若手と女性の活躍を推進。物語コーポレーションの人財活用策の数々

若手活躍や女性活躍を推進するための独自施策を展開し、メンバーの働きやすさや発言機会の多さなどを重視している先進的な企業をインタビューする本企画。

今回は「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」などの外食事業を展開している株式会社物語コーポレーションに、店長の育成法やメンバーの意見を吸い上げる「なんでも提案実行委員会」、さらには女性を支援する「復職面談」や「女性大活躍グランプリ」などの取り組みを伺いました。また女性役員の育成に対する考えについてもお聞きしています。

株式会社物語コーポレーションとは

株式会社物語コーポレーションは、1949年12月に愛知県豊橋市でおでん割烹「酒房源氏」として創業。1969年9月に株式会社げんじとして法人化し、1997年6月に現在の社名に変更しました。

1990年代以降、焼肉業態、ラーメン業態、お好み焼き業態、そして和食業態などの新ブランドを次々に開発して出店攻勢をかけ、2014年には国内300店舗を達成しました。また2012年には海外(中国・上海)に初出店しています。そして2023年4月30日時点では、国内651店舗、海外21店舗体制まで店舗網を拡大しています。

会社名 株式会社物語コーポレーション
住所 愛知県豊橋市西岩田5-7-11
事業内容 外食事業(焼肉、ラーメン及びお好み焼レストランチェーン、和食店)の直営による経営とフランチャイズチェーン展開
設立 1969年9月
公式ページ https://www.monogatari.co.jp/

「Smile & Sexy」を経営理念に掲げる株式会社物語コーポレーションでは「D&I宣言」(※)のもと、その一環として女性の活躍を推進しています。今回は、そのための施策である「復職面談」や「女性大活躍グランプリ」、さらには独自の女性役員育成支援策などを伺いました。
(※)D&I宣言(ダイバーシティ&インクルージョン宣言):多様な人材を受け入れ、それぞれが能力や個性を最大限に発揮できる経営を行うことを宣言すること。

また若手活躍についても重視しており、新卒者向けの店長育成カリキュラムやメンバーの提案を吸い上げる「なんでも提案実行委員会」、そして「社内掲示板」などについてお聞きするとともに、採用試験へのチャレンジを考える読者へのメッセージをいただきました。

本日お話を伺った方
株式会社物語コーポレーションの執行役員、経営理念推進・D&I本部本部長兼人財開発部部長の横浜任様

株式会社物語コーポレーション
執行役員 経営理念推進・D&I本部本部長兼人財開発部部長

横浜 任さん

経営理念の「Smile & Sexy」を最重視

株式会社物語コーポレーションの経営理念「Smile & Sexy」
▲物語コーポレーションさんの経営理念「Smile & Sexy」(公式ページから引用)

編集部

最初に物語コーポレーションさんの事業概要について、ご説明をお願いします。

横浜さん

弊社はフードビジネス企業です。外食事業の直営店とフランチャイズチェーンを展開しています。

編集部

物語コーポレーションさんといえば、「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」そして「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」などの有名ブランドが思い浮かびます。どの業態も非常にこだわった店づくりがなされているという印象ですが、事業を展開するうえで、特にどんなことを重視しているのでしょうか。

横浜さん

いろいろとありますが、やはり一番大切にしているのは経営理念である「Smile & Sexy」です。採用時においても、能力だけではなく理念の共感度を最も重視しています。

編集部

物語コーポレーションさんの経営理念には、どういった意味が込められているのでしょうか。

横浜さん

「Smile & Sexy」は、いわば「自己実現」を目指す理念です。なりたい自分に向かって自己表現することを恐れずに、一生懸命自分らしく生きられている人は、イキイキとしていて魅力的ですよね。これを私たちは「Sexy」という言葉で表現しています。

ただ、「Sexy」である為には、それを表現しても周りから愛される、応援される、そんな人間力が必要です。それを私たちは「Smile」という言葉で表現しています。「Sexy」である為に「Smile」を磨く。そのバランスを高めながら2つとも成長させていく日々の努力が、「成熟・自立した人間」への道だと考え、この理念を掲げています。

編集部

すごく深い意味が込められているのですね。

日頃からなりたい自分を表現することで相手との衝突を回避

編集部

ただ、日本には自分の意見を表明することが苦手な方が多いですよね。

横浜さん

そうですね。確かに自分のことばかりを主張していると、時には相手を傷つけてしまうかもしれません。そして相手を傷つけてしまうと、自分も傷つく。そうなってしまうと、「もう言うのはやめよう」となり、意見を言わない日本人ができ上がると思っているんです。

