今回は、営業について紹介しますよ。この記事では、
- 営業の業務内容
- 営業のやりがいとつらいところ
- 営業に向いている人の特徴
- 営業の収入
などがわかります。営業というとポピュラーな職種ですが、業種によって向き不向きも変わってくるものです。8年間、メーカーの営業として活躍していた門倉さんにもお話を伺います!
なお、未経験からの目指し方や求人の探し方は後編で解説しています。
経験者に聞いてみよう!営業になったきっかけ


門倉さん、こんにちは!早速ですが、門倉さんのプロフィールを教えてもらえますか?
こんにちは。私は、22~31歳のときに、製造・卸を行っている寝具メーカーで営業をしていました。
入社したのは、大学生の就活で訪れた合同説明会がきっかけです。企業研究をしていくうちに、百貨店相手に営業ができることを知り、魅力を感じました。商品の幅広さも、営業を行う上で面白そうだと思ったんです。
本社は京都で、東京と福岡に営業支店がありました。従業員は100名前後でした。全国の百貨店や寝具店に商品を卸している会社です。
実務いろいろ!営業の仕事は幅が広い


営業といってもいろいろありますが、門倉さんは具体的にどんな業務を行っていたのでしょうか?
自社で製造した寝具製品を納入してもらうための提案営業が私の主な業務です。
実際の業務内容は?バイヤー相手の提案営業
1人3社ほどの百貨店を担当していました。百貨店には、それぞれリビングフロアのバイヤーがいらっしゃいます。その方たちが主な商談相手です。百貨店の寝具売り場に商品を置いてもらうため、展示会にご来場いただいて商談を行います。
商品を納入してからも、商品の陳列や整理、ストックの発注などが必要です。百貨店に置いている商品が売れるように、バイヤーと一緒に販促も行っていました。シーズンごとに商品を提案したり、店頭での販売応援をしたりします。
売り場には百貨店の社員だけではなく、メーカー雇の派遣販売スタッフも在中しますので、その方たちを対象に商品の勉強会やフォローもします。百貨店のチラシに商品を載せる場合は、チラシの構成も営業が行うんです。
一口に営業といっても、業務内容はかなり幅広いですよね。
一般的な営業の仕事内容とは?新規や既存とスタイルいろいろ
私の場合は百貨店を相手に行う法人営業ですが、消費者を対象とした個人営業もあります。住宅業界や車業界、金融業界などは、個人営業も多いのではないでしょうか。この他、営業のスタイルも複数ありますよ。
新規営業
新しい顧客を開拓する営業スタイルです。テレアポや飛び込みなどを行うイメージが強いですよね。顧客の新規開拓は、初対面の相手に商品の魅力を伝えなくてはいけないので、けんもほろろに断られるケースも多いです。人によっては、ちょっときついと思うかもしれませんね。
既存営業
すでに商品取引のあるお客さまに対して行うのが、既存営業です。私が行っていたのも、既存営業ですね。顧客のニーズに応えて新商品や既存商品の提案をします。
内勤営業
個人営業で多いのが、内勤営業です。消費者や顧客から問い合わせがあったときに行う営業スタイルです。お客さまはすでに商品について知っているケースがほとんどなので、お客さまの知識に合わせて情報を補足したり、より良い提案を行ったりします。

業界や企業によって、営業スタイルって違うんですね。
ターゲットが誰なのかによっても、提案方法やトークのポイントは変わりますから、営業って奥の深い職種だと思いますね。
経験者が感じた営業のやりがいとつらいところとは?


営業のやりがいやつらいことってありますか?ものすごく人と関わる仕事だから、いろいろ大変なことも多そうですよね。
そうですね、うれしいことも大変なこともありました。
売れるとうれしい!営業のやりがい
数ある商品から「売れる」と思ったものを提案させていただき、実際に納入できたときはうれしいです。さらに、その商品が百貨店で売れて消費者の反応が良いときは、営業としてのやりがいを感じますよね。
営業の仕事は、毎月予算があるので結果がわかりやすいんです。売上が良くないときはそれなりにへこみますが、成績が良かった月は達成感もあります。成績が良い月は、自社の利益に貢献している実感も湧きますね。
忙しい営業ならではのつらいところ
私が担当していた百貨店は県外が多かったので、移動時間がかかっていました。百貨店の売出しが一週間ほど続くときは、出張でホテルに泊まります。プライベートが犠牲になるので、ちょっとつらかったですね。
私はコミュニケーションが苦にならない方で、むしろ好きでした。ただ、営業ってポピュラーな職種ですよね。だから、必要なスキルがない人でも入社してくるケースもあると思うんです。
そういう人は、自分の提案が通らなかったり顧客獲得ができなかったり、ノルマが達成できなかったりで、うまくいかないケースも多いです。営業成績はお給料にも反映してきます。思うように稼げないと、それもやっぱりつらいですよね。
営業に向いている人とは?さまざまな資質が必要

