社内トレーニングジムで健康に。「個」を大事にするライボのカルチャー

新しい勤務スタイルや特徴的なカルチャーがある企業にインタビューしていくこの企画。今回は、キャリア・転職関連の匿名相談サービス「JobQ」を運営し、社員の健康(と筋肉)を重視した福利厚生制度を持つ「株式会社ライボ」を取材させていただきました。

株式会社ライボとは

株式会社ライボが手掛けるメインの事業である『JobQ』は、転職・就職活動や自分のキャリアに関する悩みを「匿名」かつ「無料」で相談できるサービスです。相談や質問には興味のある企業の社員や元社員も答えてくれるので、リアルな情報が得られるのが大きな特徴です。

JobQは2015年のサービス開始以来さまざまな改善を続けており、多くの学生や社会人に利用されています。

会社名 株式会社ライボ
住所 東京都渋谷区道玄坂1丁目19-9第一暁ビル3階
事業内容 キャリアや転職に特化した匿名相談サービス『JobQ』の企画・運営
設立 2015年2月3日
公式ページ https://laibo.jp/

そんな株式会社ライボの「個人の活躍を重視する」というカルチャーや、社内で筋トレができる福利厚生制度、また働き方や採用などのトピックについて、代表取締役の小谷さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
株式会社ライボ代表取締役の小谷さん

株式会社ライボ
代表取締役

小谷匠さん

キャリア・転職の匿名相談サービス「JobQ」を運営

株式会社ライボのサービス「JobQ」の公式サイト画面

『JobQ』はこちら:https://job-q.me/

編集部

最初に、ライボさんが運営されているサービス「JobQ」についてお聞かせいただければと思います。

小谷さん

「JobQ」は、キャリア・転職(就職)に関する相談や情報交換ができるサービスで、匿名かつ無料で利用できます。2015年のローンチ当初から見るとこの領域はすごく伸びていて、おかげさまで現在では月間150万UUを超えています。

人材関連のサービスは、すぐにエージェントとのやり取りが始まるなど、どうしても求人に直結するものが多いと思います。JobQはそうではなくて、「仕事を続けていいかなんとなく不安」「少し気になる会社がある」くらいの温度感で名前を明かさずに相談できるので、多くの方に気軽に利用していただけるのが特徴ですね。

運営していく上では、「時代に合わせたサービス展開」を心がけています。ローンチ時点の類似サービスは企業のクチコミ掲載に留まるものが多かったのですが、JobQは双方向性のあるQ&A形式でスタートしました。そして現在は、インスタなどのSNSにあわせてチャット形式に変えています。

今後は、他人の働き方について知りたい方や転職を検討している方に対して、Q&Aだけでなくいろんなフォーマットでサポートしていく予定です。テクノロジーやツールの進化にも対応し、どんどんJobQをアップデートしていきます。

ビジョンは「個」が活躍する社会を創ること

編集部

サービスを続けていく上で、大事にしていることはありますか?

小谷さん

ひとつあるとすれば、質問をするのも回答をするのも「個人」だということを忘れないようにしています。そもそも会社として『「個」が活躍する社会を創る』というビジョンを掲げていますし、転職やキャリアを支えるというプロダクト自体も、「自分に合う企業はあるのかな」などと悩む人の助けとなることが目的です。

もちろん、ビジョンとして掲げるだけでなく我々もそれを体現しないといけないので、社員が個人のパフォーマンスを上げられるような社内カルチャーをつくるよう努力していますし、実際に浸透していると思います。ライボで働く「個」が活躍することで、その流れが社会全体に広まっていくと考えています。

編集部

仕事や転職に関する情報は世の中にあふれているので、なかなか正解を見つけづらいと思います。JobQはその悩みを解決するひとつの手段として人気を博していますし、個人にフォーカスするライボさんのビジョンともつながっているんですね。

「年齢やポジションが上だから偉い」という考え方は邪魔

株式会社ライボの社員の皆さん

編集部

次に、組織体制や社内の雰囲気について伺えればと思います。ひとことで説明いただくと、ライボさんはどんな会社ですか?

