カラフル・自由・柔軟な社風で「自律性のある組織」を追求、SKIYAKIの働き方

さまざまな企業の魅力を紹介していく企画。今回は、ファンプラットフォームを提供し、世界中のファンとクリエイターをつなぐ、株式会社SKIYAKIをご紹介します。インタビューに応じてくださったのは、代表取締役の小久保さんです。

クリエイターとファンをつなぎ、新時代のニーズに合わせて常にアップデートを続ける「SKIYAKI」

著名アーティストやアイドルだけでなく、YouTuberやTikTokerなど、個々がクリエイターとして活躍できるようになった昨今。そんな今の時代において、クリエイターが自由に魅力を発信し、ファンがその魅力を存分に堪能することができるよう、SKIYAKIはクリエイターとファンをつなぐプラットフォームを提供しています。

会社名 株式会社SKIYAKI
住所 東京都渋谷区道玄坂1-14-6 ヒューマックス渋谷ビル 3F
事業内容 プラットフォーム事業
設立 2003年8月
公式ページ https://skiyaki.com/

新しい時代のエンタメ業界を支えるSKIYAKIでは、クリエイターやファンに喜ばれるサービスを提供するため、社員が「しっかり遊び、学ぶこと」を大事にしているそう。今回は、そんなSKIYAKIを先導し、クリエイター・ファン・従業員のために常に「より良いもの」を追求し続ける代表取締役の小久保さんに、働き方の特徴や会社の雰囲気についてインタビューしました。

本日お話を伺った方

株式会社SKIYAKI 代表取締役

小久保さん

誰もが自由にファンビジネスを始められるプラットフォーム「Bitfan」を展開

SKIYAKIの事業概要

編集部

まずは御社の事業内容について教えてください。

小久保さん

SKIYAKIは、有料会員100万人ほどのプラットフォームサービスを提供しており、現在おおよそ770のファンクラブで弊社のプラットフォームをご活用いただいています。

プラットフォームとしては、エンタープライズ向け(※)の有料プラットフォーム「Bitfan Pro」と、誰でも無料で使えるオープン型プラットフォーム「Bitfan」の2つがあります。
※エンタープライズ:法人(団体)・事業者向け

「Bitfan Pro」を利用するアーティスト
▲「Bitfan Pro」を利用しているアーティストの一部

さーもんちゅのBitban
▲ゲーム配信YouTuberもファンサイトを開設できる時代!

「Bitfan Pro」は弊社で1つ1つサイトを立ち上げているので、自由にデザインのカスタマイズが可能です。「Bitfan」は既存のテンプレートから選んで作成する仕組みですが、結構自由度が高いので、大黒摩季さんのようなレジェンド級の方もこちらのサービスを利用いただいてます。

どちらもオフィシャルサイトやファンクラブの運営からグッズやチケットの販売、さらにライブ配信まで行えます。近年ではライブ配信や双方向でのコミュニケーションができるグループチャットなどの機能が求められているということもあり、その要望に応えられるよう、時代に合わせて必要な機能も追加してサービスを進化させています。

今やYouTuberやTikToker、eスポーツチームなど、新たなジャンルのクリエイターが続々と生まれており、世界的に見てもクリエイターの数がどんどん増えていて、クリエイターエコノミー(※)を対象にしたマーケットは拡大傾向にあります。当社はこれからの時代に合わせてさらに変化し続け、より良いプラットフォームを提供できるよう自らをアップデートし続けていきます
※クリエイターエコノミー:個人の情報発信やアクションによって形成される経済圏

しっかり遊ぶからしっかり成果を出せる!遊びを推奨する働き方

編集部

御社の働き方について、他社とは大きく異なる点があれば教えてください。

小久保さん

SKIYAKIは「遊ぶことも仕事のうち」だと思っているので、社員がしっかり遊べるよう、金曜日は17時退勤OK(基本19時退勤)にしています。この制度自体はそれほど珍しいものではないかもしれませんが、弊社は遊ぶことに熱心な人が多い会社なので、この「金曜17時退勤OK」の制度もしっかり使われています。

残業も平均9時間ほどなので、割とホワイトな会社なんじゃないでしょうか。

クレド(企業全体が心がける行動指針)にも入れているのですが、社員に一番よく言ってるのは「エンタメの会社なんだから、遊ぶのも仕事のうち。とにかく自分の好きな物を持ちなさい」ということです。

SKIYAKIのクレド

ただ、結構オタク気質の人が多いので、こんな事あえて言わなくても「好きな漫画はこれで、好きなゲームはこれで」という具合に、いくらでも好きな物が出てくる人が多いですね(笑)。あとは、一年中ライブに行きまくってる人がいたりとか。