では、そうならないためには、どうするべきか。物語コーポレーションでは、日頃からなりたい自分を素直に表現すればいいと考えています。なりたい自分というのは皆さん、実はそんなに大きくは変わらないんです。いい人になりたいし、優しい人になりたいし、親切な人になりたい。

そういう自分を日頃から表現していれば、「この人は相手をそんなに傷つける人ではない」ということが理解されます。そして、こちらの表現をストレートに受け止めてもらえるだろうし、相手のこともストレートに受け止められる。こういう考え方が、物語コーポレーションの経営理念の根底には流れています。

編集部

なりたい自分を素直に表現するんですね。

横浜さん

そうです。物語コーポレーションは、そのことを非常に大切にしてきました。中には「会社のためなら、自分を犠牲にしてもよい」という方もいらっしゃいますが、弊社ではそれを良しとはしていないですね。弊社は『個』の尊厳を『組織』の尊厳よりも上位に置く企業なんです。

編集部

そうした経営理念は、ブランド開発などにも生かされているのですね。

横浜さん

その通りです。物語コーポレーションの業態開発戦略は、大きなマーケットの中で差別化を図ることです。大きなマーケットとは、いわば「多くの方が対象となる」ということです。対象者が多ければ多いほど、さまざまな意見や思い、好みがでてきます。

だからこそ、物語の会議では、参加者一人ひとりがそれぞれに思ったことを発言するんです。それが選択肢を増やすことになり、議論が深まることでイノベーションがうまれ、オリジナリティや差別化がしやすくなっていくと考えています。このやり方が功を奏して、焼肉きんぐも丸源ラーメンも、既存店は毎年前年比を超える実績が出ているのだと思います。

店長の考え方の違いが生み出す店舗の個性や独自性

株式会社物語コーポレーションが展開する「焼肉きんぐ」で肉の焼き方を指南する焼肉ポリス

編集部

物語コーポレーションさんはチェーン店ですから、同じブランドのお店には共通する部分が多いと思います。ただ、その中にあってもお店として、異なる個性を発揮しているケースもあるのでしょうか。

横浜さん

チェーン店ですので、売っている商品やオペレーションなどは基本的に共通しています。ただ面白いことに「同じブランドなのか」と思うぐらい、店ごとに雰囲気や特徴に違いがあるんですよ。

編集部

それは、どういう違いなのですか。

横浜さん

物語コーポレーションでは、各店舗の店長を「プレジデント」と称し、お店の最高意思決定者としています。そのため、例えば「お客様をお待たせしない」ということにプライドを持っている店長であれば、料理提供のスピードなどの作業レベルの高さにこだわります。

また、「お祭りのような活気のあるお店をつくりたい」と考えている店長であれば、ホールのスタッフだけでなく、キッチンなどお客様からは見えない場所で作業をするスタッフからも「いらっしゃいませ」と大きな声が聞こえてくるお店になります。

もちろん、チェーン店なのでどこのお店に行っても、商品のクオリティや接客のクオリティ、衛生の状態などは均一化されていますが、それはあくまでも基本的な価値です。これらを前提に店長の考え方や働くスタッフの個性などが加わることで、その店の色や特徴がにじみ出てくるんです。

編集部

個性を発揮してお店をその方向に育てていくことが、店長としてのやりがいにも繋がっているのでしょうね。

若手活躍の第一歩は店長育成カリキュラムの拡充から

株式会社物語コーポレーションのメンバー7名によるミーティング風景

編集部

物語コーポレーションさんの特徴の一つは、若手のメンバーが活躍していることだと思います。それが会社として飛躍を継続している原動力ではないのでしょうか。

横浜さん

そうです。何しろ弊社で若手活躍の象徴といえば、社長の加藤(代表取締役社長の加藤央之さん)になります。2023年4月に37歳になったばかりですから。

編集部

とてもお若いですよね。加藤さんは新卒で入社されたのですか?