小谷さん

「ザ・ボトムアップ型」(※)かなと思っています。上から指示するのではなく自主的に動く人が偉いという考え方で、創業時から残っている会社の文化です。
(※)現場の社員から積極的に提案し、上層部がそれを受け入れて意思決定をしていくスタイル。

というのも、何かを管理する工数やコストってすごい高いと思っていて。できればまったく管理しないのが理想なんですよ。今だから言えますが、創業初期で人数が少ないときは「逐一報告させるのはイケてない」「自分で動かないなら会社にいる意味がない」と思ってたんです。まあ、そのときは少しトガッていたんですけど(笑)。

現在は人数も増えてきたのでマネジメント面もある程度整えていますが、基本的なスタンスとしては変わらず、自ら働きかけるということを重んじていますね。

そのためには「年齢やポジションが上だから偉い」という考え方は邪魔なんです。弊社では、新卒やアルバイトのメンバーでも、自分発信で提案して仕事を進めていくことを日常的にやっています。自分含め経験があるメンバーも偉そうにしていないですし、フラットな組織であることは間違いないですね。

編集部

「新企画を思い付いたけど提案できない」「聞きたいことがあるけど遠慮して相談できない」ということは起こらないわけですね。

小谷さん

はい。そこには、データ重視の文化が根付いていることも影響していると思います。弊社のバリューのひとつに「ファクトドリブン(Fact driven)」というものがあって、これは数字やロジックなどのファクトで物事を判断するようにしようという考え方です。

個人の意見だとどうしてもバイアスがかかることがありますが、事実をベースにして議論をするなら、年齢もポジションも関係ないですよね。データを基にして話ができるからこそ、恐れずに何でもチャレンジできているんだと思います。

実は、転職関連のサービスを運営しているにもかかわらず、僕は転職したことがないんですよね。なので、本当のところはユーザーの気持ちが理解できないかもしれない。だから、想像でサービスをつくること、思い込みで施策を打つようなことはやめて、数字を見て判断するようにしています。創業当初はいろいろと失敗もしたので、そこから学びました(笑)。

編集部

なるほど。組織としてボトムアップの体制がとられていることと、データを重視する社風が根付いているからこそ、その人の立場は関係なくどんどん意見を発信していけるわけですね。会社としてすごく健全だと思いますし、小谷さんが実体験から得てきたことを会社全体に共有できているのがすごいと思います!

「筋肉は裏切らない」制度で社員の健康を守る

株式会社ライボのオフィス内のトレーニング器具
▲オフィス内のジムスペース。毎日トレーニングしているメンバーもいらっしゃるそうです。

編集部

ライボさんの社内制度でめずらしいと感じたのが、社内にジムスペースを設けていらっしゃることです。実際の利用状況はいかがでしょうか。

小谷さん

社内のジムスペースは、「筋肉は裏切らない」という名前の制度の一環で、スタートしたのは2018年11月です。社員はトレーニング器具(パワーラック)を自由に使用できるだけでなく、プロテインも飲み放題にしています。

利用頻度は結構高くて、若手だとほぼ毎日オフィスでトレーニングしているメンバーもいます。器具はパワーラックという種類で、スクワットやデッドリフト、ベンチプレスなど一通りのトレーニングができるので、不足はしていないようです。

あと、この制度にはトレーニングジムやフィットネス施設にかかる費用の補助も含まれています。オフィスの近くに施設があって通勤前や帰宅時に寄っていけるので、こちらを利用しているメンバーも多いです。

株式会社ライボの福利厚生制度により飲み放題のプロテイン
▲トレーニング後はなんとプロテインも飲み放題。

編集部

「筋肉は裏切らない」制度を導入したきっかけは何だったのでしょうか?

