転職活動を進めるなかで、「転職エージェントを使うべきかどうか悩んでいる」という方もいるのではないでしょうか。
この記事を読めば、エージェントを使うべきか判断できるだけでなく、利用時の注意点も知ることができます。
ぜひ参考にしながら、転職成功への近道をしっかりと見極めましょう。
カリエーレ・コンサルタンツ代表・一般社団法人カリエーレ・コムサ代表理事
キャリアコンサルタント
佐渡 治彦(さど はるひこ)
2016年に国家資格取得し、ハローワーク、企業で、上場企業管理職からニート・フリーターまで幅広いキャリアコンサルティングを実施。2020年6月著書『「キャリアコンサルタント」で自立する方法: 国も推奨! 今、最も注目の国家資格』(合同フォレスト)発刊。東京23区および全国約200ヶ所の図書館や大阪大学等大学図書館に採用。
HP:カリエーレ・コンサルタンツ
転職したいならエージェントを使わない選択肢ナシ
まず結論から申し上げると、転職するならエージェントを使うほうがいいです。というより、「使わない選択肢はない」と認識しておきましょう。
なぜそう言い切れるのか、転職エージェントを利用して転職した106名のアンケートをもとに詳しく解説していきます。
エージェントを使って転職した人の満足度が高い
転職エージェントを利用して転職した方106名に対して「転職エージェントを利用して良かったですか?」とうかがったところ、74%以上の方が「良かった」と回答されました。
【「転職エージェントを利用して良かったですか?」の問いに対する回答結果】
「良かった」 | 79人 (74.5%) |
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「どちらともいえない」 | 24人 (22.6%) |
「悪かった」 | 3人(2.9%) |
つまり4人中3人が転職エージェントの利用に満足しており、「どちらともいえない」を含めると9割以上の方がエージェントを利用したことに対して後悔していないことがわかります。
このことから、転職活動を行う方法として転職エージェントを使わない手はないと言えます。
転職エージェントを利用した人の満足度が高い理由
転職エージェントを利用して良かった理由に関するアンケートにおいては、以下の4つの回答が多く見られました。
- 書類添削・面接対策などのアドバイスをもらえる
- 非公開求人があり、自分だけでは見つけられない求人と出会える
- 自分ではやりにくい給与交渉をやってくれる
- 各業界に精通した担当者がいるため、どの業界のことでも答えてくれる
それぞれ詳しく解説していきます。
書類添削・面接対策などのアドバイスをもらえる
エージェントへの満足度が高い理由のひとつが、書類添削や面接対策を無料で行ってくれることです。
職務経歴書の書き方を教えてくれるだけでなく、どんなことを書くか一緒に考えてくれた
面接対策をオンライン上でしっかりとしていただけたおかげで、安心して自信を持って面接を受けられた
たとえば書類添削においては、キャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書を細かく添削してくれます。また、面接対策においては応募する企業に関する細かな情報を踏まえたうえで、本番で聞かれそうな質問への受け答え練習を行ってくれるケースが一般的です。
事前にしっかりと対策をしたうえで選考に臨めるため、特に転職が初めての方、選考や面接に不安がある方はエージェントのサポートによるメリットを実感しやすいでしょう。
転職活動で重要なことに「自己理解」「仕事理解」があります。
「自己理解」とは、これまでの自分のキャリアを棚卸することで、自分の強み、弱み、価値観、将来ありたい自分などを自分自身で理解することです。その際、キャリアコンサルタントとの面談で、これまで自分が気づかなかったことに気づくことがあります。
また「仕事理解」とは、これまでの自分のしてきた仕事、これからトライする仕事を理解することです。
これまでの仕事、トライする仕事は具体的にどのようなミッションで、どのような成果を求められるか?どのようなスキル、能力が必要なのか?などの理解が必要です。
そして、その仕事は自分で出来ることなのか?今は出来ないが、将来、出来ることなのか?その仕事は、自分の求めている仕事なのか?などを理解します。
「自己理解」「仕事理解」を深める意味で、他者目線で客観的にキャリアコンサルタントからサポートしてもらえますので、転職エージェントは役立ちます。
「自己理解」「仕事理解」を理解するには、「ジョブ・カード」の作成をお勧めします。
作成するのに時間はかかりますが、自分のキャリアを理解するのに役立ちますよ。キャリアコンサルタントに協力してもらっても良いです。
非公開求人があり、自分だけでは見つけられない求人と出会える
非公開求人に応募できる点も、転職エージェントならではの魅力です。非公開求人とは転職エージェントが独自で取り扱う求人案件のことで、エージェントに登録をしていなければ非公開求人情報を入手することはできません。
自分では探しきれない良質な求人に出会えたり、エージェントの担当者との面談を通じて視野を広げて求人を探すことができた
非公開の案件を紹介してくれるので可能性が広がった
たとえばリクルートエージェントの場合は保有している求人数の約90%が非公開求人で、その数はなんと10万件以上。つまり、転職エージェントに登録すると自力では見つけられない求人を紹介してもらえるため、希望条件に合う優良案件に出会える確率がぐんと高まります。
自分ではやりにくい給与交渉をやってくれる
「もう少し給与が高ければ…」と思っていても、給与交渉を自力で行うことはなかなか難しいものです。
