展開する事業会社など。エンジニアとして約1年の社会人経験を持つAさんは、すぐに複数の企業から内定を獲得できました。そして、誰もが知るWebサービスを展開している大手事業会社への入社を決めました。

 

1年という期間は短いように思えますが、新たなスキルの習得、ビジネスの理解、上司や組織との関係性の構築など、無数の経験と学びが詰まっています。1年の実務経験は大きな強みであり、選考の場で明確なキャリアプランを伝えることができれば、多くの企業から高い評価を得ることができます。

1年未満でも、新たな視点で求人を探せば可能性は広がる

次に、入社8ヶ月で退職したBさんの事例を紹介します。

▼Bさんの転職プロフィール

  • 男性 22歳(当時)
  • 職種:営業
  • 新卒でITベンダー会社に入社し、外資系ブランディング会社に転職
  • 転職活動期間:2~3ヶ月ほど

ITベンダー会社に入社したBさんは、ノルマが厳しい営業部に配属され、労働環境が合わずに8ヶ月で退社しました。クリエイティブ職種に興味があったBさんは、企画職やマーケティング職を中心に応募を開始します。

学生時代の留学経験を活かし、ブランドマーケティングを手掛ける外資系企業にアプローチしたところ、30代の部長が部下を1人育てたいという情報を入手。外資系は日本のように新卒一括採用を実施していない企業も多いため、ポテンシャル採用で入社が決定しました。

キャリアの初期段階にいるからこそ、方向転換がしやすいとも考えられます。さらに、新卒は取っていないけど若手は採用したい会社も多く、就活では出会えなかった企業に転職できることもあります!

第二新卒の転職は何によって難しさが変わる?

第二新卒の転職の難しさは、応募する企業の規模、業種・業界、職種などの外部要因によっても変わってきます。

中小・ベンチャーに比べると大手はハードル高め

大手企業への転職は、中小企業やベンチャー企業に比べると難しいです。

大手は中途採用でも適性検査を実施するところが多く、新卒に比べて正答率のボーダーは低いものの、一定の学力は必要です。就職活動の時に受からなかったような企業は難しいと考えておいた方が良いでしょう。また、配属先のポジションがすでに決まっているため、性格検査が重視される傾向にあります。

大手の採用担当者からよく聞くのは、「面接の印象は良かったけれど、テストの結果がイマイチだった」というもの。第二新卒は判断材料が少ないため、適性検査の対策が必要になることもあるでしょう。

▼適性検査の詳細についてはこちらの記事で解説しています。

ただし、同業種・同職種は経験や実績が評価されやすいため、募集ポジションと性格検査がマッチすれば、次の選考に進めるチャンスは高まります。

離職率が低い業種・業界は募集が少ない

従業員の離職率が低い(=定着率が高い)企業ほど、その業種・業界への転職は難しくなります。

離職率が低い業種・業界としては、エネルギー、精密機器、医薬品、銀行などがあります。また、一部の大手商社や保険会社は、新卒採用がメインで、中途採用においては有資格者やキャリア人材しか採用していません。

一方、従業員の離職率の高い宿泊・飲食サービス・教育などの業界では求人が多く出るため、転職のハードルは下がる傾向にあります。

業種・業界を重視して転職活動を行う場合は、職種の選択肢を広げる、またはキャリアを積んでから応募するなどの対策が必要です。

未経験職種はポテンシャル採用を狙えるケースも

転職市場では、一般的に職種未経験のポジションへの転職は難しいと言われています。しかし、第二新卒の場合は、その若さと伸びしろが強みになることがあります。

また、転職直後に年収が下がることもありますが、第二新卒の場合、そのリスクは相対的に小さいと言えます。

年齢が上がるほど未経験職種への転職は難しくなるので、将来の市場価値が高い職種を目指すなら、早めに転職活動を開始しましょう。

第二新卒で転職が難しくなってしまう人の特徴

第二新卒の転職は就活とは流れが違うので、戸惑う人も多いです。

ここでは、第二新卒で転職が難しくなってしまう人の特徴を3つ紹介します。

応募先を絞りすぎている

企業規模や業界・業種など、応募先を絞り込むと転職が難しくなる可能性があります。

最適なキャリアパスは、個人のスキルセットや業界の需要によって変化します。難しいと思っていた企業で簡単に内定が出たり、逆に、自信のあった企業で不採用になることもあります。