横浜さん

そうです。ちなみに、弊社では新卒社員のことを「幹部候補生」と呼んでいます。入社1年目の社員でも、なりたい自分になるために生き、将来の幹部候補という意識を持つことで「新人だから」と自分を抑え込むこと無く恐れずに明言・行動してほしいという想いを込めています。

編集部

なるほど。「新人」ではなく「幹部候補」という意識を持つことで、本人の心構えやモチベーションも違ってくるのでしょうね。社員の方のキャリア形成は、どんなステップになっているのでしょうか。

横浜さん

まず店長を目指していただき、その次のステップで専門職に進んでほしいと考えています。やはりすべてのメンバーが、店舗のことをわかっている会社でありたいと思うからです。

数年前までは、入社から3年かけて店長になってくれればいいと思っていました。1年目や2年目であわてる必要はない。プレッシャーをかけないためにも、そう思っていたんです。ところが中には能力の高い方がいて、そういう方を3年も待たせることは、マイナスではないかと考えるようになってきたんです。

そこで、3年で設計していた従来の店長育成カリキュラムを、新たに最短18カ月で設計したカリキュラムを作りました。今は入社2年目で店長という方もかなりいます。

ただし、必ずしも皆が18カ月で店長にならなければいけないということではありません。早く伸びる人はそのまま突っ走ればいいし、ゆっくりな人は自分のペースで着実に成長して店長になっていただきたいという方針です。

編集部

それぞれの方の適正などに応じて、無理なく店長を育成するのですね。

横浜さん

そうです。物語コーポレーションは長年にわたって飲食業を展開してきていますから、店長に必要なスキルや、店舗で起こるトラブルなどはある程度把握しています。そこから逆算して、店長になるためのステップを段階的に設定したカリキュラムを組んでいます。

役職でいいますと、まずは一般社員で入店いただき、リーダー、副店長と昇格し、店長を目指します。

編集部

学ぶべきことは多いのでしょうね。

横浜さん

最初はオペレーションを学ぶことから始まります。店舗の運営管理ですね。同時にコミュニケーションを学んでいただきます。

物語コーポレーションには大型店舗が多数あり、パートナー(パートタイマー)を含めると総勢100名を超える店舗もあります。それだけの数のスタッフを束ねる店長になってほしいので、コミュニケーションスキルがとても大切なんです。

コミュニケーションを学び、店舗のマネジメント業務を学び、トラブル対応の基礎知識を学んでいただく。そのうえで試験や面接を実施したのち店長に昇格となります。

「調理・接客」だけではない飲食業の魅力

編集部

カリキュラムには、物語コーポレーションさんのノウハウがすべて注ぎ込まれているのでしょうね。

横浜さん

目指しているところと、今いる現在地がわかるようになっています。大学生のアルバイトで一番多いのは飲食業といわれていますが、実際の就職活動では他の業種に進む方が多いんです。とても残念なことです。

ところが数年して、「やっぱり飲食業のアルバイトが楽しかった」といって戻ってきてくれる方がいらっしゃいます。そういう方たちにさらに飲食業を楽しんでもらいたいという想いもあります。

編集部

戻ってきた方たちは、飲食業のどんな魅力に引き寄せられたのだとお考えですか。

横浜さん

やはり、お客様に対して行ったアクションが、その場でダイレクトに「ありがとう」の言葉として返ってくることではないでしょうか。そのうれしさを忘れられない方が、とても多いように感じます。

あとはチームとして、一つの店を切り盛りすること。それが売り上げや来店客数という数字として跳ね返ってくる。そのやりがいも、あるんじゃないかと思います。

編集部

チームとして店を切り盛りした一体感は、忘れられない経験なのでしょうね。

横浜さん

そう思います。もっともフードビジネスは、料理をつくったり運んだりということだけではなく、教育やマネジメント、開発、企画、マーケティングにまでおよびます。自分の考えが数百店舗に反映され、お客様からの「ありがとう」に繋がったり、自分の提案したお店が何百店舗・何千店舗のチェーン店に成長することもあるのです。

「調理・接客」のその先があるんですよ。アルバイトのときにはそこは見えない。飲食が楽しかったという思いで転職を考えている方には、フードビジネスの魅力をぜひ感じていただきたいと思います。

スタッフの提案や意見を吸い上げる「なんでも提案実行委員会」

株式会社物語コーポレーションの東京フォーラムオフィス1階にあるフリースペース「ダイバーシティ&インクルージョンプレイス」

編集部

物語コーポレーションさんには、メンバーの意見を広く集め、それを実行する制度があると聞きました。

横浜さん

4月に100回目を開催した「なんでも提案実行委員会」のことですね。これは店舗や本部で働くパートナー(パートタイマー)を含むすべてのメンバーが、自由にお店や会社についての改善案や意見などを寄せられるものです。