しかし、エージェントのキャリアアドバイザーに希望年収を伝えておくことで、面談などのタイミングを見計らって上手に交渉してくれます。
エージェントさんにもよりますが面接にも同席してもらえて、給与面や条件の交渉をしてもらえて心強かった
良かった点は、内定後の金額交渉を積極的におこなってもらえた点です。言いにくい内容だったのでありがたかったです。
「どうやって交渉しよう」と悩む必要がなく、さらにはより良い条件で転職できる可能性が高まる点もうれしいポイントです。
各業界に精通した担当者がいるため、どの業界のことでも答えてくれる
転職エージェントのキャリアアドバイザーは各業界に精通しており、志望業界に関する細かな情報やアドバイスをもらえることも注目したい魅力です。
業界に精通したキャリアカウンセラーに都度相談できた点が良かった
ひとつひとつの会社の内情を教えてもらえた
自力で業界研究を行う時間や労力を大幅に削減でき、転職活動をよりスムーズに進められる、選考突破率が高まるなどのメリットを実感できます。
転職活動で疑問や不明な点があれば、必ず転職エージェントに確認しておきましょう。
転職したしまった後に「こんなはずではなかった」と不満が募り、短期間でやめてしまうケースもあります。ですので、自分で確認しておきたいことは、必ず転職エージェントから企業に確認してもらいましょう。
一番注意しなければならないことは、「普通」という言葉です。
例えば、残業時間は「普通です」と言われたら要注意です。「普通」という言葉は、一見、当たり前でよく使用されますが、その企業、個人で「普通」の基準は違います。要確認です。
転職エージェントを使う前に知っておくべきこと・注意点
上記のようにさまざまなメリットのある転職エージェントは、活動を進めるうえで使わない手はありません。
しかし、上手に使いこなすためにはいくつかのコツや注意点があり、特に以下の3点に関しては事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
転職に本気ではない人には不向き
転職エージェントは転職希望者を本気でサポートしてくれるため、「3カ月後までには転職したい」など具体的に転職をお考えの方に向いています。
メールや電話などで頻繁に求人紹介や書類対策などのサポートを行ってくれるので、本気で転職したい方にとっては心強いパートナーです。
しかし、「どんな求人があるのか見てみたい」と何となく転職に興味がある方にとっては、転職エージェントによる細かなサポートを面倒に感じることもあるでしょう。
また、エージェント側は求人を出している企業と転職希望者とをマッチングさせることで企業から成功報酬をもらえることから、「この人は転職に積極的ではない」と判断した場合は親身にサポートしてくれない傾向があります。
転職エージェントのお客様は2つあります。
1つは、転職希望者です。もう一つは転職希望者を受け入れる企業です。
転職希望者がいなければこのビジネスは成立しません。また、転職が成立して初めて企業から紹介料を得ることが出来ます。どちらも転職エージェントにとっては大切です。
ただ、転職エージェントも企業ですので、紹介活動はビジネスです。決してボランティアでやっているのではないのです。そのことを忘れないでください。
転職エージェントの担当者とはコミュケーションを良くしておきましょう。転職希望時期、希望年収、希望業種、希望職種、希望勤務地など・・をはっきりと伝えておくことを勧めします。
予め、自分の意思を明確にしておかなければ、エージェント担当者に無駄な動きをさせてしまうことになりますし、希望していない求人を勧めるれる可能性があります。転職活動はビジネスとして捉えた方が良いです。
また、転職エージェントで転職が成功するか否かのカギは、担当者にかかっているといっても良いでしょう。担当者には、自分を飾らず本音を伝えておいた方が良いです。どこまで、担当者があなたのことを考えて行動してくれるのか信頼関係を築いておいた方が得策です。
担当者は企業と常に連絡を取り合っています。新しい求人あったら、直ぐにあなたのことを思い出してもらえるような関係を築けたらベストです。
「総合型」と「特化型」の2種類がある
転職エージェントには「総合型」と「特化型」の2種類があり、それぞれ特徴が異なる点についても押さえておきましょう。
総合型の特徴 | 幅広い業界・職種の求人案件を取り扱っている |
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特化型の特徴 | 特定の業界・職種に特化した求人案件を取り扱っている |
たとえば業界や職種を絞らず、幅広い視野で応募企業を選定したい方には「総合型」が最適です。また、総合型は求人数が多い傾向があるため、求人の多さで転職エージェントを選びたい場合にも向いています。
一方、特定の業界・職種のみへの転職を希望している方は「特化型」を選ぶとよいでしょう。
業界出身のキャリアアドバイザーが多いことから、情報収集しやすい、業界に合った書類・面接対策ができるなどのメリットがあります。
このように「総合型」と「特化型」は特徴が異なるため、自分の状況に合ったタイプの転職エージェントを利用することが大切です。
1社だけでなく複数のエージェントを利用するほうがいい
転職エージェントを利用するなら、1社だけでなく複数のエージェントを併用するとよいでしょう。エージェントによって取り扱う求人案件やキャリアアドバイザーの質、サポート内容などが異なるためです。
ちなみに、複数のエージェントを利用する場合には「2~4社程度」にとどめ、最終的には自分と相性の良い「1~2社」に厳選することがポイントです。