小谷さん

きっかけは、正直なところ「こういう設備があったほうがクールだよね」という雰囲気ありきだったんです。弊社がモデルケースにしているような欧米の企業では社内に卓球台を置いていたりして、「オフィスはただ単に働く場所じゃない」という意識がかっこよく見えたので、それを参考にしました。

あとは、僕がよく筋トレをしているのも理由のひとつではあります(笑)。開始時点は半分はノリ、半分は本気という気持ちでしたが、業務上どうしても座り仕事がメインですし、社会情勢が変わって運動する機会が減ったメンバーも増えたので、この制度を用意していてよかったですね。

運動は気分転換になるだけではなく、コミュニケーションのきっかけにもなりますし、なによりメンバーの健康に寄与できるのが一番ですね。個人が活躍するためには、健康であることが大前提なので。

編集部

社内でトレーニングが可能で、オフィス近くの施設利用にも補助が出るとなると、運動の習慣が自然に長続きしそうですね!そのような制度のおかげで、メンバーの皆さんご自身も健康に関する意識が高まっているのではないでしょうか。

出社・リモートや勤務時間は各グループが自主的に設定

株式会社ライボのオフィス内の小上がりスペース

編集部

次に、ライボさんの勤務体系についてお教えいただければと思います。

小谷さん

弊社では、2020年4月にリモートワークを導入しました。出社日などはとくに設定しておらず、各グループのマネージャーが方針を決めています。フルリモートで問題ないグループもあれば、週1日〜2日は出社して対面でミーティングをおこなうグループもあるという感じですね。

勤務時間は、11時〜17時がコアタイムのフレックス制です。早めに始めて早めに切り上げてもいいですし、その逆もOKで、そこもグループおよび個人の裁量に任せています。

やはりリモートワークに適した仕事と対面が適した仕事があるので、それぞれのグループの自主性に任せていますね。新規プロジェクトの立ち上げやイベント運営など、状況が刻一刻と変わるような仕事は対面が向いていますが、どちらかといえばルーティンワークだったり、結果が見えやすい仕事はリモートで進めた方が効率はいいですよね。

僕は「発散」と「収束」って言葉を使っていますが、その時点ではゴールが決まっておらずさまざまな方向に発散していく仕事は出社、ひとつの結果に向けて収束させていく仕事はリモートが適していると思います。

編集部

フルリモートにするか、出社も混じえたハイブリッド型勤務にするかは、業務内容や各グループの方針によって決めていいということなんですね。それができるのはボトムアップ型の組織だからこそですし、メンバーの方々も納得して働くことができているでしょうね。

働きやすい環境の整備で、育児中の社員からも好評

編集部

現在の働き方に対して、社員の皆さんからはどんな声が届いていますか?

小谷さん

リモートを導入した当初から比較すると、「ガイドラインが整備されてわかりやすくなった」「業務により出社と在宅が切り替えられるので働きやすい」というポジティブな意見が多いです。

特に、育児と仕事を両立させているメンバーからは圧倒的に好評ですね。ライボは現在子育て中の人が結構いるんですが、保育園の送り迎えだったり、お子さんが熱を出してしまったときなど、リモートワークであれば柔軟に対応できるのが大きいようです。

そのようなタイミングでは自由に中抜けできますし、子どもがまだまだ手のかかるうちは時短勤務も可能です。リモートの導入は社会情勢の変化がきっかけでしたが、結果として育児などそれぞれの事情を持つメンバーをバックアップできるようになりました。

リモートだと通勤せずに済むので、1日のうち往復だと1〜2時間を無駄にしていたところを、別のことに使えるのが大きいです。それぞれのメンバーに個人の時間を大切にしてほしいので、やはり導入してよかったですね。

編集部

リモートワークを導入したことで、子育て中の方なども安心して働けるなど、ライボさんが大切にされている「個人を大事にすること」「個人が活躍すること」にもつながったわけですね!

地道な方法の繰り返しでコミュニケーション面を改善。仮想オフィスの導入も

株式会社ライボ代表取締役の小谷さん

編集部

リモートワークを導入している企業の皆さまにとって、社員間のコミュニケーションが課題になるケースは多いかと思います。何か工夫されている点はありますか?

