【派遣会社の福利厚生】産休・育休の取得は可能?

この記事では派遣会社の福利厚生の「産休・育休」について詳しく解説していきます。

結論から言うと、育休と産休は取ることができます。ではどのように、いつまで取れるのか?詳しくみていきましょう。

派遣の育児休暇・産休制度・子育て支援

派遣社員でも産休・育休の取得は可能?

派遣社員が「産休取って、復職できるの?」と驚く人が今だに多いようです。派遣社員でも、もちろん産休も育休も取れます

特に大手派遣会社は「働くお母さん」の支援に力を入れています。潜在的に多いと言われる「子どもを出産した後に復職したいと考えている女性」、働き方のひとつとして「派遣」が見直されています。

派遣で認められている育休と産休の「範囲」と「取り方」

最初に、派遣法改正から新たに規定された「派遣社員の産休・育休制度の範囲」や、実際にどう申請するのかを説明します。

育児休暇と産休制度とは

福利厚生の一環ですが、産休制度も育児休暇も法的に認められている権利です。産休制度は出産をはさんで「産前と産後」の2つに分けて考えます。

▼産休制度

産休は労働基準法で定められており、例え派遣会社の就業規則に定められていなくても取得できます。予定日前の6週間が「産前休暇」、出産後8週間が「産後休暇」で法的に認められている期間です。

産前は本人が希望すればギリギリまで就労できます。また、産前は女性のみしか取得できません。産後は労働基準法で、企業が「産後の女性を就業させてはならない」決まりです。

つまり、「産後休暇」は出産した女性は取らなくてはならないのです。派遣社員の場合、例えば派遣先企業との契約が切れるケースがあります。これはあくまで「派遣先企業との契約」が切れているだけです。

派遣会社との「雇用」が継続している限り、産後休暇は必ず派遣会社から取得出来ます。万が一、産休も認められない場合には労働基準法違反の可能性もあります。労働基準局や役所などに相談しましょう。

▼育児休暇

育休は、出産から最長で1年6ヶ月取得できます。しかし、一般的には子どもが1歳になる誕生日の前日まで、ですね。ただ最近も問題になっているように1歳で保育園に入所できないケースは多々あります。保育園が確保できない場合には、最大期間である1年6ヶ月の取得が可能です。

育休は実際に数年前まで、なかなか派遣社員は取得できませんでした。平成17年に育児・介護休業法が改正された後は大手派遣会社が次々に制度取得を推進、現在ではリクルートスタッフィングをはじめ、テンプスタッフアデコなど大手派遣会社なら問題なく育休も取得できます。

産休と育休を取れる要件

産休も育休も「当然の権利」なのですが、派遣社員として働いている場合にはいくつかの条件があります。

▼産休

産前は「自ら申請する」のが第一の条件です。本人が希望すれば出産直前まで就労できるわけで、休む場合には自分から「妊娠出産」予定を派遣会社の担当者に伝えて準備します。

しかし、産後は会社が必ず「与えなくてはならない休暇」です。産前休暇は「希望して」申請が必要ですが、産後は必ず取得出来ます。

▼育休

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
  • 子どもの1歳の誕生日を過ぎた後も雇用が見込まれること

この条件を見た時、気になるのが「同一の事業主に1年以上の雇用がある」という点です。派遣社員の場合、長期でも3ヶ月更新のケースが多いですね。

また妊娠を報告すると、派遣先企業では「では別の人を派遣して下さい」となったり、次の更新をしない場合もあります。しかし、これらは一切問題ありません。

なぜなら、派遣社員は派遣先ではなく「派遣元」派遣会社に雇用されているからです。つまり今登録して就労している派遣会社に1年以上在籍していれば(その途中で派遣先企業が変わったりしても)、上記の条件にあてはまり、育休を取得出来ます。