やみくもに数多くのエージェントを掛け持ちすると「スケジュール管理が難しい」「同じ求人に応募するリスクがある」といったデメリットがあるため、無理なく管理できる数に登録しましょう。
よく「複数の転職エージェントに登録しても良いのか?」そして、複数の転職エージェントに登録した場合「他社の転職エージェント名を伝えた方が良いのか?」という質問を受けることがあります。
複数の転職エージェントに登録することは問題ありません。
現在は、多くの転職エージェントが存在しており、転職エージェントも複数の転職エージェントに登録していることは、承知しています。またその際、転職エージェントには「他社も登録している」と伝えておいた方が良いです。
なぜなら、求人がダブっている場合があります。また、面接設定などで重なる可能性もありますので、その際、トラブルになる恐れがあります。
ですので、予め複数の転職エージェントに登録していると伝えておけば、いらぬトラブルは防げるからです。
迷ったらココに登録!おすすめの転職エージェント4選
ここでは、数ある転職エージェントのなかから特におすすめしたい4社をピックアップしました。
「どのエージェントに登録したらいいのかわからない」とお悩みの方、あるいは「評判の高いエージェントを利用したい」とお考えの方は、ぜひ以下のエージェントをチェックしてみてください。
doda(デューダ)
dodaは、業界や職種を問わず常時10万件以上の求人数を保有している転職エージェントです。自分で求人を探して応募できる「転職サイト」の面、そしてプロによるサポートによって応募や選考に臨める「転職エージェント」の面を併せ持っており、ご希望に合った方法で転職活動を進められます。
企業からスカウトメールが届くサービスも好評で、特に「忙しくて求人情報をチェックする時間を確保しづらい」といった方におすすめです。書類添削や面接対策も丁寧に行ってくれるため、登録しておいて損はないでしょう。
企業名 | パーソルキャリア株式会社 |
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拠点 | 北海道・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・京都・兵庫・岡山・広島・福岡 |
おすすめしたい人 | ・自分に合った方法で転職活動したい人 ・とにかくたくさんの選択肢のなかから自分に合う求人を見つけたい人 ・企業からのスカウトに興味がある人 |
マイナビ
マイナビは、特に20~30代を対象とした求人を多く取り扱う転職エージェントです。さまざまなジャンルの業種・職種の求人が揃う総合型タイプですが、なかでもITやWeb関連の求人に大きな強みを持っています。
さらに注目したいポイントが、各業界に精通しているキャリアアドバイザーが在籍しており、それぞれの業界に合った適切なアドバイスをもらえること。転職が初めての方はもちろん、未経験の業界にチャレンジしたい方も安心して活動を進められます。
企業名 | 株式会社マイナビ |
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拠点 | 京橋、新宿、横浜、札幌、静岡、名古屋、京都、大阪、兵庫、福岡 |
おすすめしたい人 | ・転職を検討している20~30代の人 ・ITやWeb関連の業界を志望している人 ・業界に精通しているキャリアアドバイザーからサポートを受けたい人 |
ビズリーチ【ハイクラス向け】
ビズリーチは、年収1,000万円以上の求人をメインで取り扱う転職エージェントです。管理職や専門職のような実績やスキルを問う案件が多いため、キャリアアップを狙いたいハイクラス層の転職に適しています。
ちなみにビズリーチには無料プランと有料プランがあり、無料プランの場合はヘッドハンターからのオファーを待つスタイルが基本です。有料プランなら自分で求人検索を行う、ヘッドハンターに直接相談するといったサービスを利用できるため、希望する転職活動の進め方によってプランを選ぶとよいでしょう。
企業名 | 株式会社ビズリーチ |
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拠点 | 東京(渋谷に3拠点)、大阪、愛知、福岡、静岡、広島 |
おすすめしたい人 | ・年収1,000万円以上の求人に興味があるハイクラス層の人 ・管理職や専門職への転職を目指したい人 ・ヘッドハンティングによる転職を希望する人 |
JACリクルートメント【ハイクラス向け】
JACリクルートメントは、年収600万円以上のミドル・ハイクラス向け求人に特化した転職エージェントです。特にマネージャーなどの管理職に関しては業界トップクラスの求人数を保有しており、重要ポジションへのキャリアアップを目指している30~40代の方に向いています。
また、世界11カ国に拠点を設けていることから、グローバル企業や外資系企業の求人に強い点も大きな特徴です。
さらに「キャリア面談」や「キャリアの棚卸し」、「キャリアプラン相談」といったキャリアコンサルティングにも尽力しており、細かなサポートのなか安心してキャリアアップ転職に挑戦できます。
企業名 | 株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント |
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拠点 | 東京・埼玉・神奈川・愛知・静岡・大阪・京都・神戸・広島 |
おすすめしたい人 | ・キャリアアップやハイクラス転職を希望している人 ・管理部門への転職を狙っている人 ・外資系やグローバル企業への転職を目指している人 |
転職エージェント以外の転職方法は?