SKIYAKIの社内の一角にある漫画コーナー
▲SKIYAKIの社内には漫画コーナーもあります

社員のこのオタク気質があっての会社なので、遊びから学びを得て仕事に活かしてもらえるよう、これからもどんどん遊びを推奨していきたいです。

世間の流れにとらわれず、自由度の高いライフスタイルを追求

編集部

働く環境について教えてください。

小久保さん

SKIYAKIでは、基本的にはどのチームもリモートワークOKにしています。特にエンジニアやデザイナーなどのクリエイター周りの人は、基本的にほぼ会社にはいない状態です。リモートではなく会社に出社することを選ぶ人もいて、配送業務がある管理部門の人のほか、「家だと集中できない」という人も出社しています。ライブの立会いがある時は現地で仕事をすることもありますね。

SKIYAKI社員における本社への出社頻度の円グラフ
▲約6割の社員がほぼリモートワーク

編集部

リモートワークを導入されて、いかがですか。今後も引き続きリモートワークを行うのでしょうか。

小久保さん

基本的にはすごく良いことだなと思っています。最近だと、リモートワークを率先して行ってきたアメリカでも「クリエイティブな仕事は対面で仕事した方が生産的だから出社しよう」などと言われていますが、私は今のところそれは全く考えていないです。

実際にリモートワークを全面的に取り入れて2年経ちましたが、やっぱり「出社の時間って無駄だったな」と思います。そして何より、“人生100年時代”と言われる今の時代において、より自由度の高いライフスタイルにしていくということは、すごく大事だと思っています。

雑談ができないとか、飲みニケーションができないとかっていう、“従来できたコミュニケーションができなくなった部分”は確かにありますが、それをどうカバーしていくか、対処法を考えた方が良いと思うんですよね。なので、今あるコミュニケーション不全を解決するために、やっぱり以前のように戻そうということは全く考えていなくて、それより「どう対処するか」というのが、今すべきことかなと思ってます。

生産性の高いリモートワークをするため、柔軟に課題を解決していく

SKIYAKIの社内の様子
▲SKIYAKI社内の様子。出社している人はごくわずか。

編集部

リモートでクリエイティブなものを生み出すために、工夫されてることがあれば教えてください。

小久保さん

「話しやすくする」ということがすごく大事だと思いますね。

例えば、エンジニアだと、ちょっとした確認や相談をしたいって場面がよくあるんですが、リモートだと他人がどういう状況かわからず話しかけづらいことがあります。そういうちょっとした相談なんかは、Slackのハドルミーティングを使って気軽に話ができるような雰囲気づくりをしています。

ただ、まだまだ改善方法はあると思っているので、海外で試されているような事例を見て、SKIYAKIに導入できることがないか常に考えています。

編集部

例えばどういったものがありますか。

小久保さん

情報は誰でも引き出せるように整理するとか、極力リアルタイム対応を減らすようなことですね。

例えば、誰かに聞くということ1つとっても、意外と急ぎ対応が必要なものってそんなにないと思います。それなら、3時間後に回答がくる前提で質問するとかですね。あとは、どうしてもリアルタイムでタイミングを合わせる必要がある場合は、オープンデーをつくって「金曜日の何時から何時まで私に何を質問してもいいよ」として、そこにみんなが集まって質問するようなこともできます。

「クリエイティブを生み出すためには集まった方が生産性が高い」と言われている一方で、完全に分散型組織でクリエイティブなものを生み出している会社は当然あります。

今抱えている問題点みたいなものも、探せば解決法はあるし工夫次第だと思っています。新しいものを少しずつ取り入れながら、SKIYAKIにあったやり方を見つけたいですね。

「働く場所や住む場所はもっと自由にあるべき」の思いで人事制度を改革

編集部

かなり柔軟なイメージがありますが、他にも働き方について工夫されていることがあれば教えてください。

小久保さん

SKIYAKIは「良いと思ったらすぐに変えよう」というモットーがあるので、働き方については結構見直しますね。

SKIYAKIの人事制度の特徴
▲とっても素敵な人事制度!

例えば最近だと、リモートワークをする中で「基本リモートワークなら、住む場所も東京じゃなくて良くない?」という声が出てきたので、「国内なら住む場所はどこでもOK」としました。今、規程を変えているところですが、この変更はすごく良いことだと思っています。

弊社には外国籍の社員もいるのですが、「子供が産まれ、親に会わせるために帰国したい」ということがあったりします。これまでの規程だと、休暇を取って一時帰国するしかなかったのですが、少し時差がある程度なら、日本時間に合わせて仕事してもらえば、一定期間、海外でのリモートワークを認めることができるようにしたんですよね。