そして、寄せられた提案について議論する会議を毎月1回開催しており、役員や事業部長が参加しています。提案内容によってはすぐに採用となり実行されますし、採用されなかった提案も、理由がきちんと提案者にフィードバックされます。

編集部

どんな提案があがってくるのですか。

横浜さん

例えば「社内システムのUI/UX改善」や「ホールやキッチンオペレーションの改善」、「社内の情報共有(売上予測の途中経過等)の定期配信化」、そして「メニューのデザイン改善」や「アプリの機能改善」などです。1回の会議で100件から150件ほどの提案が寄せられています。

株式会社物語コーポレーションの取り組み「なんでも提案実行委員会」に寄せられた提案
▲「なんでも提案実行委員会」が設置したオンラインの投稿フォームには、店舗スタッフから日々さまざまな提案が寄せられる

編集部

現場からの意見は、本社の方にとっても参考になることが多いのでしょうね。

横浜さん

その通りです。例えば「滑らなくていい」ということで全店に導入したトレイがあったのですが、使っていくとだんだんとゆがむということがわかってきたんです。

でもそれは、本社にいる私たちにはわからない。使っているメンバーから「ゆがむから危ない」と意見があり、見にいったら本当にゆがんでいて危なかったんですね。それで「取り替えよう」となりました。また湯呑にしても「これは熱くて持てません」と意見があり、すぐに交換したこともありました。

編集部

そうした意見を経営層にまでダイレクトに伝えられる仕組みなんですね。

横浜さん

経営目標のひとつでもある「誰もが自然に堂々と意見表明する」を体現している取り組みです。これまでに約1万件以上提案され、採用数は約3,000件にのぼります。

本社スタッフにも店舗での業務経験は必須

編集部

先ほどおっしゃっていた「すべてのメンバーが店舗をわかっている会社でありたい」というお考えが、現場の意見や提案を大切にする企業姿勢に繋がっているのでしょうね。ちなみに横浜さんは、どんなキャリアを積まれてきたのでしょうか。

横浜さん

私はキャリア(転職)組です。ある外食チェーン店で事業部長をしていたのですが、縁があって物語コーポレーションに転職してきました。最初は一般社員として入社し、副店長、店長を経て本社スタッフとなり、今は執行役員をやらせていただいています。

編集部

事業部長のご経験者ながら、一般社員として入社されたのですか。それはすごいご経歴ですね。

育休明けの女性メンバーに実施している「復職面談」

編集部

物語コーポレーションさんでは女性のメンバーが非常に多く活躍されています。そういった方にはどんなサポートをされているのでしょうか。

横浜さん

私の部署(経営理念推進・D&I本部)でいいますと、半分ぐらいはママさん社員です。そのなかで、誰かのお子さんが熱を出すと、それをみんなで「だったら今日は変わってあげるよ」などと助け合っています。今日も午前中に、そんなやり取りがあったばかりです。

店舗の女性メンバーについても、お母さんになったら戻ってきてもらい、店長をやっていただきたいと思っています。実際に「店長をやりたい」といって戻ってきてくれる方もいらっしゃいます。

育休から戻られる際は、復職面談を行います。人財応援部という部署が、お子さんを育てている環境やご本人の希望などをお聞きして、「それなら、こういう働き方はいかがでしょう」という提案やアドバイスをしています。

編集部

それは心強いですね。人財応援部は他に、どんなことを手掛けている部署なんですか。

横浜さん

物語コーポレーションでは、社長の加藤が去年「D&I宣言」を表明しました。これは「女性」「インターナショナル(外国籍)」「セクシュアルマイノリティ」「チャレンジド」「シニア」「パートナー」のさらなる活躍を目指すもので、これらすべての方が輝ける会社にするという宣言です。この中心となって動いているのが人財応援部です。

編集部

育休から復帰された女性メンバーの方も多くいらっしゃるのでしょうか。

横浜さん

はい。チャレンジドで障がい者の方たちをバックアップしてくれたり、女性活躍の中心になってリーダーシップを発揮している方もママさんです。

女性の活躍を支援する「女性大活躍グランプリ」

株式会社物語コーポレーションが開催する「女性大活躍グランプリ」で使われたスライド
▲「女性大活躍グランプリ」で使われたスライド(公式ニュースリリースから引用)