産休には「○年以上雇用されている」といった条件はありませんので、混同しないようにしましょう。

産休や育休の取得方法について

まず、担当者に連絡します。派遣会社によって違いますが、サポートセンターや総務窓口、相談ダイヤルなどで実際の手続きについて説明してもらいましょう。

この時に、例えば「派遣先企業との契約が産休前に切れてしまうから、派遣会社と直接雇用に」といった具体的な対策も決めていきます。その後は、郵送やメールでくる用紙に必要事項を記入し、提出します。

産休申請の時期については、妊娠が安定してくる妊娠3ヶ月前後がいいと思います。6ヶ月もすればお腹も多少目立ってきますし、人によっては「つわり」もあります。わかった時点で派遣先企業に迷惑をかけない為にも、早めに伝えましょう。

育休中の給料や社会保険はどうなるのか

産休や育休中は一般的に会社から給与は支給されません。しかし社会保険や雇用保険に加入していれば、以下のような給付金制度があります。

わかりやすく、具体例で見てみましょう。もしあなたが「今年(2017年)11月30日が出産予定日」だとします。給料は1ヶ月18万円平均と仮定します。目安として参考にして下さい。

▼産休

  • 産休期間:開始2017年10月20日〜終了2018年1月25日
  • 社会保険:免除

→派遣会社が属する健康保険組合によっても違います。

  • 出産育児一時金:420,000円
  • 出産手当金:392,000円

→出産手当金は産休中に給与の支払いを受けていない場合、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3が給付されます。出産手当金の認定は派遣会社ではなく、所属する各健康保険組合が行います。

▼育休

  • 育休期間:開始2018年01月26日〜終了2019年05月29日
  • 社会保険:免除
  • 育休給付金:約100万円(1ヶ月約9〜12万円)

→育休給付金は

  • 最初の6ヶ月(180日まで):育休に入る時点の標準報酬月額の67%×育休月数
  • その後(181日以降):育休に入る時点の標準報酬月額の50%×育休月数

で計算します。また給付金を貰うには、細かい規定があります。育児休業開始日の前2年間に、就労が日数11日以上の月が12ヶ月以上。

他に雇用保険加入や社会保険の加入年月、休業中の支給給与の額等の細かい条件があるので確認しましょう。育休給付金の認定はハローワークの管轄です。

派遣社員の「産休&育休取得」注意点

さて、派遣社員でも実績のある大手派遣会社であれば、まず問題なく産休や育児休暇も取れるはずです。しかし、「派遣社員」であるだけに、一般的な企業の正社員とは違った面で注意が必要です。

(1)同じ派遣先企業に復職できるとは限らない

一般の正社員であれば、当然ながら産休や育休後は部署こそ変わっても「同じ会社」に戻ります。しかし派遣社員の場合はかなり微妙です。

派遣先企業は、人が必要なので派遣を採用しています。産休や育休に入ってしまえば、別の人を採用しなくてはなりません。他の人が派遣される可能性が高いですね。ただ、もともと派遣社員は更新の継続で採用され、やがて別の企業への派遣となります。

子どもが生まれると「夏休みには休みたい」「帰宅時間を早めたい」など、これまでと派遣先企業に求める条件も変化するでしょう。逆に「派遣社員であるからこそ」のメリットをうまく活かしたいですね。

(2)中には「渋る」派遣会社もある

大手派遣会社なら問題ないのですが、乱立している中小の派遣会社では「条件にあてはまらない」と理由は曖昧にしたまま、産休や育休を取得させない所もあるようです。

産休を認めないのは法律違反なので、労働基準監督署に通報すれば解決はします。しかし、そもそも働く人の権利である産休や育休を認めないような派遣会社に在籍する事自体が問題です。

リクルートスタッフィングテンプスタッフスタッフサービスアデコといった大手派遣会社は「産休育休取得」の実績が豊富です。手続きもスムーズで、復職後のフォローも安心です。

派遣会社ごとの育休・産休の比較

では、大手派遣会社の育休や産休の制度を比較してみましょう。実際に育休が取りやすい派遣会社はどこでしょうか?