これまで転職エージェントを利用する魅力やおすすめサービスをご紹介してきましたが、なかには転職エージェント以外の転職方法にも興味がある方もいることでしょう。
そこで、この章では転職エージェントの特徴と転職エージェントを使わないで転職する方法の特徴とを比較してみました。
【転職活動を行う方法と特徴】
転職エージェント | キャリアアドバイザーによるサポートのなかで応募や選考、入社までの活動を進める |
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転職サイト | サイト上で公開されている求人を自分でチェックし、応募~入社までのやり取りすべてを自分で行う |
ハローワーク | 地域のハローワークに求職申し込みを行い、転職相談や求人紹介といったサービスを利用する |
リファラル採用(社員からの紹介) | 志望企業に勤める社員に推薦してもらい、面接などの選考を受ける |
直接応募 | 企業の採用ページから直接応募する |
ヘッドハンティング | ヘッドハンターや企業からのスカウトを受け、選考へと進む |
それぞれの具体的な特徴や注意点は以下の通りです。
転職サイト
「転職サイト」は求人広告をサイトに掲載しているサービスで、気になる企業にサイト経由で応募できるシステムです。転職エージェントのようなサポートサービスはなく、応募後は自分で活動を進める必要があります。
そのため、「どのような求人があるのかチェックしたい」「自分のペースでのんびり活動を進めたい」といった方に向いている方法です。ただし、転職サイトのみではスムーズに活動を進めづらい傾向があるので、本気で転職をお考えの方は転職エージェントを併用するとよいでしょう。
ハローワーク
「ハローワーク」とは求職者の就職・転職支援を行う行政機関で、登録をするとインターネット上で求人検索ができたり、条件に合う案件を紹介してもらえたりなどのサービスを受けられます。ただし、転職エージェントと比較すると求人数は非常に少ないため、ハローワークのみではなくエージェントとの併用がおすすめです。
リファラル採用(社員からの紹介)
「リファラル採用」は近年増えつつある転職方法で、志望企業に勤めている方からの紹介によって応募するスタイルです。転職エージェントよりも選考や面接の通過率は高めですが、内定をもらったら辞退しづらいなどのデメリットもあるため慎重に検討する必要があります。
直接応募
志望企業が明確な場合には、企業の採用ページから直接応募する方法も有効です。特に中小企業やベンチャー企業のなかには転職エージェントに求人を載せていないところもあるため、かえってエージェントを使わないほうがスムーズに転職できる場合もあります。
ただし、応募から内定、入社までのステップをすべて自己責任で行わなければなりません。雇用条件をしっかりと確認し、慎重に活動を進めることが大切です。
ヘッドハンティング
先述の「ビズリーチ」でもヘッドハンティングによるスカウトサービスが実施されていますが、ヘッドハンティング専門のサービスを利用するのもひとつの方法です。しかし、ヘッドハンティングされやすい人材は限定される傾向があり、経験やスキルによってはスムーズに転職できない場合もあるため注意しましょう。
- 管理職や経営陣などハイクラス・エグゼクティブ層
- 専門スキルを持つ技術職
- 海外経験のある人 / 語学が堪能な人
まとめ
転職エージェントは転職希望者にとって心強い存在であり、スムーズな転職を目指すなら使わない手はありません。
書類添削や面接対策、条件交渉など丁寧にサポートしてくれるため、特に転職が初めてで不安な方、良い条件で満足の転職を目指したい方に向いている方法です。
ほとんどのエージェントが無料で利用できるシステムなので、使うべきか迷っている方も気軽に登録をしてみるとよいでしょう。