編集部

女性活躍を推進するための制度や仕組みには、他にどんなものがありますか。

横浜さん

事業部内の全女性メンバーを対象にしたオンラインのプレゼンテーション大会「女性大活躍グランプリ」を開催しています。

事業部の改革に繋がる提案、あるいは成功体験や失敗体験などを募り、プレゼンテーションをして、皆で共有しています。

編集部

どんな内容のものを、どういう形でプレゼンテーションしているのですか。

横浜さん

まずは「こういうことを話したい」というプレゼンテーションのタイトルを募集し、その中から聞きたいものを投票して選出するんです。上位5~6名の発表者を選んで、オンラインでプレゼンテーションを行い、これを何百人という女性メンバーが共有して、その後の活躍を後押しします。

株式会社物語コーポレーションが開催する「女性大活躍グランプリ」で使われたスライド
▲「女性大活躍グランプリ」で使われたスライド(公式ニュースリリースから引用)

メンバーが意見や提案を気軽に発信できる「社内掲示板」

株式会社物語コーポレーションの「社内掲示板」
▲物語コーポレーションさんの社内掲示板。多いときには日に10件以上の投稿がある

編集部

ご紹介いただいた「女性大活躍グランプリ」や「なんでも提案実行委員会」もそうですが、イベントなどへの参加に積極的な方が本当に多いのですね。

横浜さん

経営理念でもはっきりと打ち出していますが、弊社は自分を表現することをとても大切にする社風なんです。自分の気づきや成功・失敗体験を全社に発信することが弊社の文化になっているので「プレゼンテーションには興味がない」という人は、ほとんどいません。

会社に対する提案や意見表明なども、積極的に行われています。

編集部

気軽に発信できる場があるのですか。

横浜さん

「社内掲示板」があります。ここには、誰でもいつでも気軽に投稿していいんです。傾向としては大きく二つあり、一つは個人の気づきや情報共有ですね。そしてもう一つが「何を目指します」という宣言です。そのどちらかが多いです。

直近の課題は女性役員の早期育成

編集部

お話を伺っていると、女性活躍に対する環境整備はかなり整っているように感じます。

横浜さん

ありがとうございます。ただ、実を言いますと物語コーポレーションの取締役や執行役員の中には現在、社外役員を除いて女性がいないんですよ。それを非常に問題視しており、早期の女性役員育成を目指しています。

編集部

それは少し意外な感じもしますね。すでに何人かはおられるのかと思っていました。

横浜さん

女性役員がいないという問題をブレークダウンしていくと、 結局は「会社をやめないことが先決だよね」という話になるんです。では「なぜ辞めてしまうのか」「何が要因なのか」ということに対する解決策を議論しています。

そのなかのひとつで、PMSや月経で悩む女性社員が多いことがわかりました。多くの女性メンバーからヒアリングしたのですが、「苦しいけれど会社にはいえない」という声を聞きました。

その中で「ピルを飲むと楽になるケースが多い」という話も多かったため、希望者にはピルの費用を会社で負担することが決まりました。詳細はまだ検討中ですが、病院受診の啓蒙や、オンライン処方サービスの利用などを考えています。

編集部

体調に応じて、会社が病院での受診を啓蒙したり、その費用を負担してくれるのは心強いサポートの一つだと思います。

今いる環境が違うと感じたら、転職は有力な選択肢

編集部

では最後に、就職や転職を考える読者へのメッセージをお願いします。

横浜さん

就職が一発でうまくいくということは、現実的にはなかなかないことだと思うんですよ。そして転職することは悪いことではないので、今いる環境が違うと思ったら、私はその会社をやめるべきだと思っています。

私が新しく仲間になってくれた社員などに最初に話すことは、「自分が幸せになるために働くんだよ。幸せに繋がる苦労はするべきだけど、自分の幸せに繋がらない苦労はすべきではない。そこをきちんと自分で見極めて、苦労はするものだよ」ということです。

ですから、違うと思ったら会社を変えていいと思います。 そして楽しかった飲食業のアルバイトを、ぜひ思い出していただきたいと思います(笑)。

編集部

若い世代のビジネスパーソンにとって、本当に心に染みるアドバイスだと思います!本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社物語コーポレーション:https://www.monogatari.co.jp/
採用ページ:https://www.monogatari.co.jp/recruit/