産休取得 育休取得 子育て支援 健康保険
リクルートスタッフィング ベビーシッター割引
育休復帰サポート
リクルート健康保険組合
テンプスタッフ フレキシブル派遣 協会けんぽ
スタッフサービス 協会けんぽ
アデコ ベビーグッズの割引
ベビーシッター・保育施設の割引
育児相談ダイヤル
社会保険

育休が取りやすい派遣会社は

スタッフサービスは、育休取得実績が豊富です。

育児支援に特に力を入れているテンプスタッフ、福利厚生面ではアデコが大手企業並に充実しています。産休や育休は、大手派遣会社なら既に「当然の権利」として、条件を満たせば取得できます。働くお母さんとしては、さらに加えて「育児支援も充実している派遣会社」がオススメです。

大手派遣会社だと産休・育休を取りやすい理由4つ

大手派遣会社が育休を取りやすいのには理由があります。

  • 労働基準法を遵守している
  • 派遣先は大手や優良企業なので育休に理解がある
  • 既に産休や育休の実績数が豊富で取得方法も確立されている
  • 担当者も産休や育休の知識がある

中小の派遣会社では、労働基準法を守らずに経営をしている場合があります。大手派遣会社が安心なのは、働く人を守る労働基準法をきちんと遵守している点です。経営指導が入れば、大手派遣会社として瑕疵となりますから「派遣社員の権利」についても常に気を配っています。

また、同時に派遣先企業も、大手や優良会社で「派遣社員」を正社員同様と見なして対応してくれます。正社員が産休や育休を取得するのを当然としているわけで、派遣されている社員に対しても同じように考えてくれます。

いずれにしても、大手の場合、派遣会社も派遣先も「産休や育休の取得」実績が豊富というのがポイントですね。

子育て支援と福利厚生にも注目しよう

産休と育休を取得する=復職するのが目的です。育休明けに派遣社員として復職する点も念頭に置いておきましょう。

育休以外にも、福利厚生のひとつとして「子育て支援」が充実している派遣会社も沢山あります。例えばテンプスタッフの育児支援は

  • 独自の認証保育園がある(*東京都のみ)
  • 女性総合支援センターテンプ・アップ「ママらしく働く学部」(復職や子育て両立セミナーなど)
  • ワーキングマザートレーニー制度(ブランク明け向けのスキルアップ)
  • フレキシブル派遣(短期や週4日以下などの条件による派遣の紹介)

があります。保育園があるのはテンプスタッフならではの特徴ですね。他の大手派遣会社でも、育休明け・ブランク明け復職の人に向けた講座やセミナーを開催しています。せっかくですから、ぜひ利用したいですね。

[子育てと仕事の両立]復職支援をもっと詳しく知ろう

▼リクルートスタッフィング

「育休復帰サポート」って?

キャリアコンサルティングや在宅でスキルアップできるe-ラーニングを取り入れています。不定期ですが、「仕事と子育て両立応援セミナー」を開催しており、託児サービス付きなのが好評です。

出産・子育て後の「復職」について

出産後は、ライフスタイルが激変します。まず未満児(1歳未満)の保活は非常に厳しい地域もあり、無事保育園に入園できるかわかりません。この場合には、1歳6ヶ月まで「育休」の延長を申請しましょう。

入園してからも、身内の助けや夫の協力がなかなか得られないと、これまで同様の働き方は難しいかもしれません。派遣社員のメリットは、子どもの成長に合わせて「ベストなワークライフバランス」を実現できる所です。正社員なら、時短勤務も一定の期間しかありません。

派遣社員であれば

  • 短時間就労(1日6時間など)で仕事を探してもらえる
  • 夏休みなどの長期休暇を避けて短期の仕事で子どものスケジュールに合わせられる
  • 週4日・残業なしなど子育てしやすい条件で仕事を探せる

こうしたメリットがあります。