第二新卒の転職は、まず自分の市場価値を理解するところから始まります。そのためには、自分を取り巻く環境と、キャリアプランをすり合わせるプロセスが必要です。

そのプロセスの一つとして、応募の範囲を広げて、企業との接点を増やす方法があります。どの企業で内定が出るのか、自分の何が評価されているのかを知ることで、最適なキャリアプランが見えてきます。

憧れの職業に固執しすぎている

企画、広報、ブランドマネージャー、経営コンサルタント、ホワイトハッカーなど、これらの職種に転職すると、企業のWebサイトで紹介されたり、メディアの取材を受けたりする機会が増えます。

しかし、成功するにはそれ相応の能力と時間が必要です。また一見素晴らしい成果を上げているように見えても、それが外部の代理店に委託した結果であったり、経営層からの指示に従って運用しているだけの場合も少なくありません。

企業規模や業種・業界を変えるときは、応募する企業の事業構造を理解するところから始めましょう。

心に余裕がない

「仕事に行きたくない」「成果が出なくて追い詰められている」などの理由で転職活動を始めたいときは、心に余裕がないかもしれません。

このような状態では、良いキャリアを築くことよりも、離職のために内定を得ることが目的となりがちです。

ただ、転職活動を始めることで、今の会社の良さを再認識したり、キャリアについて冷静に考える機会を得られたりします。

現職で精神的・肉体的にしんどさを感じているときは、転職だけでなく休職も一つの選択肢です。また、部署移動や社内でのリスキリングなども検討してみましょう。

第二新卒の転職が難しいと感じたときの対処法

第二新卒で、内定がなかなか出ずに難しさを感じている人もいるでしょう。また、これから転職活動を始める人は、事前に対策を知っておきたいと思うかもしれません。

ここでは、第二新卒の転職が難しいと感じたときの対処法について説明します。

募集ポジションに合わせて志望動機やキャリアプランを見直す

第二新卒が転職活動をする際には、ポテンシャル(新卒で重視される要素)とスキル(中途採用で重視される要素)の両面からアピールする必要があり、これら2つが一致した場合に初めて内定につながります。

第二新卒の求人は、社員の増員や欠員補充などの理由から、特定のポジションを募集することが多いです。そのため、自分がそのポジションで何を達成できるのかを明確にし、それに基づいて志望動機やキャリアプランを見直す必要があります。

この見直しには、自己分析や業界・職種の理解、そして企業研究が必要であり、情報収集には同じ業種・職種で働いている人の意見や、転職エージェントのアドバイスが役立ちます。

転職理由を志望動機に矛盾なくつなげる

転職理由が、募集ポジションの志望動機と矛盾なくつながるかチェックしてみましょう。

「現職では○○ができないから」というネガティブな要素が含まれている場合は、「自分のキャリアで○○を実現したいから」という表現に修正します。これにより、入社意欲がストレートに伝わります。

ただ、現在の職場環境に問題がある場合は、全てをポジティブに言い換えるのは難しいかもしれません。直属の上司となる人が面接を担当することも多いので、現職と同じような問題に直面するリスクがある場合は、正直に話した方が良いです。

面接練習・模擬面接を徹底する

志望度の高い企業で書類が通過したときは、面接練習と模擬面接を徹底しましょう。

面接練習は誰と行うかが重要であり、採用側の質問の意図を理解できる人と行わないと、具体的なアドバイスが得られないのであまり意味がありません。

面接練習のパートナーとしては、転職の専門家であるキャリアコンサルタントが最適です。特に、応募企業で採用実績を多数持っているキャリアコンサルタントであれば、面接官の意図を深く理解しているはずです。

【参考】
就職みらい研究所「就職白書2020(冊子版)」
厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較」
マイナビ「中途採用状況調査2023年版(2022年実績)」
パーソルキャリア「転職サービス「doda」、転職に関する意識調査」
パーソルキャリア「新卒入社直後のdoda登録動向」