門倉さんは、営業にはどんな人が向いていると思いますか?
営業の業務内容は幅広いので、いろいろな資質が求められると思います。その会社が扱っている商材によっても変わってくると思いますし。
コミュニケーション能力の高い人
営業にコミュニケーション能力は欠かせません。必須の能力といっていいと思います。
営業成績を上げようと、ひたすら商品の話ばかりする人がいますが、それでは顧客の心はつかめません。まずは、相手の話をよく聞いて要望をきちんと理解すること、そして、ニーズをつかんだ上で表現できる能力が必要です。
さらに、お客さまの言うことをそのまま表現するのではなく、一見ニーズとは違う方法でも、本当の意味でお客さまの得になる提案ができるかも重要です。
売れる営業って、話が上手な人ではなく、聞き上手なんですよね。いかにニーズを聞き出せるか、お客さま自身も気付いていない要望を引き出せるかが大切です。
ポジティブな人
どんなときでも商品が売れればいいんですが、頑張っても思うように結果がでない場合もあります。そんなときでも、ポジティブに考えられる人は、営業として強いと思いますね。
うまくいかなかった原因を分析して次に生かそうと思えれば、営業としてのスキルも高まります。ネガティブになってしまうと、足がすくんだり嫌になったりして、次のステップに進めません。
落ち込んでしまうのは仕方のないことですが、立ち直るまでの時間は早い方が良いと思います。営業は企業の利益に直結する仕事ですから。
数字に強い人
営業は、数字ありきの仕事です。常に数字を意識して仕事ができる人は、営業に向いていると思います。
例えば、「先月は売上が芳しくなかったので、今月はたくさん売ってください」と上司に言われたとします。「たくさん売る」といっても、これだけではどの程度の売上を立てればいいのかわかりませんよね。
一方で、「今月は先月よりも10万円多く売ってください」と言われた方が、具体的な戦略を立てやすいですよね。目標が漠然としていると、闇雲に営業をすることになります。
いつも数字を意識していると、営業でもより具体的な営業ができるようになりますし、具体的な目標を立てられるようになります。営業職に就きたい人は、数字でいろいろなことを考えるクセをつけると良いと思いますよ。
職人気質な人
これは、扱っている商品やサービスに対して、職人気質になれる人、という意味です。私の場合は寝具ですよね。顧客に対して自信を持って商品を売るなら、まずは営業自身が商品について詳しく知っていなければなりません。
顧客には、商品についてまったく知識のない人もいれば、それこそメーカーの人間よりも商品や業界について知っている人もいます。営業は、どんな人が相手でも、商品についての魅力を語れなければいけないと思うんです。
魅力を知ってもらうには、その商品の長所も弱点も知っておかなければいけませんよね。そういった意味で、職人気質の人は営業に向いていると思います。
あと、これは私がやっていた業務に関連しますが、とにかくデザインが好きな人も良いと思いますよ。商品をより魅力的に見せる陳列方法や、チラシを構成する際に、デザインに関するスキルが必要になりますので。
積極性とスピード感が大事!営業として努力したいこと


営業として努力したことはありますか?
そうですね…顧客に対する積極性という点を意識していました。
百貨店のバイヤーに対して営業をかけているのは、自社だけではありません。当然、ライバルの同業他社もいる訳です。
自社商品がどんなに高品質でも、積極的に提案する姿勢がなければライバルに負けてしまいます。バイヤーの要望を的確に受け取って、スピーディーに提案する努力はしていました。
気になる収入!営業だと残業代はもらえない?


ところで、お給料はどのくらいだったのでしょうか?
月収は手取りで23万円前後、年収は360万円くらいですね
手取り月収は満足していました。ただ、ボーナスは少なくて、やりがいにかけましたね。業績の良いときは2カ月分でしたが、出ないときもありました。
残業は月20時間程度していました。でも、得意先への直行直帰が多くて、残業手当がなかったんです。どれだけ残業をしても、固定の営業手当のみでした。
休日出勤もしていたんですが、その分の代休を平日に取るのが難しくて、休みが2回しかない月もありましたよ。

休みが月2回…なかなか忙しくて大変だったんですね。
ええ、泊まりで県外への出張があったり休日出勤があったりすると、プライベートな時間が取れないんですよね。結局、結婚を見据えて退職しました。私のように、結婚を考えている女性は、大変だと思います。
営業職に就きたい人に一言!


最後に、営業職に就きたい人に向けてメッセージをお願いします。
営業職は、いつでも思ったような結果が出る仕事ではありません。営業のスキルだけではなく、業界全体の動向や顧客の都合、繁忙期や閑散期などによっても、売上は左右されます。営業の仕事は浮き沈みがあるので大変だと思う人もいるでしょう。
でも、顧客や消費者の役に立てたり、自社の売上に貢献できたりする、素晴らしい職種でもあります。営業は本当に奥の深い仕事なので、興味のある人はいろいろ調べてみてくださいね。

今回は、いろいろ話してくださりありがとうございました!
いえ、こちらこそ、ありがとうございました。
次の記事では、未経験から営業職を目指すために具体的な求人の探し方などを紹介します。
>>次:未経験から営業職に就く方法