働く場所や住む場所はもっと自由にあるべきだと思っているので、とても良い変更だったと思っています。他にも、この1年でかなり人事制度などを変えました。

副業OKはもちろん“意味のない縛り”を取っ払い届出まで不要に

SKIYAKIのおしゃれな社内の様子

編集部

御社は副業OKということですが、実際に副業している方はどのくらいいますか。

小久保さん

結構いると思いますが、申請制ではないので、数は把握していません。

実は元々は届け出が必要な副業制度だったのですが、「誰も届け出なんて出さないでしょ」と思い、「もう届け出はいらん」と規程を変えました(笑)。今は、最低限の禁止事項だけは伝えています。

この禁止事項をつくるのには結構悩みまして、普通だと「競合的なものはダメ」「会社のクライアントから自分で直接受けるのはダメ」とかは当然入れるじゃないですか。

ただ弊社の場合、クライアントから「イベントで人手が足らないから手伝って」と個人的に頼まれるケースが結構ありまして。会社としては出来なくても、そういう場合に個人的にバイトで手伝うのは悪いことではないですよね。

そういう背景もあって、「会社のクライアントから個人で仕事を受けてはいけない」というルールを設けると、不都合なケースもあるねということで、そこだけは申請制にしました。もしクライアントから個人で受けるようなことがあれば会社に教えてね、という感じですね。

編集部

副業のルールにおいても、実際に意味をなしていないようなことは徹底して見直しをされているのですね。ただ、そうはいっても、社員を100%信用していないと、なかなか難しいことだと思います。これだけ社長に信頼してもらえると、社員さんは嬉しいでしょうね。

マイノリティは当たり前!多様性があるから面白いカラフルなカルチャー

SKIYAKIの従業員のみなさん

編集部

SKIYAKIで働く社員はどのような方が多いでしょうか?共通点があれば教えてください。

小久保さん

一言でいえば「多様性」でしょうか。強いて言うなら「個性的」という点が共通点ですが、SKIYAKIはとにかくカラフルです。

個性あふれる社員が多く、DJやバンドマン、書道家など、アーティストやクリエイター出身の社員も少なくありません。当然、アーティストやクリエイターとはまったく異なる業種から転職した社員も多くいます。それぞれが、個性や能力を生かして活躍してくれています。

変化や競争の激しいエンタメ業界で成功し続けるためには、社員の「いいものをつくりたい」「お客さんに喜んでもらえるサービスを提供したい」という熱意が欠かせません。

そのためには、社員一人ひとりが自分の得意を生かし、仕事と遊びの境界線なく熱中してもらうことが不可欠だと思っています。個性豊かな社員が思い切り能力を発揮できるよう、会社としては「個々を尊重する、多様性を受け入れる社風」を創り上げるよう努めています。

今の時代あたりまえのことだと思いますが、マイノリティへの理解はすごく大事なことだと思っているので、社員全員が同じ認識・価値観で仕事ができるよう、LGBTの社内研修なんかもやりました。

SKIYAKIが目指すのは、自律性を持った生産性の高い組織

編集部

多様性があって柔軟な社風のSKIYAKIですが、どのような組織を目指していらっしゃるのでしょうか。

小久保さん

SKIYAKIが目指しているのは、「自律性を持った生産性の高い組織」です。

会社経営において今後も成長し続けるためには、意思決定の質が高くスピード感があることが重要になりますが、判断を仰ぐべき上司がたくさんいたりすると、意思決定に時間がかかってしまうんですよね。意思決定の質もスピードも高めるためには、社員一人ひとりが自分自身で判断できる範囲が広がった方が良いので、“判断を仰ぐべき上司”を極力減らして、フラットな組織・小さいチームにしています。

SKIYAKIが目指している組織

一方、意思決定の質を高めるためには会社の経営状況を社員が把握できていることも重要です。そのため、情報の透明化を図り、2022年5月から全従業員向けにRSU(※)を発行し始めました。
※RSU(Restricted Stock Unit):譲渡制限付き株式。企業の株式が報酬として付与されるシステムのこと。

RSUは自分がすごくやりたかったことで、「自律性を持った生産性の高い組織」でいるためには、「社員一人ひとりに経営視点を持ってもらうこと」が圧倒的に強いと思っているので、今後も続けていきたいと考えています。

ユーザー目線で率先して動ける自律性&チームワーク力を重要視

SKIYAKIの社内の様子

編集部

自律性を重要視されているSKIYAKIでは、どのように人事評価を行っているのでしょうか。評価制度について教えてください。

小久保さん

これまで色々な会社で評価制度をつくってきたんですが、振り返ってみると、実はあんまり意味ないかなと思っているんです。一応、グレード別にスキル設定はしていますが、そこだけで評価するということはしていません。