小谷さん

弊社でもいろいろと取り組んできましたが、「このツールや制度によってコミュニケーションが改善した」というテクニカルな回答はないんです。もう体当たりという感じです。

ライボはチャットツールとしてはSlackを導入していて、ビデオ通話はZoom等を使用していますが、これはあくまで手段であって、どの企業さんも当たり前にやっていることです。これまでやってきたのは、問題が起きたときに何回もウェブ会議をして丁寧に話したり、メンバーからの意見を吸い上げ共有してガイドラインを整備したりと、地道な方法の繰り返しですね。

あとは、現時点ではコンテンツマーケグループだけですが、バーチャルオフィスも導入しています。これは会社主導ではなく、グループのメンバーたちが自主的に「こういうものがあったらもっと円滑に仕事を進められるのではないか」と考えて取り入れたものです。

今のところ好評なので、将来的には業務的にマッチする部署に導入していくことも考えています。これからもメンバー個人のアイデアは積極的に取り入れながら、制度面を改善していきたいですね。

編集部

課題に対して話し合いを大事にする、一人ひとりの意見を吸い上げて共有するなど地道なコミュニケーションを大事にしながら、メンバー発信の制度変更も受け入れているんですね。

先ほどお話しされていたようにライボさんにはフラットに発言できる文化があるので、これからもどんどんコミュニケーションが取りやすく、仕事がしやすい環境に変化していきそうですね!

採用時は先入観にとらわれず、複数の目で判断

株式会社ライボ代表取締役の小谷さん

編集部

最後に、採用についてお話を伺えればと思います。応募者を面談するときなどに気をつけているポイントはあるでしょうか。

小谷さん

やっぱり、応募してくれた方がライボのカルチャーにマッチするかどうかはしっかりと見ています。その判断も含めて、採用工程において必ずおこなっているのは「複数メンバーで判断すること」ですね。

たとえば最終面接で私がお話しして「すごく良いな、採用したい」と感じたとします。でも、私の一存で決断することはせず、過去に面接してきたメンバーと一緒に必ず丁寧に振り返るんです。それぞれが担当した時間で思ったことを話して、ときには面接に参加していないメンバーにも意見を聞きながら、総合的に判断して決定しています。

先ほどのファクトドリブンの話とも通じますが、人に対しても先入観にとらわれない、思い込まないということを大事にしています。自分一人の考えだとどうしても限界があるので、複数人で多面的に見るようにしていますね。

編集部

面接が複数回あると、応募者の方も「前回はうまく話せたけど、今回は緊張してしまっていつもの自分を出せなかった」と悔やむケースもあるかと思います。こんなときでも、ライボさんなら総合的に判断してくれるわけですね。

スキルだけではなく人間性も重視。今後はいろいろな人材を歓迎

編集部

応募者のスキルや経歴などのハード面と、人間性などのソフト面では、どちらを重視していますか?

小谷さん

教科書的な答えになってしまうんですけど、両方ですね。組織はバランスが大事で、どちらかに偏ってしまうとあまりよくないので。ただ、現在のライボの規模を考えると、どちらかというとソフト面を重視している傾向にはあります。

というのも、パフォーマンスは高いけど利己的な人や、グイグイ仕事を進めるパワーはあるけど周囲との調整ができない人が入ってきてしまうと、周りのメンバーの心理的安全性が低下するケースがあるんですね。

たとえ仕事がすごくできたとしても、組織全体に悪影響を与えてしまう可能性がある人は、ボトムアップ型の組織である現在のライボにはマッチしないのではないかと考えています。

編集部

それは採用に関わるメンバーの皆さまの共通認識なんでしょうか。

小谷さん

はい。これから一緒に働く仲間を探すときに、協調性や他者へのリスペクトに欠けている人を避けるというのは採用においての鉄則なので、面接時でも全員が注意して見ています。

ただ、ライボは成長を続けている組織なので、今後はそういった方にも入ってきてもらって、社内に刺激を与えてくれることも期待しているんです。これからは、いわゆる「キレキレに仕事ができるけど周りを気にしない」タイプの人も採用しつつ、個人が活躍できる会社であるという大前提は引き続き守っていきたいです。

編集部

各社員が自主的に動くボトムアップ型の経営スタイルであるからこそ、周囲への影響を考えて現時点の採用では人間性を比較的重視されていると。そして組織として成長を続けていくために、将来的には異なるタイプの人材を受け入れることも検討されているんですね。

「個」を大事にするというブレない方針を持ちつつも、社員の健康のためにユニークな制度を取り入れるなど変化を恐れないライボさんの姿勢は、多くの方にとって魅力的に映るのではないかと思いました。

本日はありがとうございました!

■取材協力
株式会社ライボ:https://laibo.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/laibo