目指しているのは「自律性を持った生産性の高い組織」なので、人が人を評価するという時点で、自律性とは遠くなるんですよね。そういう思いがあるので、根本的には「ユーザー目線で良いサービスをつくれるよう貢献できたか」「チームの助けになる行動ができたか」の2点が重要だと考え、目標の達成度だけで評価はしないことにしています。

ガチガチに目標設定して管理するというやり方はしていませんが、実際、今いる社員は、自律性を持って仕事をしてくれています。みんな音楽が大好きでクライアントのために何をすべきかというのは、上が言わなくてもやり過ぎるぐらいやっちゃうので、むしろこっちが止めるくらいです(笑)。

編集部

「チームの助けになる行動」というと、具体的にはどのようなものでしょうか。

小久保さん

例えば、私は1つのカラーに統一して組織をつくるのはデメリットが多いと思っているので、チームごとにカラーがあって良いと思っているのですが、それ故に生じるデメリットというのがあります。

SKIYAKIはチームごとのカラーがあり、同じディレクターや営業という立場でも、「クリエイターがつくる時にディレクターがどこまで決めるか」「お客さんとの間に営業が立った時に、営業がどこまで決めるか」など、対応範囲がチームによって異なるケースがあります。

「チームごとのカラーがあるが故に隙間が発生しやすい」というのは弊社の弱点なのですが、この“隙間を埋めること”は仕事を円滑に進める上でとても重要です。このようなチームの隙間を埋めて、チーム全体がスムーズに仕事ができるよう積極的に行動してくれる社員を高く評価しています。

ただ、「隙間を埋める行動」というのは個人の業績として挙げにくいことなので、社員からすると重要度は低いと考えてしまうかもしれません。でも、会社としてはとても重要なことだと考えています。このような社員と会社とのズレを解消し、目線を同じにするためにも、社員が経営に興味を持てるRSUの導入は良い試みだと思いました。

会社の価値が高まれば高まった分だけ、社員全員でその旨味も共有できるようになれば、明日の利益を出すためにどうするか、1年後・3年後のためにどうするのか、ということを同じ目線で考えてもらえるのではないかと思っています。

編集部

「自律性を持った生産性の高い組織」であるために、RSUや人事制度など、さまざま角度から対策していらっしゃるんですね。

小久保さん

これまでいろいろな組織づくりをしてきましたが、どれも成功した感じがしないんですよ。組織論の本などもかなり読んでいまして、全部試してみるんですが、1個も成功しなかったんです。何でなのか、いろいろと考えた結果、やっぱりもうちょっと物事をシンプルに考えようというところに行きつきました。

今は、目指していることを実現させるために何をやればいいか、1つずつ決めていっているって感じです。こんな風にどんどん変えていけるっていうのは、すごく面白いですよね。

私の気持ちとしては、「新しい株式会社の形」の実験している気分に近いです。株主から見ても、従業員が経営者目線で考えることができるというのは良いことだと思いますし、RSUはメリットしかないと思っています。

編集部

従業員からすると、会社への愛着もさらに高くなりますし、当事者意識も強くなって経営者目線での考え方もできるようになる。従業員がもっと広い視野で会社を見ることができるようになると、株主還元もできる、確かにメリットしかないですね。

エンタメ好きは活躍のチャンス!30歳以下はポテンシャル採用あり

SKIYAKIの代表取締役・小久保さん

編集部

最後に、どんな人がSKIYAKIに向いていると思いますか。

小久保さん

音楽が好きな人、オタク気質の人は良いんじゃないかと思います。

SKIYAKIでは、30歳以下であれば業界未経験でも応募できる「ポテンシャル採用」という枠を用意しているのですが、これは業務経験よりも「音楽などのエンタメが好き」であることを重要視しているためです。

業界未経験といっても、営業経験があったり、クライアントに接した経験がある程度あれば、仕事はできると思います。ただやっぱりSKIYAKIで熱量を持って仕事をしてくれる人というのは、業務の経験があるかどうかよりも、音楽好きとか、エンタメに興味がある人なんですよね。

熱量の違いというのは大きくて、やっぱり音楽が好きとか、そういうのがあれば自律性は勝手に育つことが多いです。例えば、音楽が好きだと「お客さんのためにこれをやった方がいい」ということに自然に気づけることが多いのですが、音楽に全く興味ないと、気づくことが難しかったりします。そうなると、自律が難しいんですよね。

入社した人を掘り下げていくと、結局「音楽めっちゃ好き」とか、オタク気質がある人は多いので、「エンタメに興味があるかどうか」のほうが割と重要だったりします。

「自分が当てはまるかも」と思う方はぜひチャレンジしていただきたいです。

編集部

小久保さん、本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社SKIYAKI:https://skiyaki.com/
採用ページ:https://recruit.skiyaki.com/